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【Kawasaki Ninja ZX-4R SE】公道走行で感じたベストバランス SEバージョンを選ぶ理由を再確認
- 中古バイクカタログ
- 2024.02.22
今回は【Kawasaki Ninja ZX-4R SE】を紹介します!
カワサキの快進撃が止まらない。パラツインのニンジャ250と、同じ車体に400cc版エンジンを積んだニンジャ400を展開し、400ccクラスを活気づかせてくれたかと思いきや、2023年にはなんとZX-25Rの400cc版、このZX-4R及びエリミネーターも400ccで復活。カワサキ400が熱い!
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Ninja ZX-4R SEの特徴
ZX-25Rに続き、400ccでも4気筒を投入してくれたカワサキ。この令和の時代に400ccの4気筒が復活したことももちろん嬉しいが、それに加えて400ccクラスの充実に力を入れるカワサキに拍手を送りたい。販売店の皆さんも普通自動二輪免許ライダーにアピールできる商品が増えて喜んでいるのではないだろうか。免許区分的にも存在意義があり、かつ国内で乗るにはジャストサイズとも言える400ccクラスの充実をライバル各社からも期待したい。
さてZX-4Rだが、既に多くの記事が出回っているためだいたいの印象はご存知だろう。付き合いのある販売店さんからの話では販売も好調で、ZX-25Rから乗り換える例もあると聞いた。価格的には25Rよりも高価かつ車検もあるとはいえ、新車から最初の車検まで3年間のランニングコストは250と大きくは変わらないと思えば、十分薦めやすい商品だ。なんといっても400ccで前人未到の77馬力である。絶対的性能では敵わないが、ある意味ZX-6Rよりもプレミアムな立ち位置とも捉えられる。
昨年この『バイクの窓口』でレポートしたが、ZX-4R発表時にまずはサーキットにて試乗会が行われた。コンパクトな車体に77馬力のエンジン、低いシート高からくる低重心の安心感など、サーキットランをするにはハードルの低さと興奮できる性能のバランスが良いバイクだった。試乗コースは千葉県の袖ヶ浦フォレストレースウェイという1周2kmほどのコースだったが、高回転域までしっかりと使うことができ本当に楽しめた。パラツインのニンジャ400も高い運動性を持ったモデルだが、このぐらいのサイズのコースとなると4気筒に鞭打って走らせる興奮が高く、タイムはおいておいても「楽しさ」では上に感じる。
しかしZX-4Rは最大トルク発生回転数がZX-25Rよりさらに高いというスペックが示しているように、かなり高回転志向のエンジンでもある。13000回転から先で本気のノビが待っていて、それ以下の回転数においては400ccなりの力感というか、77馬力を感じさせるほどではない。この高回転エンジンが公道でどう生きるかが気になり改めて試乗したわけである。
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試乗インプレッション
公道で乗って最初に感じたのは、これは少し前まで400ccの主流であったネイキッド(NK)の流れとは明確に違う、スーパースポーツ(SS)モデルである、ということだ。かつてのネイキッド群のようにトップギア3000回転からでもスムーズにトルクが出てくる、ということもないし、ステップやハンドルのバイブレーションをとことん消すといったようなNKに見られた快適性もそこまで追求しているようには感じない。元気に加速するためにはやはり6000回転ほどは回っていないといけないし、その時にライダーに伝わる振動やメカノイズなど、NKで感じられた上質さよりも、SSらしい性能に対する割り切りのような印象が上回る。
しかしだからといって、不快ということもない。ストリートで乗っていても足周りはしなやかでフレームからも硬質な印象はないし、実用的に走らせても十分応えてくれる。低回転域ではNKほどのトルクの厚みはなくとも、ツインに比べれば4気筒らしく粘ってくれエンストもしにくく、大きなハンドル切れ角に助けられUターンも楽々だ。ガソリンがレギュラー仕様というのも大きな魅力だろう。
では公道でのスポーツ性はどうか。ワインディングを走ると、エンジンよりも低重心な車体の好印象が光る。着座位置も低いため、600cc以上のSSモデルのように高い重心位置からスパッと寝かすようなハードルの高さはなく、低い位置からコロリコロリと寝かせる/切り返すことができるのは一般的なライダーにとって大きな安心材料。サーキットなどを走らない多くのライダーにとってもスポーツを身近に感じられるだろう。またハングオンして膝を出せばかなり早い段階でヒザスリもできるはずで、ヒザスリへの憧れも満たしやすい。
エンジンの方は、ペースを上げるとやはり高回転志向だと再認識した。ワインディングでは10000回転ほどを使って走れば十分キビキビ楽しめるのだが、本当に77馬力を絞り出すには13000回転から先を使わねばならず、この領域を一般の峠道で使うのはなかなか難しく、77馬力(ラム圧時80馬力)を実感できるのは高速道路となるだろう。この領域を積極的に楽しむと本当に楽しく、高速道路を走っている時は常に3速か4速で走ってしまった。上り詰める、回しきる高回転はやはりアドレナリンが出るもので、250よりも絶対的パワーがあり、それでいて600よりもその領域を楽しみやすいという意味で、やはり400ccは「ちょうどいいな」と再認識したのだった。排気量帯を考えると高価なモデルではあるものの、ライバル不在の存在と考えるとその価値は十分あると思う。
ZX-4RにはRRモデルとSEモデルがあるのだが、タイトルにあるように、一般的にはSEモデルがオススメだと思う。RRよりもリアサスのバネレートが高いようで、荷重を積極的にかけていかなくても車体が良く曲がる姿勢を保持してくれる印象があり、SEの方が万人にスポーツを感じさせてくれると思うのだ。またSEはスモークスクリーンやフレームスライダーといった装備がついているのもアピールポイントだ。
久しぶりの400cc4気筒復活に沸いているバイク界だが、その湧きにふさわしい面白さをもったZX-4R。NKとは違った、新世代の400スポーツは2 5 0からのステップアップにも、600からのダウンサイジングにも応えるはずだ。
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車両詳細
Ninja ZX-4R SE 主要諸元
■エンジン種類:水冷4ストローク直列4気筒DOHC4バルブ■総排気量:399cm3 ■ボア×ストローク:57.0×31.9mm ■圧縮比:12.3 ■最高出力:57kW(77PS)/14,500rpm、ラムエア加圧時59kW(80PS)/14,500rpm ■最大トルク:39N・m(4.0kgf-m)/13,000rpm ■全長×全幅×全高:1,990×765×1,110mm ■軸間距離:1,380mm ■シート高:800mm ■車両重量:190kg ■燃料タンク容量:15L ■変速機形式:6段リターン ■タイヤ(前・後):120/70ZR17・160/60ZR17 ■ブレーキ(前・後):油圧式ダブルディスク・油圧式シングルディスク ■車体色:メタリックフラットスパークブラック×メタリックマットグラフェンスチールグレー、キャンディプラズマブルー×メタリックフラットスパークブラック ■メーカー希望小売価格(消費税込み):112万2,000円
車体は基本的に250cc版と共通で、各部寸法の違いは新採用したラジアルタイヤのサイズ違いによるもの。
車高がいくらか上がったとはいえ、車格はやはり250クラス。コンパクトで低重心、足着きも良い。
シングルディスクの250に対してダブルディスクを採用。非常に良く効き、倒立フォークの作動性もしなやか。前後ともにABS付。
SEモデルには純正でフレームスライダーが付くほか、スクリーンもRRのクリアーに対してスモークが標準。
ステップには防振ゴムなど貼られず、ダイレクトなフィール。クイックシフターはUP/DOWN双方向対応。
ZX-6Rなど兄弟車と共通したスタイルの上質なサイレンサーは排気音がやや大きめか。
このスタンダードモードの他に、サーキット向けの表示にも変更可能。アプリを介してスマホとのリンクもできる。
メーター内表示の変更やパワーモードのセレクトなどは(若干難解な部分も感じられたが)手元のスイッチで変更可能。
プリロード調整のみのSEのRサス、公道では必要十分。スポーティに走りたい人はプリロードを若干抜くと良さそうだ。
リアシートは割り切っているようで荷掛けフックの類も見当たらないが、ライダー側は意外にクッションが良く快適。
■試乗・文:ノア セレン ■写真:富樫秀明 ■協力:カワサキモータースジャパン