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【KTM 1290 SUPER DUKE R EVO】コイツはまさに”BEAST=野獣”だ!

  • 中古バイクカタログ
  • 2022.07.13

今回は「KTM 1290 SUPER DUKE R EVO」をご紹介します!

フルフェアリングのRC8Rが現行モデルじゃなくなり、実質的にKTMロードスポーツモデルのフラッグシップがKTM 1290 SUPER DUKE Rだ。

180PS、140Nmの大パワーがある1301cc水冷4ストDOHC4バルブ75°Vツインエンジンを搭載し、電子制御も充実した高性能なハイパーネイキッド。

DUKE R EVO

そのスパルタンな機種をさらに進化させたのがKTM 1290 SUPER DUKE R EVOである。

エンジンパワーのスペックやフレームなど通常モデルと基本的に同じで、進化の目玉は前後の足周りにセミアクティブサスペンションテクノロジーを採用したサスペンションにある。

DUKE R EVO

DUKE R EVO

DUKE R EVO

 

【目次】

1.まさに野獣!大幅に進化したそのポテンシャルを堪能

2.車両詳細

 

  • まさに野獣!大幅に進化したそのポテンシャルを堪能

DUKE R EVO

 乗り込んでスロットルを大胆に開けると矢のように突進する。広いとは言えない試乗コースでは、減速しないといけないところまであっという間に到達してしまう。この速さはKTM自らが“BEAST(野獣)”と呼ぶことに異論を挟まないもの。ライディングモードは『RAIN』『STREET』『SPORT』とあり、『SPORT』にするとレスポンスが鋭く、それよりややひかえめな『STREET』モードの速さの中にも落ち着きがあったフィーリングが、より鋭く活発に。電子制御の介入が弱まり、不用意にフルスロットルをすると、フロントを軽く浮かせながら強烈なダッシュ力。試乗コースは場所によっては小さい石や砂が微妙に浮いている、やや荒れた舗装路だが、大胆に走っても滑って破綻しようとすることなく、きっちり減速して、曲がって、前に進む。

DUKE R EVO

DUKE R EVO

スタビリティや、トラクションさせる能力はいかにもモダンスーパースポーツといったところ。ガウガウと吠える排気音と鋭い加速だから荒々しい野獣感はあるけれど、乗ってみるとインテリジェンスを感じさせる動き。スピードをのせていっても、320mm外径のディスクローター2枚を4ピストンのブレンボ製モノブロックキャリパーで挟み込むフロントブレーキと、純正のブリヂストン製BATTLAX HYPERSPORT S22の安定したグリップによる素晴らしい減速。車体の傾き、速度、ピッチング、スロットルの動きなどをセンサリングして、いろんなシーンで安定したブレーキングを実現しているというだけあって、この試乗場所だと不満を言いたくなるような脇の甘いところを見せない。

DUKE R EVO

モーターサイクルスタビリティコントロール(MSC)を無効にすると、アンチウイリーも無効になり、トラクションコントロールだけ9段階から選べるホイールスリップとレスポンスをカスタマイズ可能な『TRACK』モードがオプションにあるが、それを試して語れるほどの時間と環境ではなかった。電子制御サスペンションのダンピング設定は、標準の『COMFORT』『STREET』『SPORT』に加え、試乗した車両にはオプションのサスペンションPROが入っていたので、『TRACK』『ADVANCE』『AUTO』の3つが追加されていた。リアの3つのプリセットプリロードを手元のスイッチから選べて、さらに10%刻みで0%から100%の間で細かく調整もできる。

6軸IMUからの情報などで走行状況に合わせたダンピングを変更する『AUTO』に興味があったので、この機会ではそれのみで走ることにした。気張らずゆっくりと流し、あまり車体を傾けずに周回させているときと、一生懸命に走ったときで、変化させているのはわかる。いつでも安定を損なわないように働くようだ。

DUKE R EVO

いろいろな制御のおかげもあり、普通に走らせるだけなら高いライディング技術を持っていなくても、この野獣は襲ってきやしない。気持ちよく曲がって、右手の動きに応じたレスポンスと加速を得られ、高い走りのポテンシャルを体感できながら楽しめると思う。凝ったディテールのスタイリッシュな見た目に惹かれたならば、ビギナーでもおもしろく付き合えるだろう。

ただし、この究極DUKE本来の姿、真骨頂を引き出すには、ロジカルに走行について判断できる知識と経験がものをいう。ストリートでそこまで必要なのか、と考えてしまうほど、1290 SUPER DUKER R EVOは細かなセッティングができる。それらを自ら選んで活用できるライダーにとって、上々のネイキッドスポーツだ。今やれることは全部盛りした感じ。まさにフルフェアリングのないだけのスーパースポーツである。

 

  • 車両詳細

DUKE R EVO

シュラウドの尖った先がフォーク部分まで伸びているスタイリングの大胆さは日本のブランドではなかなかお目にかかれない。倒立式フロントフォークは、インナーチューブ径48mmのWP製。EVOだけのAPEXセミアクティブテクノロジー(SAT)が備わる。SATシステムは、走りに応じたダンピング調整を高速で制御する。フロントのブレーキローターはφ320mmで、ラジアルマウントされたブレンボ製モノブロック4ピストンキャリパーを組み合わせる。純正として履いていたタイヤはBRIDGESTONE BATTLAX HYPERSPORT S22(120/70R17)。

 

DUKE R EVO

現行の1290 SUPER DUKE Rは、2020年に登場したもの。旧型の1290 SUPER DUKE Rより3倍の剛性を手に入れたトレリスフレームは、2kgの軽量化もしている。75°バンクの水冷Vツインエンジンは1気筒あたり2本のプラグを備えて、インテーク側には窒化クロムPVDコーティングチタンバルブを使う。シリンダーヘッドにはレゾネーターチャンバーがあり、それで低中回転域のトルクを豊かに。オイル圧送式PASCアンチホッピングクラッチは強いバックトルクを逃し、軽いクラッチレバー操作に貢献。標準モデルとEVOで最高出力180馬力、最大トルク140 Nmのパワースペックに違いはない。

 

DUKE R EVO

ライダーが体重をあずけるサブフレームは、メインフレームにボルト・オン。これは金属ではなく軽量コンポジット素材。現行モデルになってアンチスクワットを改善するためにスイングアームピボットは5mm高く、長い片持ちアルミスイングアームはよりドライブスプロケットに近くなりトラクション向上を図っている。リアタイヤは200/55R17の太さ。サスペンションPROと組み合わせた自動プリロードアジャスターを備えるリアサスペンション。『LOW』『STANDARD』『HIGHT』のプリセットと、0%〜100%の間で10%刻みのマニュアル調整が可能。そのすべては手元のスイッチ操作ででき状態は目の前にあるモニターに表示される。

 

DUKE R EVO

テーパーバーハンドルの幅はオンロードスポーツモデルとしてはワイドな760mm。ハンドルグリップまでの距離は、クランプ位置を前後調節可能で、4つのポジションから選べる。スチール製燃料タンクの容量は16L。ライダーの股はやや開き気味になるが太ももとのフィット感、ホールド感はいい。ライダーの目にはメーターの前に何も見えず開放感がある。シート高は835mmで、またがると数値から想像するより足が届きやすく感じた。メーターはTFTカラーディスプレイ。KTM MYRIDEを使えばスマートフォンとリンクして電話や音楽ライブラリにアクセス可能。クルーズコントロールも備わっている。

 

DUKE R EVO

KTMのネイキッドモデル、DUKEに共通した造形のフロントマスク。シリーズで共通した意匠にするのは4輪でも一般的。これによって、ひと目でKTMのDUKEだとわかる。LEDヘッドライトの間にある縦長の溝は、ラムエア吸気口。ここから取りこんだ新気は直接エアボックスに導かれる。トリプルクランプは軽量かつ剛性の高い鍛造アルミ製。フロントブレーキはもちろん、クラッチも油圧式。ブレンボ製ブレーキマスターのレバーはリーチの調整ができる。スロットルは物理ケーブルのないライドバイワイヤ。イグニッションオン/オフだけでなく給油口のロックもスマートキーで解除できる仕様。

 

●1290 SUPER DUKER R EVO 主要諸元

■エンジン種類:水冷4ストロークV型2気筒DOHC 4バルブ ■総排気量:1301cm3  ■最高出力:180PS/9,500rpm ■ホイールベース:1497mm ■シート高:835mm ■車両重量:198kg(乾燥)■変速機形式:常時噛合式6段リターン ■タイヤ(前・後):120/70ZR-17・200/55ZR-17 ■ブレーキ(前・後):油圧式ダブルディスク・油圧式ディスク ■懸架方式(前・後):テレスコピック式・スイングアーム式 ■車体色:シルバー×オレンジ、ブルー×ブラック ■メーカー希望小売価格(消費税10%込み):2,499,000円

 

制作・協力

■試乗・文:濱矢文夫 

■撮影:渕本智信 

■協力:KTM JAPAN

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