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【SUZUKI V-STROM250SX】新・油冷ヘッドのシングルエンジンを搭載 期待以上の走りの広がり、250SXは面白い!
- 中古バイクカタログ
- 2023.12.15
今回は【SUZUKI V-STROM250SX】を紹介します!
2気筒モデルがあるのに、ソコに単気筒モデル?! 乗って解ったまったく異なる2台の個性。好みで選んで間違いなしなVストロームが登場。舗装路の走りの良さ、林道もいとわず走れる走波力。なるほど、クロスオーバー(SX)、今の時代にマッチしたパワフルな単気筒、満足度高い一台の登場だ。
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V-STROM250SXの特徴
春のモーターサイクルショーで注目を集めたVストロームシリーズ。中でも油冷単気筒を搭載した250SXは、軽二輪クラスに当てた2本目の矢でもあり、ツーリングガチ勢からオフロードとオンロードのクロスオーバー性というスタイルを求めるライダーからも注目を集めた。このモデルはジクサーシリーズ同様、インドで生産されるモデルで、アジア圏から世界に発信される1台ということになる。
スズキにはすでにVストローム250という直列2気筒を搭載したモデルがある。このモデルとSXのキャラクターの違いについてスズキは、パニアケースとトップケースの3つのボックスを取り付け、長距離ツーリングをするロードツアラーが250、たいしてSXはトップケース1つを装着して、ワインディングからダート路までツーリング先で出会う道を走りながら思いのままに遊ぶバイク、というようなアクティブなライダーに向けたバイクと位置づけている。名前のSXが示す「スポーツクロスオーバー」という意味合いもそのへんから来るモノだ。
スペックからもそれは明確で、Vストローム250が車重191kg、最低地上高160mm、シート高800mmなのに対しSXのそれは、車重164kg、最低地上高205mm、シート高835mmとオフ車的エッセンスを持っている。スリムなボディーを持つSXの燃料タンクは250よりも5リッター少ない12リッター入りとなる。
最高出力は2気筒のVスト250を1kW上回る19kW、最大トルクは同値の22Nmとなる。車体サイズもS Xのほうが全長で30mm、全高で60mm、ホイールベースは15mmそれぞれVスト250を上回る。これは全高やグランドクリアランスがあることもあって、2台を並べると明らかに250SXのほうが立派なサイズ感を持っているのも特徴だ。これは実際に跨がってみても印象は同じで、SXが35mm高いシート高となるが、それよりもライダーが跨がってもサスペンションがふんわりと沈まない特性のため、数値以上にシート高を感じるのが不思議で、183cmの筆者でも「意外とシート高あるね」と感じたほど。ただし、車体がスリムで、シートそのものの造りも足着き性に配慮した設計なので足着き感が悪いとは思わなかったことも付け加えておきます。
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試乗インプレッション
SXと比較するためにまずVストローム250に乗る。180度クランクの2気筒エンジンによる軽快でスムーズな回転とそこから生み出されるパワーとトルク。取り回しでは少し重たいと感じた車重が、走り出すと重厚感に変化。まるでひとクラス上のバイクに乗っているような安心感に変わりつつ、250らしい軽快さがあるのが解る。そして250SXに乗り換えると、取り回しの軽快さが圧倒的。そしてクラッチを繋いだ瞬間、力強いトルクに押し出される印象からすぐにSXの名の由来、スポーツクロスーオーバーというイメージが伝わってきた。
回転をあげてゆく。アクセルに対するレスポンスはとてもスムーズ。単気筒エンジンから想起されるドコドコとした振動は少なく、回転の上昇は低回転から均等にパワーとトルクが盛り上がり続ける。伸びのある少しハイギアードに感じた1速から2速へ、そして3速へ。250ccだから剛力を生み出すわけではないが、2気筒のVストロームよりも車体が軽いこと以上に速さを持っている。それでいて回転が上がってもどこからも特別に速さを主張するわけではなく、それでいて充実の加速をライダーに届けてくれて、一言で気持ち良い!と思える満足感に包まれる。パワフルさには不足を感じないどころかスピードコントロールの楽しさが詰まっている。
そのエンジンが生み出す移動感に呼応するハンドリングは、ツーリングでの安心感を演出する直進安定性を持たせたものになっている。OEMとなるマキシス製のタイヤの内部構造にまで拘って造り上げた特性だという。その分、パーシャルスロットルでワインディングを流しつつ、大きなS字を右から左へと切り返そうとすると、意外に頑固な顔も覗かせる。少しマニアックな乗り方になるが、旋回する直前にアクセルオフ、シフトダウン、ブレーキングなどでフロントタイヤに荷重を乗せつつSXを寝かせてゆくと、それまでのちょっとした直進性の強さが薄れ気持ち良く曲がり始めるのだ。
SXが装備するブレーキはブレンボのインドでのブランド、バイブレ。片押し2ピストンのフロント、シングルピストンのリアの組合せは、タイヤのグリップ特性、サスペンションの設定とも相まって扱いやすくチューニングがされている。制動力そのものは強弱をコントロールしやすく、ビギナーから経験者まで幅広いライダーを満足させるはずだ。これは舗装路、未舗装路でも同様の印象だった。少しマニアックな舗装路での走りに対し、未舗装路ではペースを上げてみても、ロードバイクと大差ないサスペンションストロークながら、そのロードホールディング性のよい車体と相まってクロスオーバー性を楽しめた。今回、市街地は走っていないが、そもそもロード主体のクロスオーバーから始まったVストロームシリーズだが、その濃いエッセンスを250で体現した一台として価格、走りを含め、オススメできるバイクに仕上がっているSXだったのだ。
SUZUKI V-STROM250 SX主要諸元
■エンジン種類:油冷4ストローク単気筒SOHC 4バルブ ■総排気量:249cm3 ■ボア×ストローク:76.0× 54.9mm ■圧縮比:10.7 ■最高出力:19kW(26PS)/9,300rpm ■最大トルク:22N・m(2.2kgf・m)/7,300rpm ■全長×全幅×全高:2180×880×1355mm ■軸間距離:1440mm ■シート高:835mm ■車両重量:164kg ■燃料タンク容量:12L ■変速機:6段リターン ■タイヤ(前・後):100/90-19・140/70-17 ■ブレーキ(前・後):油圧式シングルディスク・油圧式シングルディスク ■車体色:チャンピオンイエローNo.2、パールブレイズオレンジ、グラススパークルブラック ■メーカー希望小売価格(税込):569,800円
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車両詳細
ツーリングメインで林道をスポーティな走りで楽しむよう人でなくとも、SXはサスストロークがロードバイク並みでもシッカリ受け止める足周りなので想像以上に走らせられる。今回の林道レベルの道は楽しめた。相当機能的な相棒になるだろう。
身長183cmのライダーが着座位置を前気味にすると膝が少し曲がる程度。ポジションはアップライトなものとなる。
ツインエンジンで前後17インチタイヤのVストローム250は、トップケース&パニアケースを取り付け長距離ツーリングをする、対するシングルエンジンの250SXは前19インチ・後17インチタイヤを履きトップケースひとつでツーリング先でワインディングを楽しみダートにも気軽に入り込んで遊べる、スズキ説明のそんなイメージ。
OHC4バルブヘッドを採用した油冷シングルエンジン。全域スムーズで回り方の気持ち良いエンジンに仕上がっている。
19インチの大径ホイールながらロード、ダートともに楽しめる特性。ブレーキはバイブレ製、タイヤはマキシス製を採用。
スポークの細いキャストホイールを履くことで足回りの軽快さも演出。マフラーはジクサー250と同じものを採用。
スズキの冒険バイクのアイコンであるノーズデザインを踏襲。ライトはフルLED。小ぶ
りながら防風効果も高いスクリーン。
メーターはLCDモニターを装備。速度、ギアポジション、燃費、電圧など多くの情報を表示させることができる。
アップライトなポジションを可能にしたハンドルバー。ナックルガードを備えるのも旅慣れたVストロームらしいところ。
セパレートシートを採用。オプションで25mm座面が低くなるローシートもある。キャリアとリアシートがフラットに繋がる。
エンジンの燃焼室回りに冷却オイル経路を設け冷却し、この位置に大型のオイルクーラーを置き油温を下げる
■試乗・文:松井 勉 ■撮影:増井貴光 ■協力:SUZUKI