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【Honda Riding Assist-e】大型バイクでトライアルライディング!?
- 中古バイクカタログ
- 2022.03.02
大型二輪免許取得が容易になったおかげで、趣味でオートバイに乗るのであれば「やっぱり大排気量車で颯爽と乗りたいなぁ!」という思うライダーも多いことだろう。大型バイクラインナップも豊富になった。しかし、大型バイクは……重い!!

倒れないバイクPART2
「倒れないバイク」という言葉のインパクトは大きい。バイクは常に「転ぶかも」という心配があるもので、特に大きなバイクになるとコントロール下にある領域を少しでも踏み越えてしまい、「グラリッ!」ときたらもう耐えるのは困難。そして倒してしまったら起こすのも大変、さらに修理費を考えるともう……。だから「倒れないバイク」という言葉に、ライダーはみんな弱いと思う。
ホンダは2017年にNC750Sをベースとした、この「倒れないバイク」を発表した。スタンドを立てずに静かに直立したその動画を見た人も多いだろう。ASIMOの技術を使い、転ばず自立するだけでなく、あの発表時には自動でライダーについていく、ということまで見せてくれた。あのNCはステム周りに秘密があり、キャスターアングルを可変とすることで前輪の接地点を微細にずらすことで直立を保っていた。
その後あの「倒れないバイク」について新しいニュースが無いな?と思っていたら、こんどはNM-4ベースでさらに進化したPART2となる『HondaRidingAssist2.0』がお披露目されたのだ。新作は可変ステム周りのフロントを持つだけでなく、スイングアームも可変となっている。
【目次】
1.可動域も増えた? これなら転ぶ気がしない!
2.サポートは停止~20km/hまで、家から半径10mの安心
3.装備・車両詳細
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可動域も増えた? これなら転ぶ気がしない!
ホンダは様々な安全への取り組みを発表し、ホンダの施設で新たな「倒れないバイク」がお披露目された。ホンダは、「2050年までに二輪四輪含めた、世界中すべてのホンダ車に関わる死亡事故をゼロにする」という大きな目標を掲げ、それの実現のための運転者教育プログラムやAIや仮想空間を使った最新技術が紹介されたのだが、一人(一台?)屋外で静かに自立しているこの「転ばないNM4」が一番インパクトはあっただろう。
新型の「倒れないバイク」、これは可変ステムに加えスイングアームを左右にスイングさせる機能が追加されたのが注目ポイント。通常スイングアームは上下方向に動くわけだが、同時にそれに加えて左右にも振れるため、バランスを崩しそうになったら反対方向にスイングアームを振って立て直すという仕組み。先代のステム周りの機構は理解するのに時間を要したかもしれないが、こちらは見ただけで「なるほどね」と納得しやすい。
ただ直立している時は微細な調整だけで立っているためメカメカしさはないが、直立している車両を横から(かなりの強さでも)押した際には即座に大きく振れて最小限の動きで直立に戻るのには、動画サイトなどでも話題になっている軍用ロボットを見ているような近未来感と、素直に「すごい!」と感じさせる説得力がある。強い外乱にもびくともしないその姿は「これなら転ばないな」と思わせてくれた。(※参考動画:提供・WEBミスター・バイク )
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サポートは停止~20km/hまで
直立しているだけでなかなかの説得力だが、この「転ばない」サポートは時速20キロまで働いてくれるため、狭路走行やUターンといった、低速のふらつきやすい場面でライダーをサポートしてくれる。事実、当日はテストライダーが8の字などやって見せてくれたのだが、トライアルライダーかと思うほどビタリと安定していてフラつくことは皆無だった。テストライダー曰く、フロント周りだけの制御だった先代に比べさらにサポートが自然になり、「制御されている感」はほとんどなく低速走行が不安なく行える、とのこと。
ただ惜しむらくは実用化の目途はまだ、ということだ。技術としては確実に進歩しているが、素人目に見てもリアのスイング×スイングアームは大変なコストがかかっていそうだし、そもそもテスト車両はEV化されていてそれも現状のバイク環境からすればまだ先の技術。コストの面で実用化はまだ先……だろうが、しかしシステムとしての進歩は確実に見せつけられた。
家から半径10mの安心
最近は大型バイクが一般化した一方で、大きく重たい大型バイクも大変に多い。速度が乗ってスイスイと走っている時は何も問題がなくとも、Uターンなどの低速時、もしくはガレージから出すだとか、家の前の段差を通過するだとか、ガソリンスタンドで満タン入れてバイクが重くなった時だとか、そういった「ちょっとした」場面で「ヨロッ! グラッ! ああっ……バタン」という場面に遭っているライダーも少なくないだろう。低速時の取り回しこそが、特に重たい、もしくは重心の高いバイクにとっては一番難しい場面なのだ。
そんな場面にそっと寄り添ってくれ、安定して走れる速度域に達するまで「低速グラリ」の不安から解放してくれる技術なら、なんとも大歓迎。まだ現時点では市販化の予定はたってはいないものの、それこそEV化が進めばさらにこういった技術も現実味を帯びてくるかもしれない。
立ちゴケから解放される未来。まだもうちょっと先のようだが、期待して待とう。
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装備・車両詳細
ライダーがスタンドも立てずにおもむろに降り、そのまま車体から離れてしまう。それでも車体は直立したまま……というのはなんとも奇妙な感覚だ。ただ直立しているだけならば、風が吹いた際などにわずかに「ウィウィッ」などとモーター音がすることもあるが、EVということもあり全く静かにただ直立している。
極低速のフルロックターンなどもして見せてくれたテストライダー。制御は静止状態から時速20キロまで介入するらしく、低速で深めにバンクしても常にバランスを取りやすいようにサポートしてくれる。「ほとんど違和感はなく、自分が上手くなった気になってしまいます」とテストライダー氏。
通常は上下方向のみにスイングするスイングアームに、さらに左右にもスイングする機構を追加。ASIMOで得た姿勢制御技術によりバランスを検知し、この横スイング(+可変のステム)によりバランスを保っている。機構的になかなか複雑でかつ重そうでもあり、市販化するにはここの部分のコストがネックとなるか。
当日は「倒れないバイク」の他にも、ABSシステムの小型化や小排気量車のコンビブレーキシステム、アフリカツインのコーナリングライト、二輪用エアバッグシステムなどの安全装備への取り組みも幅広く紹介された。
■東京エディターズ