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【Kawasaki Z900】大人気Z900RSのベースとなった 飾らない、ベーシックなスポーツ

  • 中古バイクカタログ
  • 2025.04.23

見かけると、おっ!となるバイクの1つ、Z900について魅力たっぷりなレポートが届きました!

相変わらず大人気、ビッグバイクのベストセラーであり続けるカワサキZ900RSだがそのべースとなったZ900はあまり知られない存在だ。日本での印象は、Z900=Z900RSのべースモデル、だが海外での印象はZ900=Z900RSのスポーティバージョン、というもの。国内ではZ900を選ぶライダーこそツウである̶̶のかもしれない。

 

  • KAWASAKI Z900

 カワサキ永遠の名車Z1/Z2をオマージュして誕生した、新世代水冷4気筒エンジン搭載モデルZ900RS。2018年モデルとして誕生して、23年まで5年連続で大型モデルのベストセラーの座を獲得して、おそらくこの記録は24年も続くだろうから、まさに今の国産ビッグバイク市場のトップにいるのがZ900RSだ。

 その超人気モデルの兄弟モデルが、今回試乗したZ900だ。Z900RSの特徴的なクラシックデザインではなく、カワサキネイキッド一連に共通する「SUGOMI」=スゴミデザインを採用したロードスポーツで、実はスタイリングだけでなく、細かいところの仕様もかなり違っている。

 とはいえ実は、Z900の方が海外仕様として早くデビューしているから、Z 9 0 0 R SよりもZ900の方がスポーティなのではなくて、正しくはZ900RSがZ900のコンフォートバージョン、ということ。日本ではZ900RSが大人気だけれど、特にヨーロッパではZ900の方が圧倒的に人気だ。

 

 Z900とZ900RSの違いは多岐にわたっている。まずはZ900の方が最高出力が高く、最大トルクは同じ数値ながら、Z900RSの方が発生回転数が低い。これはZ900の方が高回転まで回ってパワフル、Z900RSの方が低回転からトルクが出ている、ということ。実際に乗ってみると、このパワー感はハッキリ分かるもので、クラシックスタイルとはいえキビキビ走るZ900RSよりも、Z900の方がダイレクトに感じる。

 これはZ900の方が二次減速比をショート寄り(=ドリブンスプロケットが2丁大きい)にしているためで、逆にZ900RSの方が最高速度寄り=同じスピードだとZ900RSのエンジン回転数が低いことになる。ちなみにトップギア6速で100km/hクルーズすると、Z900は4100rpmほど、Z900RSは3900rpmほどで、当然のように燃費もZ900RSの方がいい。

 

 ハンドリングにもかなり違いがあって、Z900の方が体感できるほどフットワークが軽い。車体サイズでは、Z900の方がホイールベースで15mm短く、キャスター角もわずかに立っているというだけの差だが、装着されているタイヤが、Z900がダンロップ・スポーツマックス・ロードスポーツ2、Z900RSがよりスポーティな性格のスポーツマックスGPR-300という差がそう感じさせるのかもしれない。

 この差は、ストリートでも操舵感の軽さが感じられて、例えば徐行しながら交差点を曲がる、といった動きでもよくわかる。とても900ccのビッグバイクとは思えないフットワークの軽さで、まるで600ccや400ccの気軽さで乗り出せる。

 

 さらにこの軽さはワインディングでもわかりやすく、直進安定性も種類が違う感じで、ベタッと路面に張り付くZ900RSに対し、Z900はそこからバンクし始めるアクションが軽い。コーナリングも、狙うラインをトレースするZ900に対して、Z900RSはタイヤ一本分大回りする。コンパクトに曲がれるZ900と、安定感たっぷりのZ900RSという違いで、どちらがいいかはライダーの好みだろう。さらに今回の試乗車はオーリンズ製リアサスを装着したカワサキプラザエディションで、曲がりたいアクションに対しての動きの良さ、クルージング時の乗り心地の良さもハッキリ感じ取れた。

 スポーティに走りたいZ900と、スポーツ性よりも憧れのカワサキZ感のカッコよさを味わいたいZ900RS、という好みの違いが、両車の人気の差につながっているのだろう。日本マーケットの視線で両車を見ると、Z900RSはZ900をベースにクラシックスタイリングとして、コンフォートな出力特性とハンドリングとしている分、コストも約20万円上がっていると理解できるけれど、海外のマーケットではZ 9 0 0をデチューンして1300ドルも、1200ユーロも高いのか!となる。

 

 さらに24年秋には、EICMA発表モデルとして新Z900がイの一番に発表され、10月31日にはカワサキから国内導入予定とリリースがあった。Z900RSよりもこっちが、というクロウト好みのライダーも増えるかも。

 

  • KAWASAKI Z900主要諸元

■エンジン種類:水冷4ストローク直列4気筒DOHC4バルブ ■総排気量:948cm3 ■ボア×ストローク:73.4×56.0mm ■圧縮比:11.8 ■最高出力:92kW(125PS)/9,500rpm ■最大トルク:98N・m(10.0kgf・m)/7,700rpm ■燃料供給方式:FI ■全長×全幅×全高:2,070×825×1,080mm■軸間距離:1,455mm■シート高:800mm ■車両重量:213kg ■燃料タンク容量:17L ■キャスター角:24.9°■トレール:110mm ■変速機形式:6段リターン ■ブレーキ形式(前・後):油圧式ダブルディスク・油圧式ディスク ■タイヤサイズ(前・後):120/70ZR17・180/55ZR17 ■車体色:キャンディパーシモンレッド×エボニー ■メーカー希望小売価格(税込):1,276,000円 ※試乗したプラザエディションは1,320,000円

 

  • Riding&Detail

カワサキは近年吸排気系のサウンドチューニングを行うことで「音の良さ」を追求している。もちろんそれはライディング時の爽快感を演出する重要なファクターである。

 

φ300mmのペタル形ディスクに4ピストンキャリパーの組み合わせ。Z900も25年モデルからラジアルマウントに。

 

アルミスイングアームを採用。Z900はZ900RSよりもファイナルレシオがショートに設定されていて、RSよりも加速型。リアサスは車体に対して水平近くにマウントされる、カワサキ独自のホリゾンタルバック方式。

 

マフラーデザインもZ900専用。Z900RSのメッキ長円形サイレンサーに対し、異形断面のマットブラックサイレンサーにヒートガードを標準装備する。

 

試乗した「カワサキプラザ」エディションは、オーリンズ製S46TypeDR1LSリアサスを標準装備。スタンダードから4万4000円のみのアップでオーリンズ!はおトク。

 

エンジンはZ900RSよりもパワフル、出力特性も専用設定された水冷直列4気筒DOHC4バルブエンジン。アシスト&スリッパークラッチを採用し、パワーモードとトラクションコントロールKTRCも採用。

 

バックライト色を写真の黒と白に変更できるデジタルメーター。スマホとBluetooth接続でき、ライディングログ保存や走行ルート、距離や走行時間も連携できる。またパワーモードなどの車両設定を乗車前に容易に変更可能。

 

SUGOMIデザインを強調しているのが、このヘッドライトデザイン。ヘッドライト、ポジションランプ、ウィンカーはLEDを採用。

 

容量17Lのフューエルタンクは、Z900RSよりもニーグリップや車体のホールドがしやすい形状。

Z900RSが正統ダブルシート形状なのに対し、スリムで足が降ろしやすいライダー側を持つ前後セパレートシート。シートエンドがハネ上げられ、スポーティイメージを強調。タンデムシート下にはETC2.0車載器を標準装備。

 

EICMA(ミラノショー)で発表され、時期や価格は未定ながら日本市場導入が調整中の'25年モデル。デザインコンセプトは「REFINED SUGOM(I より洗練された凄み)」。新たにカワサキコーナリングマネージメントファンクションKCMF、カワサキクイックシフターKQSなどを搭載する。また、足周りとブレーキ関連などをハイグレードパーツにしたSEバージョンもある。

 

制作・協力

■試乗・文:中村浩史 

■写真:赤松孝 

■協力:カワサキモータースジャパン

 

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