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【Honda CB1300 SUPER BOL D'OR SP 30th Anniversary】普遍的な魅力を磨き上げて30年 ホンダ流、上質を積み重ね完熟

  • 中古バイクカタログ
  • 2023.10.25

今回は【Honda CB1300 SUPER BOL D'OR SP 30th Anniversary】を紹介します!

一世を風靡したCB1000SFから30年。今も現役で一線を走る「スーパーフォア」ブランドは変わらぬ魅力にあふれていた。

が、同時に古く感じさせない細かなアップデートも確かにあった。

「古いのに古くない」「印象の良い古くささ」が魅力だろう。

 

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  • 「古いのに古くない」「印象の良い古くささ」

 上質さを積み重ねる、と言うのは簡単だが、時代が変わると積み重ねてきたものが古くさく感じてしまうこともあるだろう。少し前の経験だが、かつてのホンダのフラッグシップ、CBR1100XXスーパーブラックバードに乗った時のこと。あれだけ最高で、これぞホンダ!素晴らしい!と感動したあのブラックバードが、今乗ると「あれ、なんだか古い乗り物になってしまったな」と感じたのだ。実際に古い乗り物なのだが、それでもあの時あれだけ良かったものが、「古くさい」という印象となることに驚く。90年代以降、オートバイは大して進化していないじゃないか、なんて思うこともあるが、決してそんなことはないのだ。着実と日々進化を続けており、かつてのフラッグシップも(今でも魅力はあるが)確かに過去のものにしてしまう。

 

 さて、遡ればスタート地点はブラックバードよりも4年先輩の1992年に初代CB1000が発売開始されたスーパーフォアである。登場から30周年となり、その間にビッグネイキッドというカテゴリーはすっかり下火になってしまいライバルもほぼいないという状況だ。そんな中でもネイキッド版とハーフカウルの「スーパーボルドール」そしてそれぞれに高級足周りを奢ったSP仕様をラインナップするなど、精力的に展開を続けている。

 

  • 試乗インプレッション

今回の試乗は前後にオーリンズサス、そしてブレンボのキャリパーを装着したSPとなるが、しかし鉄のダブルクレードルフレームにトルクフルな大きなエンジンが載っていて、正立フォークに2本ショックという初期型から受け継がれる車体構成は不変だ。いくらなんでも、あのブラックバードのように古くさく感じてしまうだろう……という予想通り、確かに古くさいのである。ネイキッドカテゴリーの今を見ると、ストリートファイター系のモデルが多く、さらにはヤマハのように3気筒という個性をアピールしている車両もある。Z900RSのようなクラシカルモデルさえもベースとなっているのはストリートファイター系のため、ルックスはクラシカルでも乗り味はモダンだ。対するスーパーフォアは、かつてのビッグネイキッド像を変わらず貫いていて現代的なスポーティさを追求していない。よって、この古くささは操作系がアップデートされていないという意味ではなく、「コンセプトそのものに懐かしさを感じずにはいられない」ということなのだ。そしてその古くささは決してネガティブなものではない、というのが先のブラックバードとの違いであり、むしろその古くささが魅力的である。

 

 エンジンの魅力の前にまずは車体だが、重くて大きく最近のトレンドからすると鈍重に感じてしまいそうだが、決してそうではないのが面白い。シートが低く車体そのものの重心も低いため、人車一体感が非常に高くて重さを感じさせない。ハンドルの位置もとてもリラックスできるもので、しなやかでインフォメーションが豊富なフレームやサスの設定のおかげでUターンだって意のままにこなせてしまう。なるほど白バイがコレを採用するわけだ。あらゆる公道状況において幅広く対応できて、どんな場面でも恐れず思い切って操作できるのだ。

 

 コーナリングも同様に意のままだ。ストリートファイター系だとサスペンションのダイレクト感やフレームの強さから、もう少し「こうやって走れば良いかな?」とか「タイヤはちゃんと温まっているかな?」といった項目にも気を配る必要があるのに対し、スーパーフォアは走り出してすぐに深いバンク角に恐れず持ち込むことができるし、ハングオンなど必要なくビシッとニーグリップしてスイッと曲がっていける。その時のフロントの「スッ!」と素直に切れていく感じはとても272kgもあるバイクとは思えないし、バンク角がついて旋回が始まった時の安定感も高く常に自信をもって扱えるのが素晴らしい。これなら大排気量初心者でも特別「こういうことに気を付けてね」といった注意事項は必要ないだろう。名車CB400SFの延長線上で、重いにもかかわらず本当に素直に乗れる。

 

 そんな操作性と良いマッチングを見せるのがエンジンで、有り余るトルクがどんな走りもサポートしてくれる。だから実質使う回転数は4000rpmまでで、その範囲内で全てが事足りてしまうため高級四輪車に乗っているかのように、滑るように走ることができ疲れ知らずだ。ライディングモードも3つ用意されるが、スポーツモードに設定して4000回転以上を使えば当然ながらとても速い。しかしその速さも、今日的な切れ味鋭いタイプのものではなくあくまでビッグネイキッド然とした包容力のある速さであり、万人・万ライダーが楽しめる類のものだ。

 

 今回の試乗はオーリンズがついたSPモデルだった。確かに作動性は良く、特に歩道との間の縁石から降りた時などは重い車体をスッとサポートしてくれて車体が揺らいだりするのを防いでいると感じたが、走り出せばサスとは別の所、車体などトータルで高い次元でバランスしているため、STDサス版とそこまで大きな差は感じなかったのが正直なところだ。

 

 ライバルが皆すでに辞めてしまったビッグネイキッドというカテゴリーだが、誰にでも接しやすく、かつ走らせ方によっては十分以上にスポーティで興奮も味わわせてくれ、かつ実用性が高くツーリングやタンデムなど幅広く使えるというのも魅力。SFには古いものを着実に熟成させてきた「印象の良い古くささ」があった。

 

●CB1300SUPER BOL D'OL SP 30th Anniversary主要諸元

■エンジン種類:空冷4ストローク直列4気筒DOHC4バルブ ■総排気量:1,284cm3 ■ボア×ストローク:78.0×67.2mm ■最高出力:83kW(113PS)/7,750rpm ■最大トルク:112N・m(11.4kgf・m)/6 , 2 5 0 r p m ■ 変速機:6 段リターン ■ 全長×全幅×全高:2,200×825×1,215mm ■軸間距離:1,520mm ■シート高:790mm ■車両重量:272kg ■燃料タンク容量:2 1 L ■タイヤ( 前・後):120/70ZR17・180/55ZR17 ■ブレーキ(前・後):油圧式ダブルディスク・油圧式ディスク ■車体色」パールサンビームホワイト ■メーカー希望小売価格(消費税10%込み):2,068,000円/SF 30th Anniversary=1,958,000円

 

  • 車両詳細

ボルドールのSPは他に青のトリコロールがありこれまたホンダの伝統を感じさせてくれるカラー(30周年記念は赤フレームのみ)。STD仕様はスペンサーイメージのシルバーのみ。

 

足着きが良く、上体も直立した安定のネイキッドポジションで誰でも快適に、白バイのようにビシッと乗れる。筆者のように長身でもヒザがカウルに当たるといった不具合がないのが嬉しい。大きいハンドル切れ角も◎

 

身長185cmの筆者では頭まで防風するにはいくらか潜り込む必要があったが、それでもありがたいハーフカウル。LEDのヘッドライトは夜道でしっかりと明るく安心感があった。

 

歩道から車道に降りる時の縁石などで作動性の良さを実感するオーリンズフォーク。ハンドリングは軽快で意のままだ。

 

大排気量ゆえの豊かな常用域トルクと振動の少ない特性が魅力。パワーモードやトラコンも備えるため安心して扱える。

 

アルミのスイングアームに2本ショックというネイキッドのレシピ。SPではオーリンズサスペンションが奢られ作動性は良好。

 

かなり細身となったサイレンサーは常用となる4000回転までは心地よいが、それ以上はちょっと気がひける音量か。

 

受け継がれてきた指針式のメーターと中央デジタルの組み合わせは見やすく好印象。燃費計によると今回の走行では18.4km/L。

 

純正でETCとグリップヒーターが備わるのが素晴らしい。右側は電子制御スロットルで、クルーズコントロールも備わる

 

ハーフカウル内側左右には蓋付きの小物入れ。左は鍵付き。ハンドルクランプは前後入れ替えて2ポジションから選択可能。

 

タンデムシート部も広くとられているため、タンデムはもちろん荷物の括り付けなども容易にできる。ヘルメットロックも装備。

 

制作・協力

■試乗・文:ノア セレン ■撮影:富樫秀明 ■協力:ホンダモーターサイクルジャパン

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