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変えないことが新しい 3代目ハヤブサ、通算24年の熟成

  • 中古バイクカタログ
  • 2022.10.20

今回は、SUZUKI Hayabusaの魅力や特徴をご紹介します!

1999年に登場したハヤブサも10年、そして21年にフルモデルチェンジを受けて現在、3代目。

けれど、歴代ハヤブサも新型も、誰がどう見たってハヤブサだ。

ここに、ハヤブサのアイデンティティがある。

 

【目次】

1.Hayabusaの魅力

2.車両詳細

 

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  • Hayabusaの魅力

ロングツーリングといえば、今アドベンチャーが人気だけれど、かつてビッグツーリング=フルカウル並列4気筒モデル、という時代があった。80年代後半から、スズキがGSX-R1100、ヤマハはFZR1000からサンダーエース、ホンダはCBR1000FとCBR1100XXに、カワサキがGPZ1000RXやZX-10とそれ以降のモデル。

 その4強の中から、ホンダはCBR900RR、ヤマハはYZF-R1でスーパースポーツ方向に舵を切り、ビッグツーリングバイクとして生き残ったのがスズキとカワサキ。2000年を前にスズキがハヤブサを発表し、カワサキはZX-12R、ZZ-R1200、そして06年に1350cc、のちに1440ccとなるZZ-R1400→ZX-14Rをデビューさせる。

 

そして21世紀はZX-14Rとハヤブサの一騎打ち。そのハヤブサが21年にフルモデルチェンジを敢行。少し沈みがちだったこのクラスに、再び火を当ててみせた。海外専売モデルのZX-14Rも継続発売、けれど国内正規販売しているハヤブサの方が、国内マーケットで一歩リードしていると言えるだろう。

 

Newハヤブサは、主に新規排出ガス規制「EURO5」対応を迫られたがための13年ぶりのフルモデルチェンジ。しかし、ただ規制対応するだけでなくフルモデルチェンジでの登場となった。スタイリングがやや洗練され、エンジン、フレームとも先代モデルを踏襲しながら、中身はまるっきり新しいフルモデルチェンジだ。

 

エンジンは、まず新規排出ガス規制対応の影響か、最高出力が197psから188psにダウン。ただし、これは数字上のことで、一般のライダーがパワーダウンに気づくことはほとんどないはず。それどころか、最大トルク発生回転数がやや下がったことと、出力特性がやや低~中回転に強くなっていることから、むしろパワーアップしていると思う人も多いだろう。

 

 走り出すと、まさにこれがハヤブサだ。ライダー込みでゆうに300kgを超える巨体なのに、発進トルクから力強いパワーのおかげで、発進もスムーズ。新たに標準装備となったシフトUP&DOWN両方向のクイックシフトも爽快に、そのまま回転を上げて行けば一気に加速しようとする、切れ目ないパワーは相変わらずだ。

 

フットワークも軽快で、重いはずのボディを楽に振り回せるし、その場合のどっしりとした、不安ない安定感接地感もハヤブサならではの超絶安心感がある。たとえばスーパースポーツのGSX-R1000Rだと、発進から加速まで、軽々とした車体をレスポンス鋭いエンジンがシュンシュンと引っ張る感じがあるけれど、ハヤブサのそれは、重量のある巨体を、ズリュズリュっと力強く押し出すような印象だ。

 

ハヤブサの得意フィールドである高速道路に出ると、フットワークがさらに光る。どっしりと路面に張りつくようなロードホイールディングがあって、きっかけひとつで向きが変わるハンドリングのおかげで、レーンチェンジもどっしりと確実に行なえる。高速道路走行が不慣れなライダーでも、不安なくクルージングできるだろう。

 

さらにNewハヤブサのトピックは各種電子制御をフルに投入したこと。パワーモードが3種類から選べ、車体姿勢感知のための6軸IMUを採用したことから、トラクションコントロールは後輪のスリップ検知だけでなく、ABSも前後輪の回転差検知だけでもなく、いまバイクがどんな状態かを常時検知して、介入の度合いをコントロールできる。さらにエンジンブレーキコントロールやアンチウィリーも採用し、下り坂を感知すればABS介入を少なめにしてリアリフトを抑え、坂道発進を検知すれば、自動で再発進をアシストする。

 

電子制御が多岐にわたることで、操作を複雑にすることなく、より安全に、違和感なくバイクをコントロールしやすくすること――速く走るための電子制御ではなく、これがハヤブサに投入された電子制御技術だ。

 

スズキを代表するモデルであるハヤブサは、こうして変わりすぎることなく、じっくり熟成した進化を感じさせてくれる。どんどん進化することが美徳とされている現代で、じっくり長く、ずっと販売されてきたハヤブサ。その姿勢は、この先も変わることはないだろう。

 

  • 車両詳細

1340ccの排気量を持つ水冷並列4気筒エンジン。最高出力は197psから188psにダウンしたが、パワーダウンなどまったく感じさせない。トラクションコントロールやアンチウィリー、パワーモードセレクターも採用。

 

フリクション低減のためコーティングが施された倒立フォーク。ブレーキはブレンボ4ピストンキャリパー+Φ320mmローターで、初代から使用されている空力を重視したディープフェンダーもハヤブサらしいパーツだ。

 

ヘッドライトは縦型2灯式で、ロービームは上部4つのLED、ハイビームは下の丸型プロジェクター。光量は充分に明るく、左右エアダクト横にウィンカーが装備される。ライトケース内にも「隼」の文字が入る。

 

クッション厚も充分にあるシートは、着座位置の前半部分が内腿の形に合わせてシェイプされ、800mmというシート高の割に足つきは悪くない。リアシート下にETC車載器、リアシート裏にヘルメット用フックがある。

 

カウルサイドのエアアウトレットは、メッキモールがあしらわれ、ルーバー状のダクト部分にヘッドライトサイド、シートカウル部とコーディネートした挿し色があしらわれる。ひざまわりの防風効果もあるパーツだ。

 

中央に液晶をレイアウトした5連メーター。装飾も上品でゴージャスなのもハヤブサらしい。液晶表示にはオド&ツイントリップ、トリップ1&2の平均燃費と走行時間、瞬間燃費や残ガス走行可能距離などを表示する。

 

スズキの社内施設である風洞実験室によって空力特性を研ぎ澄まされたハヤブサ。ライダーが全伏せ姿勢を取ると、走行風がバイク上面+ライダーに沿って後方へ流れていくのがわかる。

 

 

●SUZUKI Hayabusa 主要諸元
■型式:8BL-EJ11A ■エンジン種類:水冷4ストローク直列4気筒DOHC4バルブ ■総排気量:1,339cm3 ■ボア×ストローク:81.0×65.0mm ■圧縮比:12.5 ■最高出力:138kw(188PS)/9,700rpm ■最大トルク:149N・m(15.2kgf・m)/7,000 rpm ■全長× 全幅× 全高:2,180 × 735 × 1,165mm ■ホイールベース:1,480mm ■シート髙:800mm ■車両重量:264kg ■燃料タンク容量:20L ■変速機形式:常時噛合式6段リターン ■タイヤサイズ:120/70ZR17M/C・190/50ZR17M/C ■ブレーキ(前/後):油圧式ダブルディスク(ABS)/油圧式シングルディスク(ABS) ■車体色:ブリリアントホワイト×パールビガーブルー、グラススパークルブラック×メタリックNo.2、サンダーグレーメタリク×キャンディダーリングレッド ■メーカー希望小売価格(消費税込み):2,156,000円

 

制作・協力

■試乗・文:中村浩史 ■撮影:増井貴光 ■協力:SUZUKI ■ウエア協力:アライヘルメット、クシタニ

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