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【SUZUKI GSX-S750】生産終了は あまりにも惜しい 日本唯一のナナハン4気筒!
- 中古バイクカタログ
- 2022.08.02
今回は「SUZUKI GSX-S750」をご紹介します!
22年11月から新規制が施行されるため、日本唯一のナナハン4気筒であるGSX-S750が
生産終了されることになったようだ。
小さく、軽く、力があるナナハン4気筒の魅力がなくなってしまうのが惜しすぎる。
【目次】
1.生産終了してしまうのは、名残惜しい
2.エンジンの特徴
3.車両詳細
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生産終了してしまうのは、名残惜しい
“ナナハン”といえば、かつての日本最大排気量、ビッグバイクの代名詞だった。ホンダCB750FOUR、カワサキ750RS、ヤマハXJ、そしてスズキGS。GSはGSXになって、ナナハンカタナ、そしてGSX-R750へと発展。’85年登場のGSX-R750は、姿かたちを変え、エンジン、車体を変えて’18年まで生産された世界的ヒット作だ。
そのGSX-S750が、生産終了されようとしている。理由は'22年11月から販売されているバイクは、自己故障診断装置(OBD2)を搭載しなければならない、という新規制のためだ。規制を通した新機種を発売しようにも、国内750cc市場にそれだけのボリュームがなく、より人気のある1000cc超クラスに新機種を投入しよう、というマーケティング的観点からの判断なのだろう。
しかし、生産終了されるには、GSX-S750はあまりにも惜しいバイクだ。'21年にモデルチェンジしたGSX-S1000の弟分のようなポジショニングだが、S1000が持たないメリットがたくさんある。
ありきたりな言い方をしてしまえば、GSX-S750は600ccサイズのボディに、1000ccクラスのエンジンを積んだパッケージ。S1000に比べると、軽く小さく、出力に関しては数字的に非力だけれど、それを物足りないと思うことはなかった。
しかしS1000に比べると、ボディサイズは数字的にほぼ変わらず、車両重量もわずか2kg軽いだけ。それでも車両の重心位置やバネ下重量の軽さのおかげか、数字以上に軽く小さく感じるのだ。
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エンジンの特徴
エンジンは、S1000よりも明らかに手応えが軽く、シャープな吹け上がりが印象的。その分、S1000は極低回転からトルクが出ているが、S750の低回転トルクは必要充分なもの。むしろ、S1000の大トルクを「力がありすぎて怖い」と思う人だっているだろう。
そう回転を上げなくても力のあるエンジン特性で、街中を流すには3000rpmも回していれば充分。トップギア50km/hで街中を走る時などは、2000rpm+αくらい。この時のスムーズな力の出方こそ、2気筒にはない4気筒エンジンの気持ちよさだ。
高速道路に乗ってのクルージングでは、もちろん安定性や快適性ではS1000の方が上だけれど、安定性も申し分なく、フリションのないエンジンの回り方が快適だ。750ccで112psもあるエンジンは、120km/hでクルージングすると、トップギアで5300rpmくらい。たとえばヨーロッパ・アウトバーンで150km/hのクルージングをするとなると物足りないだろうけれど、日本の道路事情では充分すぎるパフォーマンスといえるだろう。
ハンドリングは、さらにS1000を上回るよさを見せてくれる。たった2kgしか軽くないはずなのに、思うどおりに振り回せるコンパクトさがあって、ライダーのコントロールに忠実な動きを味わえる。ライダーの入力に過敏でなく、ペースを上げてくるとハンドリングにキレが出てくる。ゆっくり流すときは従順に、ペースを上げるとキレが出てくる――そんなタイプなのだ。
「ちょうどいいスポーツ」 それがGSX-S750にあらためて乗り込んだ感想。ちょっと力ありすぎるな、とも思わない。ちょっと小さくて安定感ないな、とも思わない。それがナナハンの良さなのだ。
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車両詳細
先代のGSR750からホイールデザイン、ディスクローター形状も一新、キャリパーもラジアルマウントに。フォークはΦ41mmサイズ。
発進時にエンジン回転が落ち込まないローrpmアシスト、3段階+OFFのトラクションコントロールを採用した並列4気筒エンジン。
マフラーはGSF750同様だが、並列4気筒らしい澄んだサウンドを聞くことができる。リアタイヤはS1000よりもワンサイズ細い。
スイングアームはスチール製のシンプル形状な専用パーツ。リアサスはリンク式モノショックで、7段階のプリロード調整が可能。
ギアポジション表示つきメーターは、バーグラフ式タコメーター、オド&ツイントリップ、平均&瞬間燃費、残ガス走行可能距離を表示。
GSRからは形状が一新されたビキニカウル。フューエルタンク、シュラウドとデザインラインが統一されてスタイリッシュに。
■試乗・文:中村浩史 ■撮影:富樫秀明 ■協力:SUZUKI