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【Honda Rebel 1100T】MT仕様で開くレブルの世界 人気シリーズ「レブル」の頂点、1100は凄かった
- 中古バイクカタログ
- 2023.10.23
今回は【Honda Rebel 1100T】を紹介します!
ホンダの旧いブランド「レブル」が復活し、特に250は爆発的とも言える人気を博している。500cc版もあったが、さらにその上、アフリカツイン系エンジンを搭載する1100が頂点に君臨する。カウルとパニアの付いた「T」の、MT仕様を試乗する。
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マイナーかと思ったら、よく見ると!
レブルと言えば250cc版がとにかく人気で、1100が出ても「バリエーションモデルが追加された」という感覚しかなく、販売も初速はそんなに良くなかったような印象がある。ところが最近は週末のパーキングやツーリングスポットでよく見かけるようになってきた。いつの間にか浸透しているレブルの1100。登場時にDCT仕様には乗ったが、MT仕様は乗ったことがなかったため、再確認の意味で試乗に臨んだ。あまり目立たない存在だと勝手に思っていたが、これが良かった!
コンパクトポジションと低重心
レブルの250が大人気となった本当の理由をちゃんと解析できている人はいないだろう。付き合いやすさやちょうどいいサイズ感、カスタムもできそうな発展性、手が届く車両価格……様々な要因が絡み合っているとは思うが、大きな魅力は「シートが低いこと」であることに間違いはないはずだ。ライダーの体格を選ばず、足がベタベタにつく。バイクに乗る上でこの安心感は本当に大きなウェイトを占めると思う。
そして1100、このレブルの頂点でもやはり同じく、とにかくシートが低い。1100cc/87馬力/238kgあっても、足を出せばいつでも地面を踏みしめることができるというのは、本当に大きな安心材料だ。紛れもなく大排気量だが、この絶対的足つき性と低重心ゆえに重さを感じさせない設計、無理のないポジションは、なるほどライダーを選ばないレブル250の延長線上にある。
4750回転で10キロのトルク
ポジションから得られる自信は大きな魅力だが、その自信をもって扱える動力性能がまた大変に魅力的だ。いわゆる「アメリカン」などと呼ばれるカテゴリーとは明確に違い、こちらはアフリカツインやホーク11と共有している水冷パラツインを搭載するのであり、大変モダンでパワフルなユニットである。
しかもこれをこの低重心&サスストロークの少ない車体に積むとより魅力が増す。ダイレクトなトルク感が路面に直に伝わり弾けるような加速が楽しめるし、シートが尻をしっかりとサポートしてくれているためニーグリップが不要。ある意味無造作にアクセルを大きめに開けることができ、ただただすっ飛んでいくのが楽しめる。
最大トルクの発生回転数は4750回転で、ちょうどここら辺からエンジンのキャラクターも豹変する。4000回転まではわりとのんびり走ることも許容してくれ、ドッタッタとツーリングを楽しめるフレンドリーさがあるが、4000回転を越えてアクセルを大きめに開けようものなら猛烈な加速を楽しめてしまい、それは決して「アメリカン」と呼べる類のものではなくドラッグレーサー的ですらある。
ただのクルーザーではなく、その先のエキサイトメントをしっかり提供してくれるエンジンはとても魅力的だ。特にライディングモードをスポーツにして、積極的にスポーツをしようと思うとレブル1100はしっかりと応えてくれるだけでなく、リッターマシンとしてのプレミアムなスポーツ体験をしっかりと味わわせてくれる。レブル250にあった付き合いやすさはおざなりにせず、この非日常の興奮をプラスしたのは大きな魅力だ。
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ちょうどいいコーナリングマシン
ライディングポジションはまさにレブルのソレで、ステップはミッドコン、ハンドルは若干遠く感じる、という構成だ。250の方ではもう少し手前に引いたハンドルがアフターマーケットで人気だが、1100となると加速力がなかなか強烈なため、特にスポーティな気持ちで接している時はこの弱前傾が良いだろう。
こんな構成しているためスポーツ性はソコソコだろうと思いそうなものだが、250がそうであるように「意外といける」というのが答えである。非常に素直なハンドリングを持っていて大きな車体を意のままに左右に翻すことができるし、着座位置が低いだけに常に自信をもってそれが行える。意外やバンク角も十分にとられていて、しっかりと旋回力が生まれる角度に持ち込むことができ、そこで初めてステップを擦り始めるため「ちょうどいい」感が高い。ワインディングを走っていても旋回力不足やバンク角不足でスポーティマインドに水が差されるということはないだろう。
もう一つ気持ちが良かったのは、大きなアールで一定のバンク角が長く続くようなシチュエーション。フロントに18インチのタイヤを履くこともあってか、しっかりとした接地感がずっと続き、グイーン!と旋回し続ける楽しさがあった。その時の安定感はとても高く、例え路面に継ぎ目があったりしてもそういった外乱でコーナリングが阻害されることなく、ドシッとした気持ち良さがある。路面を選ばず、常に安心感を持って、気持ち次第でいつでもハイペースも楽しめてしまう、という意味では、ホーク11以上にスポーツバイクかもしれない。
しっかり浸透してきて嬉しい
ホンダのオートマ技術「DCT」にファンは多いが、低重心であることや接しやすいポジション、接しやすいエンジン特性などを味わってしまうと、むしろMTで走らせるほうが楽しめる場面は多いのではないかとも思えた。エンストが怖いだとか、クラッチ操作が面倒という気持ちもわかるし、このエンジンとDCTのマッチングがとても良いのも知っている。しかしレブル1100のクラッチは軽いし、エンジンはトルクフルでそうそうエンストもしないだろう。いざとなったら足だってすぐにつける。もちろんサイズ感は違うが、確かに250の延長線上にあるため、レブル1100をクルーザーだけとしてではなく、パワフルさを楽しんだり、素直なコーナリングも満喫したいという人は、ぜひMT仕様も検討していただきたいと感じた試乗だった。
250の大人気に対して1100はもう一つ売れていないかな? などと当初は危惧したが、これはとても魅力的なモデルだと再認識。ジワリと見かけるようになって嬉しい。この総合性能があれば仲間とのツーリングでも後れをとることはないだろうし、一人でドットコ走り回るにも楽しい場面は多いはず。さらにはドラッグレースなんかも出てみたいな、などと思わせてくれたりもしたのだから、なかなか欲張りなバイクである。
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車両詳細
吸排気系の変更など車種専用のチューニングは施されているものの、基本的にはアフリカツインやホーク11と同様のパラツインエンジン。4000回転以下の平和なクルージング領域と、それ以上の強烈パワー領域という二面性が楽しめた。
18インチのフロントホイールにはバイアスタイヤがセットされ、これがまたとても気持ちの良い旋回性を提供してくれている。ブレーキはシングルディスクで、エンジンの元気さに誘われてペースが上がるともう少し良く効いて欲しいと思う場面もあった。
丸パイプ型のスイングアームとするなど、レブル250と共通するデザインのリア周り。ホイールは16インチ径で180という幅広バイアスを履く。250ではリアサスペンションのストロークが少なく突き上げ感が気になることもあったが、1100ではリアサスの吸収性は良好でクルージング時もスポーティな走りにも対応してくれた。
ミッドコンの位置にあるステップは絶妙なバンク角設定でスポーティな走りにも応えてくれる。ピボット下からアームが伸びてそこにステップがついているため、社外パーツやカスタムでステップ位置の変更もできそう。
ミニマムに見えるが、尻のホールド性は高くレブルのスポーツ性の重要な要素になっていると感じたシート。足つきも良く、かつ長時間乗っても尻が痛くなる様子もなかった。シート下に3Lの小物入れスペースがあるのもポイント。ただタンデム部は面積が少なくしかも後ろ下がりのため、安心してタンデムや荷物を括り付けるならばバックレストは必須だろう。そもそもタンデムシートの座面そのものをもっと大きくしたい。
メーターはとても見やすく、かつ情報も豊富。ライディングモードは「スポーツ」が最も素直だが、アクセル開け始めをあえてマイルドにしている「スタンダード」でも特に初心者には馴染みやすいかもしれない。しかしMT仕様に乗るならやはりスポーツモードのパワフルさを存分に味わいたいとも思う。他にレインモードと、ライダーが任意に設定できるユーザーモードがある。なおETCも純正装着される。
足がミッドコンなのにハンドルはちょっと遠く感じる、というのはレブルシリーズに共通するライディングポジション。しかし1100のパワーがあるとこのぐらい前傾してフロント周りにしっかり荷重する方が良いようにも思えた。クルーズコントロールが備わっていることもあってスイッチ類はいくらか複雑だが操作性自体は難しくなく、また電子制御スロットルはそうであることに気づけなかったほどナチュラルだった。
今回試乗できたのはハンドルマウントのカウルを備える「T」タイプ。大きなカウルがハンドルに装着されているがハンドリングに悪影響は感じず、高速クルージングは確かに防風性がありがたい。さらにこのカウルは手元まで伸びてくるため、純正装着のグリップヒーターと合わせて季節を問わず快適で安全な走行ができるはずだ。
「T」仕様のもう一つの装備は左右に装着されるハードケース。横開きではなく上開きのおかげでとても使いやすく、かつ何かの拍子に内容物を落としてしまうといったこともない。絶妙なスリムさで渋滞路も気にならなかったのは嬉しいポイント。ただ試乗車は閉める時の立て付けがもう一つで、確実にロックされているかの確かな確認が必要だった。
●Rebel 1100 T 主要諸元
■型式:ホンダ・8BL-SC83 ■エンジン種類:水冷4ストローク直列2気筒OHC4バルブ ■総排気量:1,082cm3 ■ボア×ストローク:92.0×81.4mm ■圧縮比:10.1■最高出力:64kW(87PS)/7,000rpm ■最大トルク:98N・m(10.0kgf・m)/4,750rpm ■全長×全幅×全高:2,240×850[845]×1,180mm ■ホイールベース:1,520mm ■最低地上高:120mm ■シート高:700mm ■車両重量:238[248]kg ■燃料タンク容量:13L ■変速機形式:常時噛合式6段リターン[電子式6段変速(DCT)] ■タイヤ(前・後):130/70B 18M/C 63H・180/65B 16M/C 81H ■ブレーキ(前/後):油圧式ダブルディスク/油圧式ディスク ■懸架方式(前・後):テレスコピック式・スイングアーム式 ■車体色:ガンメタルブラックメタリック、ボルドーレッドメタリック ■メーカー希望小売価格(消費税10%込み):1,314,500円[1,424,500円] ※[ ] はDCT
■試乗・文:ノア セレン ■撮影:赤松 孝 ■協力:ホンダモーターサイクルジャパン