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【BMW CE 02】ガソリンエンジン車より圧倒的に気軽に乗れる!若者向けへ振り切ったBMW CE 02
- 中古バイクカタログ
- 2024.02.29
今回は【BMW CE 02】を紹介します!

BMWモトラッドがポルトガルの首都リスボンにて、ニューモデル試乗会を開催した。テストライドしたのは、電動の新型車CE 02。2021年にコンセプトモデルとして公開され、いよいよ日本でも今春デビューとのこと。ターゲットは10代を中心とした若者たちとしている。電動モビリティへの抵抗感が少ない世代だ。
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斬新なスタイルに惹きつけられる
スケートボードのようにまっ平らなシートにまたがって走る、その見た目からして新しさに満ち溢れている。前後ホイールは14インチで、足まわりを17インチ以上にしたフルサイズ車よりはコンパクトだが、小型コミューターのような華奢な感じもしない。
それは走りにも言えることで、想像以上の走破力を持っている。リスボンの旧市街には石畳の道が多く残り、凹凸から受ける衝撃がなかなか手強い。12インチ以下の小径タイヤならハンドルをとられるところだが、スムーズによく動き踏ん張りの効く前後サスペンションのおかげもあって、ガタガタ道もたくましく乗り越えていく。
路面電車の線路が敷かれ、スリッピーな路面であるものの、タイヤが空転すればトラクションコントロールも程よく介入。スロットルワークに、神経質になることも必要ないのだ。
誰でも乗れる二輪モビリティ
最高出力は11kW(15PS)を発揮し、最高速は95km/hに達する。日本での免許区分は以下の通り定格出力で定まり、6kWであることから軽二輪扱いとなる。
■日本における電動バイクの免許区分(定格出力)
0.6kW以下:原付1種
0.6kW超1.0kW以下:原付2種
1.0kW超20kW以下:軽二輪
20kW超:大型二輪
じつは欧州では最高出力4kW(5.4PS)、最高速45km/hに抑えた仕様もリリースされる。ガソリン車なら50ccモペットに相当し、取得するのがもっとも容易いAM免許で運転ができる。ただし4kWモデルは、日本の免許区分では定格出力が3.2kWであることから、フルパワー仕様と同じ軽二輪扱いとなる。4kWモデルのメリットは特に感じられないので、日本上陸はなさそうだ。
何が言いたいのかというと、つまりCE 02は二輪のエントリーユーザーをターゲットにしていて、開発チームは若者向けに設計し製品化を考えてきたことである。我々ジャーナリストらと一緒に走り、さまざまな意見に耳を傾けてくれたプロジェクトリーダーは「16歳以上なら誰でも乗れる」と、胸を張った。
その言葉通り操作はとても簡単で、右手のスロットルグリップをひねれば進み、左右のレバーを握ればブレーキが効く。ABS搭載だから、ホイールロックの心配も要らない。
ギヤチェンジなしだから、ライダーはBMXのように気の向くままステップに足を載せていればいい。前方のペグを使えばクルージング用のフォワードコントロールになり、後ろに足を置くならスポーツ走行時のバックステップとして最適となる。状況や気分によって前後ペグを使い分けできるなんて、既存のバイクにはなかった自由な発想で、若者らが好むBMXのようでもあるから面白い。
自転車やスクーターとの決定的な違いは、前方にせり上がったシートのおかげで、ニーグリップができることだ。身体をしっかりとホールドでき、アグレッシブなライディングにも対応。前述した通り、荒れた道もたくましく走ることを実現している。
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都市内移動での機動力が高い
最大トルク55Nm(5.6kg-m)を1000rpmまでに発揮し、加速性能が特にいい。ストップ&ゴーを繰り返す市街地では、その持ち味を存分に発揮した。
先進的なライディングモードが搭載され、「フロー」は穏やか、「サーフ」は中間的、強力にダッシュし回生ブレーキの効きも強いのが「フラッシュ」となる。
公表値での航続可能距離は95km(WMTCモード)と、既存のバイク乗りからすると少し物足りない。しかし、開発チームは「都市で乗るには充分」と割り切っている。プロジェクトリーダーによれば「電動バイクを所有するユーザーからのリサーチでわかった」と、キッパリと言い切り自信を見せる。
BMWモトラッドは二輪EVの黎明期である2014年から、大型スクーターC650系をベースに電動化した「Cエボリューション」を欧州で発売し、日本市場にも2017年に導入。2022年には後継となるCE 04をリリースしている。原付2種までのモデルが多い中、早くから軽二輪クラスのEV車を製品化させてきた実績があり、培われたノウハウもすでに膨大に獲得している。開発陣はCE 04までのオーナーの声に耳を傾け、調査した結果、用途は都市内での移動がほとんどで「長い距離を走行しないことがわかった」と、教えてくれた。
今回、リスボンでのテスト走行では、グリップヒーターも使いつつ約60kmを走った結果、バッテリー残量はおよそ20%だった。走行可能距離は、あと20kmとメーターが示していたことも報告しておきたい。
静かにスマートに街を駆け抜ける姿は、街を歩く人々に注目されたが、きっと日本の大都市でもそうなるだろう。都会に住む若い世代に受け入れられるか否かは、価格設定も大きな要素となるはずで、それがわかる国内発表が待ち遠しいかぎりだ。注目していきたい!
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車両詳細
足つき性に優れ、身長175cm/体重66kgの筆者だと、地面におろした両足の靴底はカカトまでべったり届く。シート高は750mmで、試乗車にはプラス10mmクッション厚を増したオプションのコンフォートシートが備わっていた。
アウターチューブをゴールドで仕上げた倒立式のフロントフォークは、37mmのインナーチューブ径で129mmのスプリング量を持つ。
ディスク径239mmの穴あきローターに、片押し2ピストンキャリパーを組み合わせたフロントブレーキ。メッシュホースが採用され、制動力やタッチ、コントロール性に不満はなかった。
BMW Motorrad Connected アプリをインストールしたスマートフォンなら、Bluetooth接続によってハンドルスイッチでも操作を可能としている。バッテリー残量や航続可能距離をメーターだけでなく、スマホでも表示させることができる。
座面をフルフラットにしたダブルシートは、まるでスケートボードのよう。日本では軽二輪登録となり、タンデムもできる。パッセンジャーが握るためのグラブバーも備わった。
車体中心、低い位置に電動モーターを搭載し、リヤタイヤをベルト駆動する。ホイールインモーターではなく、ファイナルドライブを設けることで高い運動性と車体の安定感を生み出している。
ディッシュホイールに幅150mmのワイドタイヤを履くリヤホイールは、片持ち式のスイングアームに懸架される。車体左側にオフセットマウントされたサスペンションはモノショック式で、102mmのスプリング長を持ち、プリロード調整ができる。
日本仕様ではクイックチャージャータイプの急速充電器が付属となり、140分で80%、210分で100%のフル充電ができる。コネクターを見る限り、CHAdeMOなどとは互換性はなく、専用の充電器にて家庭用電源を使ってチャージする方法だとわかる。
●BMW CE 02 主要諸元
■登録クラス:軽二輪 ■最大出力:11kW(約15PS)/5000rpm ■定格出力:6.5kW(約8.8PS)■最大トルク:55Nm(5.6kg-m)■バッテリー種類:リチウムイオン電池 ■バッテリー最大定格容量:4.6kWh ■バッテリー電圧:12V ■全長×全幅×全高:1970×845×1140mm ■シート高:750mm+10mm ■車体重量:132kg ■駆動方式:ベルトドライブ ■航続距離:95km(WMTCモード)■最高速度:95km/h ■充電時間:140分(80%)/210分(100%)■ホイールリムサイズ(前・後):2.5×14・3.5×14 ■タイヤサイズ(前・後):120/80-14・150/70-14 ■乗車定員:2名 ■発売時期:2024年春(予想)■価格:未定
■試乗・文:青木タカオ ■撮影・協力:BMW MOTORRAD JAPAN