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【Harley-Davidson BREAKOUT】「ゲテモノ」から「傾奇者」へ  超個性的「純正カスタム」の確かなリファイン

  • 中古バイクカタログ
  • 2023.09.01

今回は「Harley-Davidson BREAKOUT」を紹介します!

それぞれ個性的なハーレーのラインナップの中でもひときわ個性を放つ「ブレイクアウト」が新型に。ミルウォーキーエイト117エンジンを搭載するだけではなく、ちょっとしたツーリングも楽しめる実用的な進化も果たしている。

  • スタイリング

 数あるハーレーラインナップの中でも、これほど突き抜けたというか、ある意味極端なモデルもそうないだろう。「ブレイクアウト」シリーズはハーレーの純正カスタムとも言えるような立ち位置で2013年に登場。ハーレーカスタムスタイルの中でも一定の支持層が常にいる、ファットリアタイヤ、大径フロントホイール、そしてロー&ロングを、ハーレー側で、ハーレークオリティで、パッケージ化したものを提供してくれたというもの。初期はツインカム96エンジンを搭載していたが、徐々に排気量も拡大し、最新モデルではミルウォーキーエイトの大きい方の排気量、117キュービックインチ(約1923cc)エンジンを搭載するに至っている。

 

 新型でも迫力のリア240幅タイヤは継承し、フロントも21インチという大径ホイール。しかも切削加工がなされた26本スポークのホイールデザインもカスタム感が非常に高い。エンジン横に突き出したエアクリーナーシステム「ヘビーブリーザーエアインテーク」もクロームが輝くアピールポイントで他のハーレーとはちょっと違うぞ! という楽しさがある。

 

 ハーレーといえばまるっきり純正で乗る人は少数派だろうが、カスタムしていくとなると星の数ほどあるパーツからどうセンス良く作り上げていくかというのは、なかなか難しいトコロ。また自分の感覚に合うショップとうまく出会えるかも大切だ。そんな「普通のハーレーでは物足りない。とはいえカスタムの世界に入っていくのもちょっと怖い」といったユーザーにブレイクアウトは手を伸ばす。こんな形をしているのに純正なのだから、色んな意味で安心であり、それでいて「ドヤ感」は非常に高い。

 

 大まかなスタイリングと変わらぬ迫力を引き継いでいる新型だが、変更点はエンジンだけではない。ハンドルライザーが変更されハンドル位置が19mmも高くなっていること、そして燃料タンクが18.9Lへと大型化したこと、さらにクルーズコントロールが追加されたことなどから、かつてのストリートドラッガー的立ち位置からもう少し距離を伸ばした、ツーリングも意識した仕様に進化したと言えるだろう。

 これまでのブレイクアウトは乗り味うんぬんの前に、とにかくポジションが独特過ぎ! という印象が強かった。ハンドルが低い位置にあり尻は後方に引かれ、それなのに足はかなり前方に投げ出すスタイル。身体が「く」の字に曲げられるため内臓が潰され、食後には乗れないぞ……といった印象だったのだ。しかもエンジン特性もわりと乱暴というか、サスストロークが少ないことや極端なライディングポジションのせいで、街中をドカドカッ!と走って「どうだ良いだろう!」と言うためのバイク、といった感覚があった。純正でこうなっているとはいえやはりカスタムバイク、性能面でどうこう評価するものではないのだろうと思っていたのだ。

 

 ところが新型はその(良くも悪くも)ゲテモノ的な部分がだいぶ薄まっていた。強大なトルクを発するエンジンが頼もしいだけでなく、極低回転域でのアクセル操作にとても従順で、回転の上がり下がりが意志通りになっているのだ。そんな当たり前な……と思うかもしれないが、そこら辺がファジーなのがハーレーの個性でもあるわけで、そこは好みが分かれる部分だったと思う。この新型ブレイクアウト、及び最近のミルウォーキーエイトエンジン全般においてだが、この領域のマナーがとても洗練されたおかげで扱いやすさがグッと高まっている。そして何より、ハンドル位置が高くなっているのが素晴らしい! 容量拡大のタンクに合わせてシートも変更されているのだが、そういった総合的な見直しで身体の「く」の字感が薄まりバイクを操りやすくなり、もっと自信をもって付き合えるようになったのだ。

 

  • 試乗インプレッション

 走り出すとポジションが適正化されたとはいえ、ロー&ロングは変わらず、路面に這いつくばって巨大なエンジンでスッ飛んでいく感覚は先代同様だ。低回転域では扱いやすく、その先では明らかにパワフルになったエンジンによりドラッグ的な感覚はなお強くなり、ストロークの少ないサスペンションによりダイレクトに路面を蹴っていくのが伝わってくる。本当に、ただ直線でアクセルを開けるだけで滅法楽しい。

 

 加えて意外なことにコーナリングにも楽しさがあった。240幅のタイヤと聞くとコーナリングは厳しそうな印象もあるが、高速コーナーに突っ込んでいき車体を寝かし始めると、寝たがらないリアタイヤを大径フロントタイヤが優しくコーナーへと導いてくれ、ちゃんと旋回力が発揮され始めると路面に張り付いたエキサイティングなコーナリングが楽しめる。ライダーの目線が路面に近く興奮度も高いこのコーナリング、ステップを擦るようなバンク角においても安定しているためそこからさらにシフトアップしてバコッ!とアクセルを開けてさらに路面を蹴っていきたくなるのだった。

 

 先代までのブレイクアウトは、良くも悪くも(主にポジションの極端さゆえ)「ゲテモノ」感がありそれがアピールでもあっただろう。しかし新型では同様の個性はありつつも、それは「ゲテモノ」から「傾奇者」に進化したように感じる。決して本道ではない、が、そこに確かな面白さがある。……というのを、より多くの人に理解してもらえるのではないか。何より食後にも乗れるようになったのがありがたい。

 

●BREAKOUT主要諸元

■エンジン種類:空冷4ストロークV型2気筒(Milwaukee-Eight117)■総排気量:1,923cm3■内径×行程:103.5×114.3mm■最高出力:76kW(102HP)/5,020rpm■最大トルク:168N・m(17.13kgf・m)/3,500rpm■変速機:6段リターン■全長×全幅×全高:2,370×-×mm■軸間距離:1,695mm■最低地上高:115mm■シート高:665mm■車両重量:310kg■燃料タンク容量:18.9L■タイヤ(前・後):130/60B21 63H・240/40ZR18 79V■ブレーキ(前・後):油圧式ディスク・油圧式ディスク■車体色:ビビッドブラック/ブラックデニム/バハオレンジ/アトラスシルバーメタリック■メーカー希望小売価格(消費税込み):3,264,800円(ビビッドブラック)/3,319,800円(他3色)

 

  • 車両詳細

ミルウォーキーエイト117エンジンを搭載する新型ブレイクアウト。カラーは試乗車の「ブラックデニム」が最も落ち着いた色合いで、その他写真の「ビビッドブラック」、モダンな「アトラスシルバーメタリック」(グレー)、そしてイメージカラーでもある「バハオレンジ」をラインナップ。ポジションが適正化されたとはいえ、ドラッグスタイルは不変だ。

 

正面から見るとヘビーブリーザーエアインテークがホットロッド的な佇まいでひときわ目立つ。また、リアから見ればミシュランの240幅タイヤに目を奪われる。前後左右どこから見てもカスタム感が高い一台だ。

 

回転数に関わらずアクセルを大きく開ければドカドカッと巨体を進める。極低回転域での扱いも洗練され、低速域もストレスが少ない。

 

マフラー2本を連結するバイパスパイプはあるものの、各シリンダーからストレートに排気しているイメージはデザイン的にも力強い。

 

エンジン右側に突き出すエアクリーナー「ヘビーブリーザー」は、クロームのカバーがついてカスタム感を演出するアイテムでもある。

 

キャストなのにスポークが多く、かつ互い違いに切削されていて本当に「手が込んでいる」という印象。まさに純正カスタムマシンだ。

 

リアショックはシート下のソフテイル系フレームだからリアのホイールも見えやすい。ベルトドライブで静か&メンテナンスも容易。

 

シートも変更され着座位置は前方に微調整。相変わらずホールド感は高く、ドラッグ的な加速をしてもしっかりと支えてくれた。

 

丸形状の中にLEDをうまく入れ込んでいるヘッドライトは魅力的。ハーレーの新旧の癒合の取り組みは見習うべきものがあると思う。

 

ハンドルクランプ上に位置する超シンプルなメーター。速度と時計と燃料計、他に何が必要なものか! このシンプルさは称えたい。

 

スポーツスター系は左のスイッチボックスにウインカーを集約した一般的なスイッチ配置になっているが、ブレイクアウトはハーレーがずっとやってきた左右独立ウインカースイッチを採用。メインキーは電子キーで、キルスイッチでオン/オフをする。左スイッチボックスには新採用のクルーズコントロールのボタンを配置。複雑な電子制御が一切なく、バイク本来の魅力を追求していると感じた。

 

制作・協力

■試乗・文:ノア セレン ■撮影:ハーレーダビッドソン、ノア セレン ■協力:ハーレーダビッドソンジャパン

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