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【遠藤イヅルの珍車カタログ】第112回 NSU・ケッテンクラート
- おすすめコラム
- 2020.12.06
毎週お届けするイラストレーター遠藤イヅル氏による名車・珍車を紹介するコーナーです。今週の珍車は、第二次世界大戦期にドイツで開発された半装軌車「NSU・ケッテンクラート」のご紹介です。
■NSU・ケッテンクラート ■エンジン:水冷直列4気筒・3ベアリング OHV
■最大出力:36ps
機動力が高いバイクが軍用として採用された歴史は古く、
1910年代の第一次世界大戦で、すでに
かの名門トライアンフも大量に投入されていたほどです。
続く第二次世界大戦では、ハーレー・BMWなどが名を馳せました。
とくにBMWではサイドカーの活躍が知られています。
同じドイツで第二次世界大戦のバイク……といえば、
今回取り上げた
「ケッテンクラート」を思い出す人が多いかもしれません。
「テッケン(Ketten)」とはいわゆる履帯のことで、
「クラート(Krad)」は兵器でのバイクを指す言葉でした。
ケッテンクラートは、まさにその名の通り
「バイク+戦車」というハイブリッドな乗り物で、
そもそもはパラシュートで降下後、兵器などを牽引するために開発されました。
戦場では車輪の車両による走破が困難なことも多く、
ケッテンクラートの履帯は絶大な威力を発揮しました。
バイクなのに全長3m・車重は1.2t以上もあるため、
エンジンはオペルの乗用車用1.5ℓ直4・OHVを搭載。
アクセルはバイクと同じくステアリングの右グリップ、
前進3段・後退1段に副変速機を備えていたトランスミッションの
変速操作は、クルマのように左足でクラッチを踏んで行いました。
生産台数は多く、
NSUでの約8000台のほか、
戦後に民生用に作られた車両を含むと1万台近くに達しました。
日本にも残存している個体があります。