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【Kawasaki KLX230SM】カワサキは手抜きせずちゃんとモタードを作り込んできた。

  • 中古バイクカタログ
  • 2023.09.13

今回は【Kawasaki KLX230SM】を紹介します!

昨秋に2023年モデルとして発売されたカワサキの新型モタードモデル、KLX230SM。デュアルパーパスモデルをベースに作られた新作をチェック。ライディングして専用に作り込まれた走りの楽しさとモタードモデルのメリットを味わった。

 

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  • スタイリング

 スーパーモタードモデルの起源は70年代と言われている。日本では80年代からで、一般的に知られるようになったのは90年代に入って。当初は“ターミネーター”という今は消えてしまった呼び方をされていたこともあった。高出力でピックアップの良い単気筒エンジンを積んだ軽量でフットワークの良い運動性能から、新しいジャンルとして定着して市販車に波及。日本メーカーでは90年代の後半にカワサキがDトラッカーを発売するなど各社から登場した。

 

 軽量コンパクトな車体は、ストリートバイクとして、スポーツライディングの楽しさだけでなく、使い勝手の良さにもつながる。高めで幅広いオフロードタイプのハンドルバーを握ると背筋が路面に対して垂直になるアップライトなライディングポジション。ゆとりのある姿勢で、さらに顔が起きることで自然に遠くまで見通すことができ、混雑した街中でも状況判断をしやすい。大きく切れるハンドルで、狭いところでもスイスイっと入っていけ、狭いところでのUターンもおちゃのこさいさい。デュアルパーパスモデル譲りの作りから倒しても壊れにくい構造なのもいい。

 

 ところが、一時期盛り上がったモタードモデルだったが、近年は大きく減少してさびしい状況。そんな中、昨年の秋に新型が出てきた。カワサキKLX230SMである。国内で販売されている250ccクラスのモタードモデルは今やこれのみ。市街地などオンロードから林道などオフロードも行ける、デュアルパーパスモデルKLX230/Sをベースにしていることはその車名から想像つくだろう。パッと見てすぐにわかるのは賛否両論あったKLX230/Sの大きなバルブを使ったヘッドライトから、シャープでかっこいいLEDを使ったヘッドライトのマスクになったこと。他のスタイルはほぼ同じなのに別のバイクのよう。もうひとつ大事な変化がある。正立フォークだったデュアルパーパスバージョンから、インナーチューブ径φ37mmの倒立フォークに変更したこと。もちろんリアも合わせてサスペンションセッティングはストリート用だ。

 

  • 試乗インプレッション

 ベースモデルのフロント21・リア18インチから前後17インチホイールになっているのだから旋回性が向上しているのは当然だが、その仕上がりに過大な期待はしてはいなかった。しかし、乗ってみて驚いた、いやはや面白いほどクイックに動けてクルクルと曲がれる自由自在さ。単気筒エンジンをペリメターフレームに積んだシンプルな構造で、136kgと公道250ccのバイクとして軽いところはモタードモデルの取り柄だ。正立より剛性の高い倒立フォークにしたことで、舗装路で喰い付くオンロードタイヤを履いても頼りなさはなく、しっかりした手応えが明確にある。φ300mmとデュアルパーパスバージョンより大きなブレーキローターにツインピストンキャリパーを組み合わせたフロントブレーキ。フォークを奥までギューッと縮めて減速Gを高めコーナーの奥まで突っ込んでいくのが怖くなくて、そこから素早くリーンしてあっけなく向きが変わる。安定感があり、とにかく前後タイヤの接地感をずっと感じられる。ちゃんと専用にハンドリングを作り込んできた。面白く走るために、ギリギリ不安定にならないくらいまでフットワークの軽快さを突き詰めたと思える。以前あったDトラッカーXよりも、体感できるスポーツ度が上回っているのではないか。

 

 空冷4ストロークSOHC2バルブ単気筒エンジンは、フラットに近いトルクが低回転域からレブリミット手前まで続き、右手の動きに合わせたレスポンスもほどよい味つけ。特筆するほど鋭い加速はないが、1速から5速は各ギアのつながりがよく、スペックから想像するより元気にキビキビとスピードを上げながら進んでいける。オーバードライブの6速は高速道路や郊外のバイパスなど、そこそこのペースで一定に進む燃費モード向けと考えていい。都市部の加減速が多いシチュエーションでもギクシャクすることなくスムーズで扱いやすい。

 

 唯一苦手なシチュエーションとしてあげるなら、高速道路。エンジンはKLX230/Sと同様に時速120キロで点火カットが入るし、そのポジションから向かってくる風の抵抗ももろに受け、それをいなす風防と呼べるモノもない。スタビリティに問題はなく不安なく走れると前置きして、やや路面のうねりや段差を乗り越えると機敏に反応してしまうことがあるので、ツーリングモデルほどのイージーさはない。だから高速道路では頑張らずに、燃費のことも考えて時速90キロくらいで流すのがちょうどいいだろう。これはとらえ方次第なところもあり「高速道路をロングライドしても気にならないよ」という人がいてもまったくおかしくないと言っておこう。高速走行における基本的なポテンシャルは担保している。

 

 正直なところ、モタードに対して興味が薄れていた。けれど、この試乗での走りを経験して、KLX230SMとスポーツライディングして遊ぶゆかいなバイクライフを想像してしまった。それほどハッとするダイナミックな躍動感があった。カワサキは過去にも各メーカーのラインナップから消えていた250ccフルカウルロードスポーツを、ニンジャによって再び火をつけたことがある。大型のネイキッドレトロモデルだってそうだ。これもそんなモタードカテゴリー再興のきっかけになるポテンシャルを持っている。走っていると気分上々になり、ついついアクセルを大きく開けて高回転を多用して進みたくなる。モタードモデルの魅力をあらためて認識されられた。

 

●KLX230SM 主要諸元
■エンジン種類:空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ ■総排気量:232cm3 ■ボア×ストローク:67.0×66.0mm ■圧縮比:9.4 ■最高出力:14kW(19ps)/7,600rpm ■最大トルク:19N・m(1.9kg-m)/6,100rpm ■全長×全幅×全高:2.050×835×1,120mm ■軸間距離:1375mm ■シート高:845mm ■車両重量:136kg ■燃料タンク容量:7.4L ■変速機形式:常時噛合式6段リターン ■タイヤ(前・後):110/70-17M/C 54P ・ 120/70-17M/C 58P ■ブレーキ(前・後):油圧式シングルディスク(ABS)・油圧式シングルディスク(ABS) ■懸架方式(前・後):テレスコピック式・スイングアーム式 ■車体色:エボニー ■メーカー希望小売価格(消費税8%込み):572,000円

 

  • 車両詳細

エンジン本体の高さをできる限り抑え、シートが高くなりすぎない最適なフレームライン(高張力鋼ペリメターフレーム)を実現。カラーはエボニー(ブラック)のみ。ホイールリムはゴールドで、フロントのリム幅は3.00、リアは3.50。

 

身長170cmの足着き性。シート高845mm、短足でも両足が地面に着く。ホイールトラベル

はフロントが204mm、リアが168mm。

 

前後長の短いヘッドライトユニット+コンパクトなLEDランプの小顔。ウインカーはバルブ式。フェンダーはKLX230/Sと違うもの。

 

モノクロ液晶メーター。速度表示の右のカコミウインドウはバッテリー電圧の警告灯。この車両はETCを装備し、受信機がメーター右側に、インジケーターランプが左側にある。

 

シートとの段差をなくした燃料タンクは7.4Lの容量。シュラウドからシームレスでニーグリップ部分までつながり良好なフィット感。

 

テールランプはLEDではなくバルブ式。小さいボックスの付いたリアキャリアはオプション品。荷掛けフックが4つ付く。

 

SHOWA製倒立式フォークのインナーチューブはφ37mm。ホイールトラベルは204mm。φ300mmのセミフローティングペタルディスク。

 

ボア×ストローク=67×66mmとほぼスクエアの空冷SOHC2バルブ単気筒エンジン。ステップはKLX230/Sとは異なる黒いラバー付き。

 

排気ポートからフレームパイプを巻くようにしながら右側に伸び、必要な管長を確保するエキゾースト。エンジンはバランサー入り。

 

リアサスはボトムリンク式のニューユニトラック。φ220mmのリアブレーキディスク。純正採用されているタイヤはIRC製RX-01。

 

制作・協力

■試乗・文:濱矢文夫

■撮影:富樫秀明

■協力:カワサキモータースジャパン

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