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【YAMAHA TRICITY155】155だから分かったトリシティの真価 三輪モデルの良さは高速で際立つ

  • 中古バイクカタログ
  • 2025.06.19

2輪と比べて3輪ってどうなの?と思っている人こそ、読んでほしいレポートです!

前二輪、後一輪のスリーホイーラー、ヤマハのトリシティシリーズ。

現在のトリシティは125/155/300がラインナップされているが今回試乗した155には、兄弟モデルの125にも300にもない三輪の大きなメリットを感じることができた。

走る場所を選ばない̶̶これがトリシティ155の長所だった。

 

  • トリシティシリーズについて

 トリシティシリーズには、圧倒的な安定性がある。それは、乗ったことがない人にもわかりやすい特徴だし、当然、三輪が接地する「3点支持」だから、止まっている時の静的安定性は二輪の比ではない。
 特に、バイクがいちばん不安定になる、走り出しの瞬間や止まる寸前に、二輪のようなフラッとする瞬間が少ないのだ。

 ラインアップでは、トリシティ125/155が同じ車体に排気量違いのエンジンを積んでいる兄弟車で300はボディもひと回り大きく、フロントフォーク回りのダブルフォークや連結リンクも専用設計で、これはもう別物といっていい。ちなみに3 0 0の車両重量は230kgオーバーと、1000ccネイキッドのMT-10よりも重い。
 となると、やはり三輪バイクの入り口となるのは、トリシティ125/155だ。このカテゴリーで安全性や安定性をアピールできれば、三輪バイクの可能性がもっと広がっていく。

 初めて乗ったのは125だった。前輪がふたつあるという違和感は最初のうちだけだし、三輪ならではの重量も、同じ排気量の125ccスクーターであるNMAXよりも37kg重くとも、その重量が安定性に振り分けられてあるから、決して軽快だとは言えなくとも、重さが苦になるほどでもなかった。
 トリシティ125の最初の印象は、やはり圧倒的な安定感だった。スクーター=小径ホイールならではのフラフラ感がなく、ブレーキング時の不安定さも、ほぼない。さらに特徴を掴もうとわざとでこぼこ道を走ったり、段差をナナメに乗り越えたりしてみても、その安定性が揺らぐことはなかった。
 しかし、やはり125ccという排気量のためか、そのメリットを感じるシーンは限られている。法規で認められている最高速度は60km/h。このスピード域では、普通のスクーターよりもどっしりしているな、という印象がせいぜいだった。

 もっとスピードを出せたら安定性の高さを誰もが実感できるのに̶̶と思ったところで登場したのが兄貴分のトリシティ155、つまり、待望の高速道路に乗れる排気量だ。
 乗り出して、さっそく高速道路へ。まずは首都圏都市高速の80km/h制限に乗り出してみると、125の時に街乗りをした時の安定性とは比べ物にならない快適性が味わえた。
 走る感じは、スクーターとはいえ、たとえば250ccサイズのビッグスクーターよりも安定感があるほど。ビッグスクーターは、たとえばXMAXだと、車両重量181kgのボディに前15/後14インチホイールで、高速道路の走行時など、やはりフラフラ感を隠せない。ビッグボディだから、走行風を受けてしまうのも、不安定さにつながっているのかもしれない。

 それに対して、トリシティ155は、ビッグスクーターの重さや小径ホイールならではのフラフラ感がなく、巡航スピード110km/hくらいまでが快適なのだ。トリシティ155も前14/後13インチと、小径ホイールのうちに入るのだろうけれど、その安定した高速クルージング性は、250ccクラスのビッグスクーターなみ、いやそれ以上だと感じたほどだった。

 ヤマハは三輪のメリットに旋回性を挙げるけれど、この旋回性は、なにもコーナリングでぐいぐい曲がるような局面でなく、方向転換やUターンを不安なく行なえる、と解釈するのがいい。走り出し、高速巡行、Uターン、そして止まる寸前まで高い安定性が崩れないのがトリシティなのだ。
 単なるスクーターと考えれば、大きくて重い、価格も高いトリシティ。NMAX155と比べると、トリシティの方が41kg重く、ホイールベースも70mm長く、価格は14万円高い。
 それでも、この差を埋める魅力が、トリシティにはある。

 

  • YAMAHA TRICTY155主要諸元

■エンジン種類:水冷4ストローク単気筒SOHC4バルブ ■総排気量:155cm3 ■ボア×ストローク:58.0×58.7mm ■圧縮比:11.6 ■最高出力:11kW(15PS)/8,000rpm ■最大トルク:14N・m(1.4kgf・m)/6,500rpm ■燃料供給方式:FI ■全長×全幅×全高:1,995×750×1,215mm■軸間距離:1,410mm■シート高:770mm ■車両重量:172kg ■燃料タンク容量:7.2L ■キャスター角:20°00' ■トレール:68mm■変速機:Vベルト式無段変速 ■ブレーキ形式(前・後):油圧式ディスク・油圧式ディスク ■タイヤサイズ(前・後):90/80-14・130/70-13 ■カラー:マットライトグリーニッシュグレーメタリック1/ホワイトメタリック6/マットグレーメタリック3 ■メーカー希望小売価格(税込):566,500円

 

  • Riding&Detail


砂利ダートでも即転倒の恐怖感なくいける。得意とはいわないが苦にはしない。

 


バンク時と段差での接地はこの感じで前2輪がストロークする。どの角度でも接地することで安定感が生まれるこのシステムを「LMWアッカーマンジオメトリ」と呼ぶ。


前二輪の印象が強いが、スクーターとしてのスタイリングはスタイリッシュな部類だと思う。ヘッドライトやテールランプはLE Dを、ウィンカーはノーマルバルブを使用。


ヤマハがブルーコアと呼ぶ、高燃焼効率、高冷却性能、フリクションロス低減を実現したスクーター用エンジン。鍛造ピストン、可変バルブタイミングを使用する高性能エンジンだ。ON/OFF つきのアイドリングストップ機能を備えている。

シート下トランク(容量約23.5L)は内部を照らしてくれるLED照明つき。収納部の前には給油口があって、イグニッションキーをオープン位置にして、シートボタンをワンプッシュする。


横長のモノクロ液晶メーター。スマホに、ヤマハ専用アプリをインストールすれば、メールや電話の着信、燃費管理やメンテ時期をお知らせしてくれるコネクト機能つき。


イグニッション下には軽い荷物をかけられるフックがつき、右パネルにはシガーソケット付きの小物入れを装備。


フロアはセンター部の盛り上がりのないフラット形状。前後長がやや窮屈だったのが残念。

 

諸元
TRICITY 125
■エンジン種類:水冷4ストローク単気筒SOHC4バルブ■総排気量:124cm3■最高出力:9kW(12PS)/8,000rpm■全長×全幅×全高:1,995×750×1,215mm■車両重量:168kg■車体色:マットライトグリーニッシュグレーメタリック1(写真)他2色■メーカー希望小売価格:495,000円

TRICITY300
■エンジン種類:水冷4ストローク単気筒SOHC4バルブ■総排気量:292cm3■最高出力:21kW(29PS)/7,250rpm■全長×全幅×全高:2,250×815×1,470mm■車両重量:237kg■車体色:ダークグレーイッシュブルーソリッドB(写真)他2色■メーカー希望小売価格:1,045,000円

 

制作・協力

■試乗・文:中村浩史 

■撮影:島村栄二 

■協力:YAMAHA

 

 

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