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【BMW R1300GS】GSからアドベンチャーバイクが変わる! BMW、渾身のフルモデルチェンジの実力

  • 中古バイクカタログ
  • 2024.02.15

今回は【BMW R1300GS】を紹介します!

10年ぶりにフルモデルチェンジを受けたGSのフラッグシップ、R1300GSが登場した。90%を超す新作パーツで構成された完成度を、スペインで走った450kmから報告したい。

 

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  • R1300GSの特徴

 BMWの主力機種であるR1250GSがR1300G Sへとフルモデルチェンジを果たした。それは10年ぶりとなる大変更で、BMWは90%以上のパーツを刷新した。振り返れば2013年に登場した先代はR1200GSとして登場し、中期マイナーチェンジで排気量アップや可変バルタイ+バルブリフトを行うシフトカムシステムを投入。そこで得たクラス最大のトルクとさらなる乗りやすさ、持ち前の人気もあってこれは世界的にみてもブッチギリのシェアを獲得するにいたっている。

 

 このジャンルのペースセッターであると自認するBMWにとってもGSのフルモデルチェンジは大事業であり、そのコンセプトワークはすでに5年ほど前から進められていた。

 

 新型開発の基本コンセプトは軽くコンパクトにすること。大型化するアドベンチャーバイクのトレンドはBMWが造りだしたものでもあったが、ここ数年、オフロード性能の充実やミドルクラスの性能向上もあり、走りがトレンドになりつつある。そのトレンドをプレミアムクラスとしての方向性を見事に射貫いていた。

 

 実際に同程度の装備の仕様で新旧を比較すると、R1300GSはR1250GSよりも12kgの軽量化に成功している。実際に両車を並べると1300GSがミドルクラスモデルに見えるほどあらゆる部分がコンパクトに見える。設計思想が両車を並べるだけで解るものだ。例えば特徴的なノーズ部分。1250GSのもっとも細くなった部分が1300GSではもっとも広い部分と同等の幅である。燃料タンク回りのデザインも、ライダー側からタンクの頂上部の給油口へとつながるラインがなだらかで、1250GSが持っていた「存在感」とは大きく異なっている。

 

 エンジンの排気量を1300ccへと拡大。新設計されたエンジンは水冷水平対向2気筒というレイアウトこそ同じだが、内容は全く異なるエンジンに仕上がった。コンパクト化するためクランクシャフト下にミッションを納めることで全長を短縮。1250時代はミッションをエンジンケース左後方に装着していたのだ。ボアを4mm大きくストロークを3mm短縮。圧縮比は13.3へと高めている。面白いのはカムチェーンのかけ方を左右のシリンダーで前後に振り分けた(右気筒用はエンジン前側、左気筒用はエンジン後ろ側に配置)こと。これによりコンロッドとクランクシャフトの結合位置の前後差(左気筒のクランクピンが前、右気筒が後ろ)に起因した左右シリンダー全体の前後差を吸収したことだ。これは大柄なライダーがオフロードブーツを履いた時でも、つま先、足元のスペースを拡げる助けにもなった。

 

 7kWと6N・m上昇したスペックは最大トルクキングの名をそのまま継承させている。先代と比較して一次減速比を少々高めにセット、1~ 4速までのギアレシオは1250と同様。5、6速はハイギアード化された(ファイナルレシオは同じ)ことでクルージング燃費も向上させている。

 

 車体の進化もあった。小型軽量高剛性を目指しメインフレームを鋼板を使って成形。形状はツインチューブ風で、リアサブフレームはアルミダイキャスト製とした。パッケージとしての剛性を高めつつ、フレームが外観意匠にもなっていてサイドカバーなどのパーツを削減しているのも見逃せないアプローチだ。

 

 また前後のサスペンションも刷新され、走行性能アップを目的として、フロントはインナーチューブ径を大きく拡大し、支持方法も刷新したものに。そもそもA型アームを持つテレレバー式を採用するのは同じだが、かつてスポーツモデルだけに採用していたインナーチューブの支持方式をGS用にアップデイトして搭載。また、短縮化されたエンジン長によりスイグアームは延長され、その外観も刷新された。またツーリングパッケージ車には電子制御で、停止する前後に自動で車高が下がる機能も追加された。

 

  • 試乗インプレッション

これらの変化がもたらすものは走り出して5秒で解るものだった。まずハンドリングが軽い。まるで前後17インチのストリートファイターのようだ。低速から意のまま感が高い。それは市街地、郊外、そして試乗したスペイン南部の流れの速い高速道路でも同じだった。カウルも小型になったがプロテクション性能は同等以上の快適さ。また、ワインディングではラインをそれこそ5cm単位で選択出来るようなハンドリングで走りに没頭できる。

 

 サスペンション、ブレーキのバランスも絶妙で、スポーツキャリパーと呼ばれるグレードアップしたユニットを装備した試乗車では高速領域からでも指一本で楽々とコントロールが可能で、マッタリした部分を削ったチューニングがなされている。タイヤの旋回性、グリップも従来からあるタイヤにもかかわらず、まるでスポーツツーリングタイヤを履いているバイクのような動きだ。ロード性能に関してほぼツッコミどころナシ。エンジンの出力特性もBMWのボクサーエンジンらしい扱いやすさと、低いギアで開けた時の爆速感が1250GSとの比較をためらうほど。

 

 ダートではどうか。一言で表現すれば舗装路に同じであった。このバランスが凄い。どっちも捨てていない。あれほどパワフルに感じたエンジンは、ドライブモードであえてマイルドにしたてた「エンデューロモード」ではしっかりとトラクションを生み出し、厳しいヒルクライムでも掘らずにしっかりとグリップを生み出してくれる。勿論アクセルの開け方ひとつで剛にも柔にもなるもので、スキル次第で奥深い世界が待っている、そんな印象だった。

 

  • 車両詳細

BMW R1300GS 主要諸元

■エンジン種類:空・水冷4ストローク水平対向2気筒DOHC4バルブ ■総排気量:1300cm3 ■ボア×ストローク:106.5×73.0mm ■圧縮比:13.3 ■最高出力:107kW(145PS)/7,750rpm ■最大トルク:149N・m(15.2kgf・m)/6,500rpm ■全長×全幅×全高:2,210×1000×1,405(STD、スクリーンロー)mm ■軸間距離:1,520mm ■シート高:850mm(GSスポーツ:870mm、ツーリング:820-850mm) ■車両重量:250kg(スポーツサスペンション装備:260kg、アダプティブビークルハイトコントロール装備:258kg) ■燃料タンク容量:19L ■変速機形式:6段リターン ■タイヤ(前・後):120/70R19・170/60R17 ■キャスター角:63.8度 ■トレール量:112mm ■ブレーキ(前・後):油圧式ダブルディスク(ABS)・油圧式ディスク(ABS)■車体色:レーシング・ブルー・メタリック、ブラック・ストーム・メタリック(GSスポーツ:レーシング・ブルー・メタリック/ツーリング:レーシング・ブルー・メタリック、ブラック・ストーム・メタリック、アウレリウス・グリーン・メタリック) ■メーカー希望小売価格(消費税込み):2,843,000円~3,368,000円

※装備・カラーリングの違いにより、R1300GS/R1300GS・GSスポーツ(Trophy)/R1300GS・ツーリングの3グレードが設定されている。

 

R1300GS Trophy

 

R1300GS

日本に展開する新型GSは全車スポークホイール、スポーツキャリパーを装着する。X形状のDRLと中央にLEDヘッドライトを装備。ライト上には装着機種にはミリ波レーダーを使ったACC機能も備えている。

 

カムチェーンで直接カムスプロケットを駆動するようにしてパーツを削減した新エンジン。扱いやすさと性能は高い。

 

赤文字でBMWと記されたスポーツキャリパー。タッチ、性能とも高く軽量でもある。ディスクプレートも大径化された。

 

BMW独自のテレレバーサスペンションをフロントに装備。ショックユニットはセミアクティブ制御されるもの。

 

ユニバーサルジョイント部分を大型化することでストローク時の作動性ストレス低減で耐久性を向上させたドライブ周り。

 

ネイキッドモデル、S1000系のようなスポーツ表示も可能にしたメーター。6.5インチTFTモニターは数少ない継承部品。

 

オフロードパッケージ車を除きナックルガードにウインカーを装備。被視認性をより高めているのがミラー越しでも解る。

 

高さ2段階調整可能なライダーシート、工具や取り外すことなくスライドできるリアシート。シートヒーターも装備する。

 

ミリ波レーダーを後方にも装備。BSD機能をミラー内に表示する。音波式と異なり後方から接近探知範囲が大きい。

 

制作・協力

■試乗・文:松井 勉 ■写真:BMW Motorrad ■協力:BMW Japan-Motorrad

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