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【遠藤イヅルの名車カタログ】第22回 スズキ・グース350
- おすすめコラム
- 2017.03.05
イラストレーター遠藤イヅル氏による名車・珍車を紹介するコーナーです。今回の名車はスズキ・グース350です。
■スズキ・グース350 ■エンジン:油冷4ストロークSOHC単気筒
■最高出力:33ps / 8,000rpm ■最大トルク:3.3kg-m / 6,500rpm
1980年代末から1990年代初期にかけてレーサーレプリカブームが到来し、
バイクもスペック至上主義の色合いが濃くなっていた。
だが、そんな中でもカワサキ・ゼファーのように
コンベンショナルなネイキッドバイクが登場するなど、
新しいジャンル、新しい流れを作ろうとしたメーカーとバイクが存在した。
1991年にデビューしたスズキ・グース350もその一台だった。
あえてカウルを捨て、4気筒バイク全盛時代に単気筒エンジンを搭載。
ハンドルを低い位置にセットした古(いにしえ)のクラブレーサーのようなスタイルを採用し、
コーナリングを楽しめるシングルスポーツバイクとして開発されたモデルだった。
エンジンはオフロードモデルのDR350に搭載されていた
4スト単気筒・油冷SOHC 4バルブを高回転寄りにセッティング。
レブリミットは1万回転とされ、33psを8000rpmで発生していた。
フロントブレーキを制動力充分としてシングルにするあたりに、
無駄を廃して過剰な性能を与えないシンプルなバイクのコンセプトが伺えた。
また、単気筒モデルのため、車重も250ccの4スト4気筒モデルよりも軽く抑えられていた。
だが、レーサーレプリカ全盛期においては、
カタログ額面の低さ、250cc2ストバイクのほうが実際には速かったこと、
シングルのスーパースポーツを意識し過ぎたゆえの実用性のなさ、
350ccという中途半端で車検が必要な排気量などから
なかなかこのバイクの意図が市場では理解されず、
車検がいらず装備も々オミットされた普及版「グース250」を追加するも
350、250ともに販売台数は伸びなかった。
だがそんなグース350、実は1999年頃までカタログに乗っていた。
バイクとしてはご長寿モデルとなった。
いまグースを見てみると、とても魅力的に映る。
時代を切り開こうとした姿勢や、
シンプルなバイクが持つ美しさを強く感じることが出来るのだ。