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【Moto Guzzi V100 Mandello】水冷グッチは本格スポーツ イタ車の世界を堪能せよ

  • 中古バイクカタログ
  • 2024.06.27

今回は【Moto Guzzi V100 Mandello】を紹介します!

縦置きVツインという、他社と違う独自のエンジン形式を守ってきたモトグッチ。近年はジェントルなモデルが多かったが、新たな水冷ユニット搭載のマンデッロは激しかった!

 

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  • 旧いまま新しい

 モトグッチと言えば大きな空冷Vツインのシリンダーヘッドが左右に飛び出している、伝統を重んじる格式高いブランドというイメージもあるかと思う。ゆえに熟練ライダーにしかその魅力を理解できない、あるいは年長者が乗るコアなバイク、といった印象を抱いている人もいるかもしれない。

 確かに、他のイタリアンブランドと比べてもどこか落ち着いていて、スポーツという尺度で勝負をしておらず、テイスティさに重きを置いてきた部分があるだろう。

 しかし今度のマンデッロは違う! 縦置きVツインというエンジン形式は守りつつ、ミッションを一体とした新規水冷エンジンを開発。クラッチも湿式多板とするなど格段にモダンになったのだ。

 大きな脱皮をしたモトグッチ、しかし奇抜なことはせず、ブランドのもつ格式の高さは引き継いでいる。完全に新しいグッチなのに、そこに旧さも混在しているのが興味深い。

 

 

■普通のバイクとしての出発

 近年の流行は、ツーリングならばアドベンチャーモデル、一般的なネイキッドスタイルならばストリートファイター、といったジャンル分けが為されているようだが、マンデッロはどちらにも寄せず、ごく普通のライディングポジションとヘンに腰高にしない付き合いやすいシート高に設定するなど、王道ネイキッドスタイル(ハーフカウルはついているが)で登場した。

 

 こんな「普通の大排気量ネイキッド」は国内外メーカーを見ても実は現在かなり少数派である。そしてこの普通のネイキッドこそ、万能で付き合いやすいバランスを持っているスタイルなのではないか、と、90~00年代のビッグネイキッド世代である筆者は思うのである。無理のないポジションや十分な常用域トルク、過激すぎないレスポンスと距離を稼げる快適なシート、それでいてワインディングもしっかり楽しめる適度なスポーツ性も併せ持つ……。まさにスタンダードネイキッド、いや、むしろネイキッドという言葉以前の、「普通のモーターサイクル」とまで言っても良いだろう。新規でそんなモデルを出したモトグッチに拍手を送りたい。

 

  • とはいえかなり速い!

 スタンダードな構成をしていて、いくら水冷エンジンとはいえ馬力だって115馬力と驚く数値ではない。ではマンデッロはノンビリツーリングマシンか、と言えば決してそんなことはないのだった。アクセルを開けると、115馬力というイメージを大きく上回る強靭な加速を見せてくれるのだ。

 常用域からの唸るような力強いトルクはいかにもグッチらしいもの。クラッチの繋がりやギアボックスの精度は現代的ではあるものの、ビッグツインがゴリゴリッと後輪を回すあの感じは「ならでは」なものであり、そしてそこから得られる推進力は驚くほど強い。シフトアップしても加速力は鈍ることなく、現実の公道走行においての機動力は最大出力と比例しないな、と再確認させられる経験となった。

 

 ハンドリングもこれまた良いのだ。ハーフカウルの重さが前輪にうまく載っているのか、フロント周りの接地感、信頼感が高く、多少路面が荒れていようとも自信を持ってバンクしていける。そしてバンク中もストリートファイターのようなクイックさはなく、ドシーッとラインをトレースしてくれる。スポーツの観点からもとても魅力的な一台だ。

 

 

■走り好きに進めたい、若返った本格イタ車

「グッチはベテランの乗り物」としておくのはもったいないと感じたマンデッロの試乗。特に今回乗れた電子制御が最小限のグレードは、かえって様々な設定などに気をとられることなく純粋にその魅力的な走りを楽しみやすいと感じられた。

 

 いわゆる情熱的なイタリアンスポーツ的イメージは少ないかもしれないグッチブランド。しかしこの新たな水冷ユニットによりブランドそのものが若返った感覚があり、もっと積極的に楽しみたいと感じさせてくれた。まだまだベテランではない、活発に走りたいと思っているライダーにこそ、この個性的かつ懐深いスポーツ性を味わってほしい。

 

  • 車両詳細

倒立フォークにブレンボキャリパー。純正装着タイヤはピレリのエンジェルGT。全ての作動性は良好で、かつカウルの重量で前輪荷重を稼いでいるのか、とても信頼感が高く自信を持ってコーナリングを楽しめる。

 

縦置きエンジンということもあり、駆動はシャフトドライブ。片持ちのスイングアームの中をシャフトが通る。しかもペースアップしてもシャフトドライブのクセのようなものは感じられず、極素直に後輪に駆動を伝えることができた。リアサスはリンクレスで、手で回せるプリロードアジャスターを備える。

 

水冷化しただけでなく、クラッチは湿式多板となりミッションもクランクケース一体にしたことでとてもコンパクトなユニットに。そういった設定はモダンだが、縦置きVツインという形式は継承。モダナイズしたとはいえ、加速時のトルクが湧き出る感覚はグッチならではの個性がある。そしてハーフカウルとしたことでそのエンジンをしっかりと見せてアピールしているのもステキだ。

 

815mmのシート高は低めで足つきも良好。シート表皮も上質でとても快適だ。加えてタンデムシートもしっかりと面積があるため、タンデムはもちろん荷物の積載も容易だろう。立派なタンデムグリップも備えるほか、アクセサリー設定されているサイドパニアケースを装着できる工夫もされている。

 

クラシカルさはなく、スタイリング的にもグッとモダンになったフロントマスク。ヘッドライトは下部にDRLを備え、3灯のヘッドライトで構成される。スクリーンは上下可能。

 

新たなトピックとして、走行モードや走行速度に合わせてタンク横のウイングレットが開いたり閉じたりする機構を採用。スポーツ走行のダウンフォースを目的としたウイングレットは一般的になってきたが、こうした快適性のための空力装備は初だろう。なおタンク容量は17Lといくらか少なくも感じるが、トルクフルなエンジンはあまり回さずとも楽しめる設定のため実燃費はかなり良さそうだ。

 

●MOTO GUCCI V100 Mandello主要諸元
■エンジン種類:水冷4ストロークV型2気筒DOHC 4バルブ ■総排気量:1042cm3 ■ボア×ストローク:96.0×72.0mm ■最高出力:115PS/8,700rpm ■最大トルク:105N・m(10.7kgf・m)/6,750rpm ■全長×全幅×全高:2,125×835×–mm ■軸間距離:1,475mm ■シート高:815mm ■車両重量:233kg ■燃料タンク容量:17L ■変速機形式:常時噛合式6 段リターン ■タイヤ( 前・後):120/70R 17・190/55R17 ■ブレーキ(前・後):油圧式ダブルディスク(ABS)・油圧式ディスク(ABS) ■懸架方式(前・後):テレスコピック式・スイングアーム式■メーカー希望小売価格:2,200,000円〜2,640,000円

 

制作・協力

■試乗・文:ノア セレン ■撮影:渕本智信 ■協力:MOTO GUCCI

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