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【YAMAHA XSR900】ノンカウルレーサーレプリカでヘリテージ第2章突入

  • 中古バイクカタログ
  • 2023.04.26

今回は「YAMAHA XSR900」を紹介します!

そもそも「ヤマハのヘリテージとは何なのか」と、自問。革新が市販車に還元された熱狂の80年代のレーシングシーン。以降のスポーツバイクの在り方さえ決定づけた、当時のエンジニアたちの情熱、それを形にしていくことがヘリテージの伝承となる、と帰結。それがXSR900の根源。

 

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  • 特徴・デザイン

 ヤマハがX S Rシリーズに与えたキャッチフレーズは「ヘリテージ・スポーツ」。ヘリテージとは遺産とか伝統、代々受け継がれていくもの、の意味がある。つまりXSRは、ヤマハの過去の名車のエッセンスを持つスポーツバイクだ。

 2016年に登場したXSR900は、ヤマハの名車XSの「R」バージョンなのか、「X」つきのSRなのか、そんな妄想を掻き立てさせるスタイリングのネイキッドバイクだった。

 

 昨年、そのXSR900がフルモデルチェンジ。丸目ヘッドライトのネイキッドモデルなのは変わらないけれど、メインフレームのヘッドパイプ部が雄々しくなって、後端の盛り上がったフューエルタンクを採用。まるでフルカウルモデルからカウルを取り払ったような、ヤマハTZR125、スズキWOLF50/250やCOBRA、ホンダX11のような雰囲気を感じさせるスタイリングとなって登場した。

 考えてみれば、これもヘリテージだ。レーサーレプリカ期と言われた1980年代中盤以降、ヤマハが名車TZR250やFZR250/400/750を生み出した頃のヘリテージ。そう考えれば、ヘリテージが第2章に入ったということなのかもしれない。ボディカラー2種類のウチのひとつ、ブルーメタリックはかつて80年代に活躍したフランスソノートヤマハのカラーをイメージしたものだ。これは、次にカウル付きのXSR900が登場するかもしれないね。

 

 ニューXSR900は、スタイリングの変更だけでなく、エンジン、車体まわりも刷新している。エンジンは845ccから888ccに排気量アップし、フレームも一新。バイクが今どんな状態にいるのかをリアルタイムでセンサリングする6 軸IMU(慣性計測装置)も搭載し、電子制御技術も充実させている。

 

  • 試乗インプレッション

 走り始めるとまず、エンジンの力強さに驚かされる。もちろん、排気量拡大によるトルクアップはあるんだけれど、低回転から高回転まで、パワーがすごく滑らかに、スムーズに感じられるようになった。先代モデルは、力強いのはもちろんだけれど、その力の出方に荒々しい面があったから、すごく洗練された印象になった。

 さらに新型モデルで扱いやすく感じたのは、シフトアップ&ダウン両方向に有効なクイックシフトが採用されたこと。操作の精度がよくカチカチとシフトワークが決まるため、街中でもワインディングでも、イージーに気持ちよく走ることができる。さらに4速50km/hから使えるクルーズコントロールの採用は、XSRのツーリングバイクとしての能力を最大限に引き出してくれ、ここが新型XSRの電子制御技術アップデートの恩恵と言えるだろう。

 

 フレーム構成の変更は、メーカー発表では縦・横・ねじり剛性を最適化したもので、特に横剛性を50%アップ。その車体の変更はハッキリと体感できるもので、いたずらに高荷重設定(=動きやストローク感が硬いこと)になったわけではなく、ステアリングヘッドを中心にしっかり感があって、サスペンションがよく動き、直進安定性がしっかりと、そこからバイクを左右に振る動きも軽く感じられるようになった。

 街乗りでは安定性に包まれながらも軽快感がしっかりあって、そして高速道路では安定性が前面に、そしてワインディングでは軽快感が前面に出てくるキャラクターのハンドリング。低速でも高速でも思い通りにコントロールしやすい̶走っているとついつい忘れがちだけれど、これは120PSを発揮する900ccのビッグバイクなのだ! この扱いやすさの一端を担っているのが電子制御のテクノロジーだろう。

 

 今回の試乗は、都内の渋滞路を抜け、高速道路を走り、ワイデンィングへ。都内ではアイドリングすぐ上の2000rpmあたりから使えるパワーがあって、高速道路では6速3900rpmで100km/h。ここでクルーズコントロールをセットして、上下ボタンで2km/hずつ速度設定すると、この上なく快適なロングライドをすることができる。ノンカウルのモデルではあっても、法定速度内では走行風の影響などほとんど感じないものだ。

 ワインディングでは、スロットル操作でコーナーを連続してクリアする走りが楽しい。トルクのあるエンジン特性で、ギアを選ばずにリズミカルに走ることが可能で、シフトアップ&ダウンもクイックシフターのおかげで気持ちがいい! 高回転で攻めても、低回転で流しても走りを楽しむことができるのだ。

 

 ちなみに、今回新たに投入された電子制御メニューとして、アンチウィリー(リフトコントロールシステム)やスライドコントロール、コーナリングA B Sや車体姿勢感知のトラクションコントロールがあるけれど、これはもう転ばぬ先のスーパーな杖なだけで、XSRはそういった走りが日常なモデルではない。思い切り意識して操作して、やっとアンチウィリーやトラクションコントロールを感じた程度だった。これはもう、ヤマハのトップスーパースポーツYZF-R1と同等の電子制御システムを持っているストリートバイクなのだ。

 街乗りでも、ツーリングでもスポーツランでも、スキのない仕上がりとなっているXSR。丸目ライト、ノンカウルモデルという、バイクらしいスタンダードなフォルムだけれど、その走りは超最新モデル。ヤマハが考えるヘリテージスポーツが、どんどん魅力的になってきた!

 

  • 車両詳細

●XSR900主要諸元

■エンジン種類:水冷4ストローク直列3気筒DOHC4バルブ■総排気量:8 8 8 c m 3 ■ 内径×行程:78.0×62.0mm■最高出力:88kW(120PS)/10,000rpm■最大トルク:93N・m(9.5kgf・m)/7,000rpm■変速機:6段リターン■全長×全幅×全高:2,155×790×1,155mm■軸間距離:1,495mm■最低地上高:140mm■シート高:810mm■車両重量:1 9 3 k g ■ 燃料タンク容量:1 4 L ■タイヤ( 前・後):120/70ZR17 58W・180/55ZR1773W■ブレーキ(前・後):油圧式Wディスク(ABS)・油圧式ディスク(ABS)■車体色:黒/青■メーカー希望小売価格(消費税10%込み):1,210,000円

 

アルミダイキャストフレームは従来比30%軽量化、約80%の部品点数削減と、約30%のコストダウンができるという。ホイールは鋳造ホイールでありながら鍛造ホイールに匹敵する強度と靱性を実現した「SPINFORGED WHEEL」を装着。

 

ライダーの身長は178cm。カフェレーサーのシートカウル付きシングルシートにも見えるダブルシート。前後の段差があり、尻のおさまりが良かった。

 

845ccから888ccに排気量アップ、116PSから120PSにパワーアップしたMTファミ

リーの第二世代エンジン。パワーモードが4段階にセットできる他、数々の電子制御

機構を搭載。

 

倒立フォークにブラックリムの丸目LEDヘッドライトの組み合わせ。ヘッドライトは、バンク時の配光特性も考えられている。

 

ギアポジション表示つきの3.5インチフルカラーTFTメーター。バーグラフ式タコメーターは、回転数に応じて色が変化する。

 

φ298mmローターに4ピストンキャリパーをラジアルマウントするブレーキ周り。ブレンボ製ラジアルマスターシリンダーを採用する。

 

リンクを介して車体にレイダウンマウントされるリアサスペンション。プリロードを7段階、伸び側減衰力を無段階に調整可能。

 

従来よりも55mmロングのスイングアーム。直進安定性はもちろん、リアサスの動きの良さと、トラクションのかかり良さを狙う。

 

前半分はエアボックススペースとしたフューエルタンク、上部はフラット。容量は14Lで、今回の試乗では最高24km/Lまで伸びた。

 

ヘルメットホルダーは左サイドカバー下に。シート下には小物入れ的スペースはないがETC車載器のスペースは確保されている。

 

タンデムステップはステー一体式のキャスティング部品で、ステーごとシート裏に収納でき、収納時はフレームと一体化して見える。

 

制作・協力

■試乗・文:中村浩史 ■撮影:折原弘之 ■協力:ヤマハ

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