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【SUZUKI GSX-S1000GX】スポーツツアラー+アドベンチャー それは最強のクロスオーバーモデル

  • 中古バイクカタログ
  • 2024.02.08

今回は【SUZUKI GSX-S1000GX】を紹介します!

人気のスポーツネイキッドマシン。GSX-S1000の派生モデル第3弾はロングストロークの足回りが奢られたクロスオーバーモデル。スズキのモーターサイクル初となるセミアクティブサスペンションをはじめ、電子制御が盛りだくさんのGXをポルトガルにて検証する。

 

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  • GSX-S1000GXの特徴

 昨秋開催のEICMA2023で初披露されたスズキGSX-S1000GXは、スポーツネイキッドモデルであるGSX-S1000をベースとしたスポーツアドベンチャーモデル。前後にストローク量の大きなサスペンションを装着し、アップライトなライディングポジション設定となっている。

 

 シート高は845mmと高めである(ちなみにVストローム1050は850mm、G XのベースとなったGSX-S1000は810mm)。シート高が高いことのメリットは数多くあるものの、我が国では足つき性が悪いというデメリットばかりが伝えられてしまうのは残念な話しである。なぜにシート高(サスペンション)が高いのか? まずは乗り心地の良さ、快適性の確保というのが大きいであろう。そのうえで、悪路に強い走破性という意味もある。また、アイポイントが高くなることで視認性=安全性向上にも寄与するであろう。反面、とくにハイスピード域では動きすぎたり不安定になったりすることも想定される。スポーツバイクがある程度締め上げられた足回りを装備していることからもそれはわかるだろう。

 

 GXにはスズキのモーターサイクルとして初めて電子制御のサスペンション(SAES:スズキアドバンスドエレクトロニックサスペンション)が装備された。様々な状況に対応した長いストロークを有効的に活用するための装備であるといえる。この電制サス、まずはスプリングのプリロード設定を適切に行う必要があるが、これはオートマチックリヤサスペンションモードによって解決される。例えばオートモードを選択すれば、ライダーの重さや積載量等を測定して最適なプリロード設定がされる。走行中にリアルタイムでアジャストされるわけではないようだが、前後のバランスを見ながら適切な姿勢を保持しようとするという。また、オートモード以外では任意にプリロード量を設定することも可能である。そして1 0 0 0 分の1 秒という単位で計測され、アジャストされていくのが減衰力である。こちらはソフト、ミディアム、ハードのほか、それぞれの設定から強弱3レベルに選択出来るユーザーモードの4種類が選べる。

 

  • 試乗インプレッション

 ホテル敷地内から一般道に出るまでのアプローチだけでなく、至るところに散見される欧州名物の石畳。例えばソフトを設定すればフワフワの乗り心地を提供してくれる。もちろん、これはソフトの範疇でのダンピング調整が行なわれており、ただ減衰力が弱まったというだけでないのは言うまでもない。

 

 さらに、例えばここで予期しない大きなギャップの連続凸凹があればダンピングだけでなく、スロットルの制御も同時に行なわれるという。実際にそのような状況での走行もしてみたのだが、モニター上で作動していることは確認できるものの、マシンの挙動の変化は感じられないほど介入は自然であった。また、基本的に日本ではよっぽどのことがない限り作動することはないとのことで、かなり限定的に想定される事案にも対処できるような作り込みがされている。

 

 ワインディングに繰り出す。先の読めないブラインドコーナーが連続するコーナーでは無類の自由度の高さを感じさせる。ただ遠くへの快適な移動手段ではなく、実戦での実力を感じさせるアジリティである。ペースをあげていくなかで減衰力を徐々に強めていくが、ガチガチな印象はなく総じて乗り心地が良い。そして設定変更した際には、しっかりとその違いがリアルタイムで感じることが出来る。

 

 機械式が万能でないことは周知の事実であろう。一方、電子制御化されることで、すべてが解決されるように思われる方もいるが、これも万能ではない。細かい選択によってその実力を発揮していくこととなるのは同様であるが、それがいとも簡単に出来てしまうのがこのマシンのセールスポイントである。そして、よくわからないという大多数の人にとって恩恵を受けるのもこちらであろう。

 

 エンジンは名車2005GSX-R1000(K5)譲りのもの。現役バリバリのスーパーバイク仕様ではないものの、マシンのキャラクター的に高回転域が必要ないとなると、このトルクフルなキャラクターを持つエンジンのメリットが遺憾なく発揮されるのである。もちろん、スポーティさは健在。しかもK5登場当時には備わっていなかったライディングモードやオートクルーズ、クイックシフター等も搭載され、スポーツライディング以外での使い勝手もさらに高まっている。また出力特性(3段階)、トラクションコントロール(7段階+オフ)、SAESの減衰量(4段階)を統合管理するSDMS-α(スズキドライブモードセレクターアルファ)等、電子制御機能は多彩。

 

 欲張りなキャラクターを目指したマシンはどっちつかずのものとなる可能性があるが、GXのカバーする走りのフィールドは実に広い。そしてそれを実現出来たのは、最新の電子制御を適材適所に散りばめたことによるものだと納得出来たのである。

 

  • 車両詳細

SUZUKI GSX-S1000GX主要諸元

■エンジン種類:水冷4ストローク直列4 気筒DOHC 4バルブ ■総排気量:998cm3 ■ボア×ストローク:73.4×59.0mm ■圧縮比:12.2 ■最高出力:110kW(150PS)/11,000rpm ■最大トルク:105N・m(10.7kgf・m)/9,250rpm ■全長×全幅×全高:2150×925×1350mm ■軸間距離:1470mm ■シート高:830mm ■車両重量:232kg■燃料タンク容量:19L ■変速機:6段リターン ■タイヤ(前・後):120/70ZR17・190/50ZR17 ■ブレーキ(前・後):油圧式ダブルディスク(ABS)・油圧式シングルディスク(ABS)■車体色:トリトンブルーメタリック、グラススパークルブラック、パールマットシャドウグリーン ■メーカー希望小売価格(消費税込み):1,991,000円 ※1月25日国内販売

 

コーナリング時にもABSを作動させ、狙ったラインのトレースを支援するモーショントラックブレーキシステムも搭載。初めて走るワインディングを攻め込んでも、マシンの自由度の高さは特筆もの。

 

北米仕様はパニアケース付きで販売されるということからも(通常はOP)デザイン面、性能面ともにパニア込みで設計。

 

2005年型GSX-R1000、通称K5エンジンを搭載。最高出力は150馬力で豊かなトルクと十分なパワフルさを持つ。

 

ブレンボ製ラジアルマウントキャリパーの装備は兄弟モデルと同様だが、GXにはコーナリングABSが装備される。

 

フレームはGSX-S1000と共通で、スイングアームはK9モデルからの流用。ステップ位置はGX専用となる。

 

電動プリロード調整用に用いられる油圧式アクチュエーター。任意の3モード+オートレベリング機能を装備。

 

多機能ではあるが、GTと共通の左スイッチ部を用いる操作はシンプルで、機能を使いこなしやすい設定。

 

メーターサイドにはUSBポートを設置。モニターはスマホとの連携で機能拡張もあるためもはや必需品である。

 

GX専用のシートは快適性を重視したものでシート高は高めだが、サイドをスリム化して足つき性を考慮する。

 

縦2灯のLED製ヘッドライトを採用。スクリーンは3段階の調整機構付き。ハンドガードも標準装備する。

 

6.5インチフルカラーTFTモニターは様々な情報を表示するほか、サスペンションの仕様変更を含む諸々の設定変更にも使用。昼間/夜間モードがある。

 

制作・協力

■試乗・文:鈴木大五郎 ■撮影・協力:SUZUKI ■ウエア協力:アライヘルメット、ダイネーゼジャパン

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