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【遠藤イヅルの名車カタログ】第14回 カワサキ・ゼファー(1989)
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- 2016.10.30
イラストレーター遠藤イヅル氏による名車・珍車を紹介するコーナーです。今週の名車はネイキッドブームの先駆けとなった「カワサキ・ゼファー400」のご紹介です。
■カワサキ・ゼファー400(1989)空冷DOHC2バルブ並列4気筒
■最大出力:46PS / 11,000rpm ■最大トルク:3.1kg / 10,500rpm
1980年代中盤から後半にかけ、各バイクメーカーともに
2スト、4スト織り交ぜて豊富なバイクラインナップを持っていたものの、
メイン車種となっていたのはいずれもレーサーレプリカだった。
そのレーサーレプリカブームに合わせてパワー競争も過激化していったが、
それは過当競争の様相を呈し、バイク全体の売り上げにも影響を及ぼし始めていた。
そんな時代真っ只中の1989年。
カワサキは、突如古典的な400ccカウルレスバイクを発売した。
エンジンはZ400FXのエンジンを流用したためDOHCながらも2バルブで、
パワーは46psに過ぎなかった。
(ちなみに同年のレーサーレプリカZXR400は59psだった)
そのころカウルの無いモデルも存在していたが、
一部のモデル(ヤマハ・SRなどやアメリカン)以外は、
クラシカルな要素を極力廃したデザインを持っていた。
だがゼファーは往年のカワサキのバイクを思わせるような四角いタンク、
2本のリアサス、古典的なダブルクレードルのフレームなど、
レーサーレプリカ以前のバイクの意匠を堂々と採用していた。
それがむしろレーサーレプリカとハイパワー化で食傷気味になっていた市場と、
レーサーレプリカ以外のバイクを潜在的に欲しがっていた層の購買意欲にマッチ。
「ネイキッドブーム」という言葉を生み出すほどのヒット作へとつながっていった。
ゼファーは750cc/1100cc版の追加や、
400ccエンジンの4バルブ化などを進めていったが、
750ccと1100ccモデルは2007年に、
400ccモデルも2009年に生産を終了した。
だが、ネイキッドバイク市場を生み出したゼファーの功績が
とても大きいことは間違いない。