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【遠藤イヅルの名車カタログ】第109回 カワサキ・250A1
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- 2020.10.11
毎週お届けするイラストレーター遠藤イヅル氏による名車・珍車を紹介するコーナーです。 今週の名車は、アメリカで大ヒットを記録した「カワサキ・250A1」のご紹介です。
■カワサキ・250A1 ■エンジン:空冷2スト・ロータリーディスクバルブ並列2気筒
■最大出力:30 ps/8,000 rpm ■最大トルク : 2.8 kg-m/7,500 rpm
いにしえのカワサキといえば、マッハやZが思い浮かぶが、
それらが登場していない1960年代のバイクにも、
その後のカワサキを決定づけた名車がある。
それが650ccの「W1」と、250ccの「A1」である。
1960年代初期のカワサキはまだ小さなメーカーで、
販売台数は伸びず、シェアも1桁%という状況だった。
そんな中、1963年に発売した「125B8」を
モトクロスレース用に改造した「B8M」は
1963年開催の第1回モトクロス大会で
なんと1位から6位を独占するなど、高いポテンシャルを見せた。
B8は大成功作となり、カワサキは次の目標として
対米輸出を考えるようになった。
しかし国産メーカーとしては北米市場へのチャレンジが最後発となること、
カワサキというメーカーが無名だったことから、
何かしらの「武器」を用意して臨むことにした。
その頃カワサキは、オンロードレースにも力を入れ始め、
1965年の日本グランプリから「KACスペシャル」で参戦を開始。
製品にもそのスポーツイメージを大きく取り込むことになった。
その流れを受けて1966年に登場したのが250A1(北米名“サムライ”)で、
事実上KACスペシャルの公道版といえるスペックを備えていた。
空冷2スト・ロータリーディスクバルブの並列2気筒250ccエンジンは
ツインキャブを備え、ライバルたちを圧倒する31psを発生。
ゼロヨンはクラス最速の15.1秒、最高速度165km/hという性能を誇った。
その高性能からアメリカで大ヒットを記録した250A1には、
早速バリエーションを展開。
1967年にはスクランブラータイプの「250A1 SS」を、
同年にはレーサーの「A1R」を追加したほか、
排気量を350ccとした「350A7」もデビューした。
250A1自体も幾度かの変更・改良を行い、
名称を「A1スペシャル」「A1S」と変えながら
1971年まで生産を継続。
カワサキ=クラス最速・最強という強烈な印象を焼き付けた。
後継は、かの250SSマッハI。
つまりマッハの成功は、
250A1というバイクなしでは語れないのである。