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【Harley-Davidson SPORTSTER S】クラウチング・マッスルスポーツ

  • 中古バイクカタログ
  • 2023.04.27

今回は「Harley-Davidson SPORTSTER S」を紹介します!

ハーレーのエントリーモデルとしての気軽さや、チューニング次第で高いスポーツ性を満喫できた「スポーツスター」ブランド。水冷化によりその性格は少し変わった。低く・力強く・マッチョなその姿、その通りの走りがストリートで弾ける。

 

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  • あのオーナメントのような

 以前の「パパサン」などと呼ばれて親しみやすかったスポーツスターに比べると、ルックスの時点で隔世の感がある水冷スポーツスター。存在感のある水冷エンジンが搭載されているということだけでなく、全体的な高級感・マッチョ感・仕上げの美しさや塗装のクオリティまで、特にこの「S」はもはやエントリーモデルとは位置づけられない魅力にあふれている。

 

 スポーツスターの名前こそ同じだが、スポスタSはとにかくマッスルだ。低く構えたスタイリングと一人乗りと割り切ったショートテール、アップタイプのマフラーと何よりも極太の前後タイヤ、こんな要素がいわゆるかつてのスポーツスターが持っていた正当なスポーツ性とはまた違った雰囲気を醸し出している。筋肉の塊・エネルギーの塊、といったイメージで、マッチョさが前面に出ているのだ。

 

 跨るとまたコンパクトさに驚く。現車はミッドコンになっていたため足の位置はノーマルとは違うが、ハンドルは低くシートもミニマル、視線は路面に近く、気分は英車ジャガーのあのオーナメントのようだ。筋肉隆々な動物に跨っているような、「これは凄い体験になるぞ!」と走り出す前から気分が盛り上がる。

 

水冷DOHC、可変バルブ機能も備える専用チューンエンジン

 この水冷ユニットはハーレー初のアドベンチャーモデル「パンアメリカ」にも搭載されたもので、あちらでは150馬力を発する。水冷のDOHC、可変バルブ搭載により全域で大変パワフルな、ハーレーの次世代エンジンである。

 

そんなエンジンをスポーツスターSではピークを121馬力に抑えた代わりに、中回転域トルクを増強してストリートユースに合わせ込んだ。おかげで3000回転ほどでもの凄いトルクが盛り上がり、ストリートユースをより刺激的なものにしてくれているのだ。

 

始動させると以前の空冷スポスタとは別次元の洗練されたフィーリングがありつつも、エンジンからのメカニカルノイズはハーレー的で味わいも確かにある。目の前のメーターはクラシカルな丸型にもかかわらず、中には指針はなくカラー液晶でしかもデザインがアメリカンなカッコ良さを持っていた。走行モードも備えるが、なんだかそんなことはあまり重要ではない気になり、最もパワフルなSモードで走り出した。

 

DOHCと言えば高回転高出力を連想しそうなものだが、この「レボリューションマックスエンジン」は低回転域から非常にパワフル。一部欧州車のような極低回転域でのギクシャク感は皆無で、走り出しには国産車的な接しやすさがある。しかしその先はすぐに興奮領域に突入。3000回転も回っていればとんでもない加速をしてくれるのだ。そこからさらに高回転域まで引っ張り切っても強烈な加速は持続するものの、敢えて4000回転ほどでシフトアップしてしまい、またアクセルをバカッと開けると、再びトルクに乗って素っ頓狂な加速を始めるのだ。

 

跨った時にはネコ科のマッチョさを連想したものの、実際に走るとそんなしなやかな印象ではなく、むしろバッファローや、もしくはサイのような、がむしゃらに猛進するイメージだった。どれだけスピードが出る、ということではなく、信号発進といった日常的な場面でどれだけそのパフォーマンスを楽しみ得るか、という味付けだろう。本当にストリートを走り回っているだけで滅法楽しいのである。

 

  • 極端な足周りが走りをサポート

 強烈なエンジンをより楽しませてくれるのがミニマムな車体だろう。とにかく路面に近いため実速度以上に臨場感があり、四輪のスポーツカーに乗っているような感覚に近い。加えて前後サスのストロークが少なく、よってよりダイレクトに路面状況が伝わってきて、パワーがどこにも緩衝されることなくそのまま路面に伝わっている感覚が強く、ますますエキサイティングなのだ。

 

 ただ一方で、ダイレクトだからこそ路面の継ぎ目やギャップには気を付けたい。超絶加速を楽しんでいる時にギャップでも踏もうものなら尻が付きあげられ体が浮いてしまうほどのため、路面をよく見て、そんな場面ではスッと尻を浮かせるような操作をした方が良さそうだ。そのためには現車についていたミッドコンステップは必須にも思える。

 

 なおフロントに160幅という極太のタイヤを履いているのも特徴。通常のスポーツバイクでは120サイズが一般的なことを考えると、スポーツの観点からはどうかな、とも思ったが、走り出しのタイヤが冷えている時こそハンドリングに重さがあったものの、一度熱が入ってしまえばナチュラルな操舵性を見せてくれて一安心だった。リアは180幅、前後サスのストロークの少なさを、このエアボリュームの多いタイヤで補っているという部分もあるだろう。何よりも見た目のインパクトは強大である。

 

やはり「ハーレー入門」として

 かつてスポーツスターブランドはハーレーの入門というか、サイズ的にも価格的にも手を出しやすいラインナップだったといえるだろう。水冷スポスタSは強烈なエンジンや個性的なハンドリングを持っていながら、しかしそのミニマムなサイズ感や低速域でも無理のないエンジン特性などは確かにハーレー初心者でも接しやすいと感じる。加えて、ウインカースイッチがハーレー伝統の左右独立タイプではなく国産車同様に左側に集約されていたりと、国産車からの乗り換えもスムーズにできそうである。

 それでいて入門機で終わらないのも魅力だろう。かつての空冷スポスタも(特に1200の方は)入門機以上の魅力を放っていたし、手を加えて自分好みに合わせ込んでいくという楽しみがあった。そしてこの水冷スポスタにも似たフィーリングを感じる。

 

 水冷のハーレーを、市場はどう受け取っているのだろう、と試乗会場にいた関係者に問うたら、昔からのハーレー愛好家の多くはまだ空冷機を向いているものの、新規ユーザーや若者層は水冷機に対して何もハードルはなく選んでいる、とのこと。むしろこのスポスタSのような個性的な構成を積極的に楽しんでいる層が確かに育っていると聞いて嬉しくなった。

 本流の「スポーツ」からは少し外れ、日常領域・ストリートという環境でこそ、そのスポーツ性を満喫できる構成に生まれ変わったと感じるスポーツスター。新規にハーレーに興味を持った層にも、既に空冷ハーレーを良く知っている層にも、是非味わってもらいたい魅力にあふれていた。

 

  • 車両詳細

水冷エンジンに倒立フォーク、ファットなラジアルタイヤなど、新たなスポーツスター像を提案。ミニマルな構成で足着きも良好という意味でも、新たなハーレーユーザーや大排気量車へとステップアップする人にとっても接しやすいだろう。

 

レボリューションマックスエンジンの大きい方の排気量、1250を搭載。同系列エンジンを搭載するパンアメリカは150馬力を発するのに対し、こちらは121馬力に抑えた代わりに常用域トルク重視のチューニングを施しているため、高回転域まで回さずとも非常に強力な加速を見せる。

 

一人乗り仕様と割り切ったおかげでミニマムなトラッカーシートを採用する。二本出しのアップマフラーと言い、そのイメージはかつてハーレーが大活躍したフラットトラッカー。シートは幅も少なめでシートというよりはサドルを連想するが、しかしホールド性は悪くなく強烈加速にも対応する。

 

フロントには160幅という、スポーツバイクの前輪としては規格外の太さのタイヤを履く。温まるまではハンドリングに重さがあるが、内圧が上がれば意外やスムーズな操作性を見せた。ブレーキはシングルながら制動力十分。

 

パイプワークが魅力的なスイングアームの先からはトレンドでもあるナンバーステーが伸びる。駆動はベルトドライブ。リアサスはリモート式のプリロードアジャスター付き。ステップはミッドコンに変更されていたが適正な位置に思えた。

 

丸型メーターながら中身はカラー液晶でしかもそのデザインがとてもカッコ良かった。モード表示などもミニマルでスマート、ただ老眼世代には速度計以外全ての表示が少し小さいかもしれない。

 

ヘッドライトは他車種にも搭載されている横長の未来的なデザインだが、ウインカーは丸形状を守るなど新旧のバランスが絶妙。なおハンドルロックがトップブリッヂのとてもアクセスしやすい場所にあったのは良かった。

 

左右のスイッチボックスはかなり多くのボタンが並び、もう少し簡素でも良かったと感じるもの。しかしスマホとのコネクトや、アクセサリーのグリップヒーター接続など考えると、あらかじめ様々な使用用途をカバーしてくれているとも言える。何よりもウインカースイッチが左側に集約されたのを歓迎したい。なおブレーキはマスターシリンダーもブレンボを採用し、レバーの幅もハーレー伝統の太いものではなく一般的な細いものに改められ、ここでも接しやすさを感じた。

 

ハーレーダビッドソン・スポーツスターS 主要諸元
■エンジン種類:可変バルブタイミング機構付き水冷4ストロークV型2気筒DOHC REVOLUTIONMax1250T ■総排気量:1,252cc ■ボア×ストローク:105×72.3mm ■圧縮比:12.0 ■最高出力:90kW(121PS/7,500rpm)■最大トルク:125N・m/6,000rpm ■全長×全幅×全高:2,270×──×──mm ■軸間距離:1,520mm ■シート高:765mm ■車両重量:221kg ■燃料タンク容量:約11.8L ■変速機形式: 6段リターン■タイヤ(前・後):160/70R 17・180/70 R16 ■ブレーキ(前/後):320mmシングルディスク+ラジアルマウント4ポットキャリパー/260mmシングルディスク+2ポットキャリパー ■懸架方式(前・後):テレスコピック式・スイングアーム式 ■メーカー希望小売価格(消費税10%込み):2,494,800円~

 

制作・協力

■試乗・文:ノア セレン ■写真:Harley-Davidson Japan ■協力:Harley-Davidson Japan

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