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【遠藤イヅルの名車カタログ】第36回 カワサキ・ZX−4
- おすすめコラム
- 2017.09.23
毎週イラストレーター遠藤イヅル氏による名車・珍車を紹介するコーナーです。今回の名車は、レプリカ時代、販売期間が僅か1年だった「カワサキ・ZX-4」のご紹介です。そのため今ではかなりの希少車のようですね。
■カワサキ・ZX−4 ■エンジン:水冷4ストロークDOHC4気筒398㎠
■最高出力:59PS/12000rpm ■最大トルク:3.9kg-m/10000rpm
リッターバイクの「ZX−10」とともに1988年から製造が開始された
カワサキの400ccクラス初のレーサーレプリカモデルが「ZX−4」だ。
400ccクラスでは、
スズキが1984年に「GSX—R」をレーサーレプリカ路線で登場させ、
152kgの軽さに59psという途方も無いパワーで度肝を抜いた。
ZX−4も同じく乾燥重量は152kgしかなく、
エンジンも自主規制値上限の59psを誇ったが、
その頃GSX—Rは「GSX—R400」に進化していて
車重は160kg台になっていたため、ZX−4登場時において
このバイクの性能は抜きん出ていた。
水冷直4DOHC16バルブエンジンは新開発で、
既存のインラインフォア車であるGPZのそれとは異なる。
それまでのセンターカム配置からサイドカム配置としたことで
エンジン幅の抑制に成功しており、
鋭角的でスリムなフルフェアリングデザインの実現に貢献している。
だが、このデザインはレーサーレプリカっぽくなかったのも事実だった。
またフレームも「e-BOX-FRAME」と称する
アルミツインチューブ式を採用するなど、新機軸を数多く投入した
意欲的なバイクでもあった。
ZX−4は実際のF3レースに参戦することを目標としており、
1988年の鈴鹿4耐のSPクラスで優勝を果たしている。
だがZX−4はたった1年で「ZXR400」にバトンを渡して消滅。
ZXR400は丸目2灯となり
また、いかにもレーサーレプリカ然としたカウルデザインを持つことで
その正確を明確なものとしていった。
1980年代中盤以降は、このように
まさにレーサーレプリカ盛衰記ともいえる状況で
250cc、400cc、750ccクラスともに、
短いスパンで記憶に残るバイクが矢継ぎ早に登場し、
そして消えて行った時代だった。