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【SUZUKI Address125】原二の快速王がフルモデルチェンジ。 完成度を高めたその中身は……

  • 中古バイクカタログ
  • 2023.04.21

今回は「SUZUKI Address125」を紹介します!

スタイリングはすっかり変わったものの、これまで以上を目指したシャシーとエンジンにより日常的に使うスクーターとしての完成度を高めたというスズキの新型アドレス125に試乗。便利な移動手段として大きな支持を集めていたその実力はどうなったのか。

 

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  • 特徴・デザイン・足つき

 スズキのピンクナンバーアドレスといえば、1991年に発売して大ヒットした2ストロークエンジンのアドレスV100から歴史がスタートした。成功の理由は、コンパクトで取り回しのいい車体サイズに、元気のいいエンジン、そしてお手頃な価格だった。毎日通勤に使うユーザーをはじめ、お手軽で便利な移動手段としてもてはやされ10年以上販売は続いた。その後、アドレス110を挟みつつ2005年に2ストロークから4ストロークのアドレスV125にバトンタッチ。それでも販売は好調で、街中でよく見かけるスクーターだった。2017年からの“V”が車名から外れたアドレス125が、今回紹介する新機種の前身になる。それは、ややサイズアップはしたが、小回りのきく取り回しなど使い勝手の良さとリーズナブルな価格という基本は受け継いでいた。そして、フルモデルチェンジでこの新型が登場。

 

 その内容は……中国生産だった前モデルからインド生産に変更。アドレスV100から続くフロントエンドが尖ったスタイルから脱却して、ちょっと可愛さがあるデザインを取り入れたのは一目瞭然。テールの上がり方がひかえめになり、大きなヘッドライトのまわりにはクロームメッキの加飾がついて、スポーティー路線から方向転換し、今まで親しまれたものからガラッとイメージチェンジした。新旧の違いは、それだけでなく様々なところに及んでいる。これまでよりタンデム走行の快適性を向上させるために、フラットでロングでワイドなシートを採用。言うまでもなく、よりふたりで楽に乗車できるようになった。嬉しく思うユーザーは多いはずだ。

 

 フラットフロアは原付二種アドレスの伝統。欧州ブランドスクーターのように椅子に座るようなライディングポジションかと思いきや、運転者のエリアを知らせる、後席との小さいな段差までお尻を下げると、身長170cmの筆者なら膝の曲がりは90度以上で、感覚的には120度くらい。想像よりもゆとりがある。もっとカカトを前面に押しつけるように前に出すと、この身長だとほぼ足を伸ばした姿勢にだってできる。フットエリアは前後の一番長い部分で470mmあり、横方向も最大422mmで足を置く自由度が大きい。これならフットエリア前後にあるフックにかけられる荷物の大きさや形状にも柔軟に対応しやすい。

 

ライダーの身長は170cm、前寄りに座ると両足カカトまでしっかり接地。

 

  • 試乗インプレッション

 走りも違う。スチール丸パイプを使ったフレームは必要な剛性を持ちながら従来より1.1kg軽くするなどトータルで4kgもの軽量化をとげた。その差はほんの少しだと考えがちだが、ガソリン1Lを750gとすると燃料5.3L分も軽くなっているのだから軽視できない。軽くしたかった理由には平成32年(令和2年)国内排出ガス規制に適合させるというのがあった。排出ガスの規制とエンジンパワーは密接な関係で、どうしても厳しい規制になるほどパワーは落ちてしまう。スズキはそれでエンジンパフォーマンスが著しく劣るのを嫌った。空冷4ストロークSOHC2バルブSEP(スズキ・エコ・パフォーマンス)単気筒124ccエンジンは、吸気経路、バルブ挟み角を変えタンブル流を生み出し、混合気をよりプラグ付近に集めるようなスキッシュ形状にして燃焼を促進。さらに各部のフリクションロスも低減させた。その結果、最高出力は6.9kW(9.4PS)/7000rpmから6.4kW(8.7PS)/6750rpmとやや落ちながらも、最大トルクは10N・m(1.0kgf・m)と変わらない数値を実現した。

 

 そしてキビキビとした加速と低燃費の両方を考えてCVTの設定も変更した。事実、走らせてみると停止からアクセルを大きく開けての発進はもどかしさのない加速で、ものすごく速いというわけではないけれど、スルスルっとスムーズに速度は伸びていく。アクセル開度を一定にしているとCVTのプーリーが高速型へと切り替わていくのが分かる。発進加速中はキビキビ、定速巡航ではハイギヤードになってエンジン回転数を落として燃費を伸ばす。そのメリハリがある。巡航している状態からの追い越し加速は、レスポンスも含めてややゆったりしたものになるのは排気量的に仕方がないところか。それでも、試乗中に流れている一般道で大きな不満は感じず、スイスイと走れた。エコランプが、アナログスピードメーターの周りを囲むように大きく配置されたので「今燃費を伸ばしているんだな」と低燃費運転を心がけやすいのも地味にいい。

 

 フロント12インチ、リア10インチのホイール外径は受け継ぎ、90/90-12・100/90-10のタイヤサイズも変わらない。それほど大径ホイールではないが、体がゆすられるようなヒョコヒョコとした動きは抑えられている。速度を出しながら段差を通過するとフルストロークしてダンっという音とともに大きめのショックがあるけれど、それで走行が不安定になることもなく怖い思いはなかった。

 

 ABSはないものの前後連動のコンバインドブレーキを採用している。試乗時には完全なウェットもあったから、そのグリップが低い状況を利用してリアブレーキレバーを強く握り込んでの急減速をやってみた。ギュッとつんのめるように停止。前後ブレーキのバランスは良く、どちらかがグリップを失うような状態にはならなかった。フロントにインナーチューブ径がφ35mmと太めのテレスコピックフォーク採用しているのもあってよれるような頼りなさはなく、コーナーリング、直進性の安定感もあって、どのシーンでも走りやすいと思わせるコントロール性。大柄なようで実は旧型よりダウンサイジングしていて、ホイールベースも短く狭い路地やUターンなどでの小回りも確実にできる。

 

 ものすごく飛び抜けたところはないけれど、すべての項目で合格点を与えられるバランスの良さを感じた。これで税込み27万3千900円の価格は、これまでに負けないお買い得感がある。

 

  • 車両詳細

フロントホイールは12インチ、タイヤはダンロップD307。フロントフェンダーはスチール製だ。フロントディスクはφ190mmサイズ。

 

メッキを施したヘッドランプリムを持つLEDヘッドランプ。上下2段に分かれ、ロービームは上のみ、ハイビームで上下点灯する。

 

スピードメーターの周囲を囲むようにエコドライブイルミネーションがあり、通常運転ではブルー、グリーンが燃費の良い運転状態。

 

オープンタイプのインナーポケットの上に蓋付きの2AのUSB電源がある。中央にフロントフック(最大積載許容重量1.5kg)を備える。

 

フロアボードはフラットで、広々とした足元スペース。センター&サイドスタンドを標準装備する。タンデムステップは折りたたみ式。

 

シート下トランクは21.8L容量(最大積載許容重量3kg)。ヘルメットはシートヒンジの左右にあるフック式のヘルメットホルダーに。

 

給油口はシートを開けずに給油できるこの位置。リアコンビネーションランプはLEDではなくバルブ式。大型グラブバーを装備する。

 

インド市場からの要望もあってマフラーとリアホイールとの間を広く取って、マフラーを外さずにホイールを脱着できるようにした。

 

●Address125主要諸元

■エンジン種類:空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ ■総排気量:124cm3 ■ボア×ストローク:52.5×57.4mm ■最高出力:6.4kW(8.7PS)/6,750rpm ■最大トルク:10.0N・m(1.0kgf・m)/5,500rpm ■変速機:Vベルト無段変速 ■全長×全幅×全高:1,825×690×1,160mm ■軸間距離:1,265mm ■最低地上高:160mm ■シート高:770mm ■車両重量:105kg ■燃料タンク容量:5.0L ■タイヤ(前・後):90/90-12・90/100-10 ■ブレーキ(前・後):油圧式ディスク・機械式リーディングトレーリング ■懸架方式(前・後):テレスコピック・ユニットスイング ■車体色:ダークグリーニッシュブルーメタリック、マットボルドーレッドメタリック、パールミラージュホワイト、マットブラックメタリックNo.2 ■メーカー希望小売価格(消費税10%込み):273,900円

 

制作・協力

■文:濱矢文夫 ■協力:スズキ ■ウエア協力:アライヘルメット

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