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すべてが一般道チューニング。 ZX-6Rはカワサキ流、公道のスーパースポーツだ。

  • 中古バイクカタログ
  • 2023.01.27

今回は、カワサキのZX-6Rをご紹介します!

スポーツライディングを強く意識し、サーキットでの走行性能、レースでの性能までも視野に入れたバイクなのに、乗ってみると、市街地はもちろん休日のツーリングへの適性もしっかり持つ裾野の広さ。つまりアクセルの開け方次第で大人しくも、大胆にもなる多面性。それは4気筒エンジン搭載のZX-6Rの魅力だ。速いのに優しい。そんなZX-6Rを走らせてみた。

 

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  • ZX-6Rの特徴

「レーサーレプリカ」とか「スーパースポーツ」と呼ばれるモデルで、4気筒エンジン搭載の600㏄近辺のモデルを探すと、国内ではCBR600RR、そしてZX-6Rの2台が筆頭になる。スポーツバイクやネイキッドまで拡げても、CBR650R、CB650Rが加わるのみだ。絶対性能は高いものの、生産コストが売価に跳ね返り「2気筒で充分」というユーザーが増えた今、4気筒はその数を減らしているのが現状だ。しかし、このバイクに乗って、やっぱり4気筒は多彩だ、と思ったのだ。

 

 中でもZX-6Rは独自の路線をゆく。CBR600RRが正真正銘、レースカテゴリーに倣った排気量であるのに対し、ZX-6Rは以前から636㏄とわずかに600㏄を越えるエンジンを搭載する。その特性を、サーキットという限られた場面だけでの性能ではなく、市街地、郊外の道、峠道等々、一般道の速度に合わせた使い勝手に大きく振り分け、エンジン特性や車体特性を与えたことで、ぐっと日常性を高めたバイクだったのだ。

 

 この特性を生み出すエンジンは、93kWの最高出力と、70N.mの最大トルクを持つ。これはCBR600RRの89kW、64N.mに対して、排気量分一枚上手。何より、3000rpm程度でどんな場面でも一般道なら充分な加速をしてくれるフレキシビリティさが魅力。

 

 ライディングポジションは、ハンドルバーはハードなコーナリングやサーキットのストレートを全開で走ることも想定し、低くセットされているが、ステップの位置は市街地でも苦にならない程度の位置にあり、速度を上げ風圧を受けずとも許容できる前傾姿勢に収めているのも嬉しい。つまり疲れ難い印象だ。

 

  • 試乗インプレッション

 都内から片道100㎞程度の場所まで移動をしても峠道を楽しむための元気はもちろん残っていた。ワインディングでは持ち前のハンドリング性能を徹底的に楽しむことができる。だからといって、サーキットばりに速度を上げ、減速や旋回、そして加速と高い荷重をバイクに与えなくても楽しめる。これは、旋回性能だけに特化せず、ほど良い手応えをライダーに伝える曲がり方をする車体により、一般道で多い90度以下のカーブからヘアピンカーブで多用する30km/h以下から60km/h程度までの速度域で、持ち前のスポーティーかつ手応えのある走りで、乗り手に満足感を与えてくれるからだ。これは大きなポイントで、スポーティーさという部分をレーシング速度に近いところに集約すると、一般道では物足りなさが走るストレスになることがあるが、それがないのだ。

 

 サスペンションは上質に路面を捉えアスファルトのギャップを吸収しながら走ってゆく。また、ブレーキはコントロール性の良さで安心感ある操作性をライダーに提供してくれるから、自身を持って走ることが出来た。

 

 この足周りは、セットアップでもっとハードな走行にも振れるので、キャラ編はもちろん可能だ。同時に、フルとローを選択できるエンジンマップも一般道や雨、市街地などの場面によって変更すれば、さらにマッチングを摂ることもできる。1000㏄クラスのように有り余るパワーを使えないストレスが多くないのもこのクラスの隠れた魅力だ。

 

 結論を言えば、ZX-6Rは、性能を高いところまで追求しながらも、4気筒エンジンならではのスムーズなエンジン特性で、幅広いライダー層が扱いやすさを享受できる。ハンドリングも同様、走っていれば楽しいと思えるほど一般道を得意とする。同時に、高性能バイクらしく、シフトタッチやブレーキタッチ、サスペンションのスムーズさの奥にあるしっかり感など、全体に「良い物」感に溢れた一台なのです。

 

  • 車両詳細

636㏄の水冷直列4気筒エンジン。ケースから素早く取り外せるカセット式のトランスミッションを備えるなど、レーシングシーンを強く意識したユニット。比較的ショートなファイナルレシオを持つことで市街地での扱いやすさも素晴らしい。また、アシストスリッパークラッチの採用でレバーの操作力も重たくない。

 

φ310mm径のディスクプレートとラジアルマウントされた対向4ピストンキャリパー。フロントフォークは、ショーワ製のφ41mm径のインナーチューブを持つ倒立フォークを採用。左右でスプリング、ダンパーと機能を分けたSFF-BP(セパレート・ファンクションフロントフォーク・ビッグピストン)を採用する。

 

φ220mm径のディスクプレートを採用するリアブレーキ。リアサスはストリート用にチューニングされたユニットを使う。リアスイングアームはアルミ製。

 

アナログのタコメーターと液晶モニターの組合せ。エンジン特性を変更できるパワーモードセレクターも備える。フルパワーと最大出力を65%に抑えたローパワーモードの2つ。どちらも乗りやすい設定。シフトインジケーターも備える

 

LED製ヘッドライトを採用。そのフェイスは、カワサキNinjaシリーズ一連のもの。

 

ブレーキ側はステップと同軸のピボットを持つペダルにより操作感、作動感がより掴みやすい設定。シフトにはアップシフトに対応するクイックシフターを備える。

 

ETC2.0を標準装備。ツーリングライダーには欠かせない装備。昨今、都内の首都高などETC専用入り口化が加速し、ETCナシではもはやツーリングの出鼻をくじかれることになる。

 

制作・協力

■試乗・文:松井 勉 ■撮影:富樫秀明 ■協力:カワサキモータースジャパン

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