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【Honda CB1300 SUPER BOL D'OR SP】はぐくまれる伝統 大排気量直列4気筒という贅沢

  • 中古バイクカタログ
  • 2025.02.12

誰もが憧れのCB1300スーパーボルドールのご紹介です!!

プロジェクトBIG-1を標榜して大型ネイキッドのCB1000スーパーフォアが世に出てから32年。その流れを汲む現行のCB1300スーパーフォア/スーパーボルドール。

このバイクは世界の中でも古典派スタイルとして存在感、走りで大排気量4気筒の極みだ。あらためて味わう。

 

  • Honda CB1300 SUPER BOL D'OR SP

 いつ見ても煌めきがある。1年ぶりに対面したCB1300スーパーボルドールSPは文句なしに美しい。深みのある塗装で仕上げられた外装( 試乗車のパールサンビームホワイトのカラーリングは今年5月に設定された新色)。大きな燃料タンクから左右にはみ出すように角張ったカムカバーがあり、その下には直列4気筒のシリンダーブロックがある。磨かれたステンレスの排気管が4本、流れるようにそこから並んで伸びている。そしてゴールドの足周り。

 SPの特徴は装備にある。前後にオーリンズと共同開発をしたサスペンションを備え、フロントブレーキキャリパーはラジアルマウントのブレンボとなる。6年前に登場したメーカー自身が製作したカスタムバイクのようなSPには何度か乗ったが、相変わらず見るだけでため息が漏れるのだ。

 

 エンジンを始動すると静から動へと走らずとも瞬間移動する。ボォォォッというファーストアイドルが落ち着いても、4気筒集合マフラーから発せられる音は主張を憚らない。壁に反響したその音は地下駐車場さえもCB1300の世界で満たした。

 重めの油圧クラッチを握って1速にシフト。指の腹を滑らせるように離してゆくと大排気量4気筒らしい充実のトルクで270kg超のバイクを簡単に押し出した。これぞ大排気量の技だ。 CB1300スーパーボルドールSPの真骨頂はこうした低速域からその大きさ、重さを意識させず乗りやすいところにある。ここにはハンドリングとエンジンの特性造りにリソースがしっかりと注がれている証しだ。そしてSPモデルではサスペンションの吸収性が一段とグレードアップしている。ちょっとした段差を前輪が通過した時、ライダーの両手にキックバックがあるのだがそれが上質なまでにマイルド。また、市街地で赤信号に向かって緩いブレーキングを開始した時も、フロントフォークが沈む時に感じるシールやブッシュ類の、摺動抵抗が極めて少ない。最初、フロントブレーキの初期制動が甘いのかと思ったほど。普段、フロントフォークがズっと沈む摺動抵抗をもってしてフロントブレーキの制動開始の信号として受け取っていたことがよく分かる。

 対する2本のリアショックユニットは少しその存在を見せるが、それでもライダー後方から突き上げるのではなく、あくまでタイヤやサスペンションの動きで路面のうねりを吸収しつつ、しっかりとタイヤを路面へと押しつけているのはフロントと同様。とにかく足周りのレベルが高い。ベースセッティングでこれならば、前後ともフルアジャスタブルであることを思えば、走り方、ライダーの体重、それに好みに合わせてスプリングのプリロードや伸び側、圧側の減衰圧を少し調整するだけでコンフォートにもスポーツ方向にも振れるはず。

 カスタムパーツとしても名高いオーリンズだが、CB1300スーパーボルドールをどんな走りにしたいのか、という造り手の意思に練り込まれた設定だからこそ、ゆっくりとしたストロークスピード領域からライダーに悟られずに前後へのピッチングへと変換できているのだ。

 

 奥深いそのバイクの上質な動きをライダーが捉えれば、微細なアクセルワークから荷重移動を受け止める足周りとの対話に夢中になるはずだ。そのためにもエンジン特性、特にアクセルの開け口の反応も重要。一言で表現すればそのサスペンションの動きの良さを、さらに活かしきるような微細なレスポンスからライダーがエンジンの力を自在に引き出せることだ。

 これは鋭さではなく、段付き感なく意のままに力を弱くも強くも引き出せること。そこに駆動系のスナッチ、バックラッシュという歯車どうしのかみ合い精度、ドライブチェーンの調整やスプロケットとの嵌合具合も含まれてくる。こうなるとアクセルグリップの回り方、ワイヤーケーブルのフリクション感など全てが関連しての操作感になるので、注意深くこのバイクは仕立てられている。

 だからこそ6速ミッションをシフトする悦びがあり、クラッチを操作する楽しさもある。つまりCB1300スーパーボルドールSPは究極の調和を味わうバイクなのだ。

 名誉のために付け加えるが、スタンダードのCB1300スーパーフォア系もそうした部分は相当詰めている。その上で価格差37万4000円を投じた世界はホンダでしか作れないものだと思った。市場にあるアフターマーケット向けオーリンズの正立フォークアッセンブリーやリアショックユニットを購入するだけで50万円はかかり、そこにブレンボのキャリパーを加えればさらにカスタム費用はかさむだろう。高級なサスが装着されているだけではなく、バイク全体でライディングの世界に没頭できるよう詰めたセッティングなのだ。

 ブレーキにしてもフロントは最初ソフトに、しかし握力を次第にかけてゆけば期待通り(大事なのは期待以上でも以下でもなく、意のままであること)の制動力を見せる。

 

 ワインディングではだからこそタイヤのグリップ状況や旋回性が手に取るように伝わってくる。攻める道具ではなく、瞬間を細分化して楽しむ道具だ。それだけにバイクとの対話が充実した時間へとなってゆく。CB1300スーパーボルドールSPというビッグバイクを楽しんだあと、このバイクが存在する意味を改めて理解できた。バイクと人……まるで気持ちが通ったような瞬間を味わえてこそライディングが特別な時間になる。プロジェクトBIG-1、その極みであるSPとはつまりそんな時間の積み重ねを味わうためのバイクなのだ。

 

  • HONDA CB1300 SUPER BOL D'OR SP 主要諸元

■エンジン種類:水冷4ストローク直列4気筒DOHC4バルブ ■総排気量:1,284cm3 ■ボア×ストローク:78.0×67.2mm ■圧縮比:9.6 ■最高出力:83kW(113PS)/7,750rpm ■最大トルク:112N・m(11.4kgf・m)/6,250rpm ■燃料供給方式:PGM-FI ■全長×全幅×全高:2,200×825×1,215mm ■軸間距離:1,380mm ■シート高:790mm ■車両重量:272kg ■燃料タンク容量:21L ■キャスター角:25°00' ■トレール:99mm ■変速機形式:6段リターン ■ブレーキ形式(前・後):油圧式ダブルディスク・油圧式ディスク ■タイヤサイズ(前・後):120/70ZR17・180/55ZR17 ■カラー:パールサンビームホワイト、パールホークスアイブルー ■メーカー希望小売価格(税込):2,046,000円

 

  • styling&detail

CB1300スーパーボルドールSPがもつ磨かれた存在感。ゴールドと赤いフレームが

調和し、CB1100Rにもあった色の組合せが今に映える。

 

モノブロックの対向4ピストンを採用するブレンボブレーキキャリパー。ラジアルマウントでフォークアウターにあるアクスルホルダーにマウント。

 

大排気量4気筒らしさを見事に表現する音圧、野太さ、迫力をもったサウンドが印象的。

 

今やアナログメーターは貴重。LCDモニターにはライディングモードや燃料計などを表示。

 

フロントフォークはφ43mmのゴールド仕上げのインナーチューブの正立タイプ。左に圧側減衰、右に伸び側減衰のダンパーを備える。プリロード調整も可能。

 

伸び側、圧側、プリロード調整とフルアジャスタブルのオーリンズショックユニット。プリロードは無段階。

 

リアブレーキは肉厚なディスクプレートとシングルピストンキャリパーを採用。吸い付くような制動力を見せる。

 

SPモデル専用ステッチのシート。シート下にはETC2.0車載機と小物入れスペースがある。

 

ダブルクレードルのフレームに載る1284cc直列4気筒エンジン。CB1000SFから引き継がれる造形があちこちに見て取れる。

 

制作・協力

■文:松井 勉 

■撮影:渕本智信 

■協力:ホンダモーターサイクルジャパン

 

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