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【遠藤イヅルの名車カタログ】第112回 ホンダ・VTR1000F

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  • 2020.11.29

毎週お届けするイラストレーター遠藤イヅル氏による名車・珍車を紹介するコーナーです。 今週の名車は、ホンダ初の大型Vツインエンジンを搭載したスポーツバイク「ホンダ・VTR1000F」のご紹介です。

■ホンダ・VTR1000F ■エンジン:4ストローク水冷DOHC4バルブV型2気筒

■最大出力:110 ps/9,000 rpm ■最大トルク : 9.9 kg-m/7,000 rpm


ホンダのVツインバイクといえば、1982年の「VT250F」が連想されるが、

ドゥカティなどのような「Vツインを積んだ大型スーパースポーツバイク」の

イメージは薄かった。


そのため、ホンダも開発に躊躇していたが、

ドイツにあった、ホンダのヨーロッパ研究所は

アメリカンバイク「VT1100」のVツインエンジンを

積んだスーパースポーツモデルを提案し、

さらに北米ホンダは、ブロスのフレームにアフリカツイン750の

Vツインエンジンを載せたバイクを実際に試作、

さらに日本に送って「こんなバイクを作って欲しい」と要望した。


そこでホンダはリッタークラスの

Vツインスーパースポーツの開発に着手するも、

日本・欧州・北米市場ごとのバイク像が大きく異なることから、

3エリアの開発部門によるコンペ方式を行い。

そこで出たアイデアをミックスすることとした。

そして1997年、「VTR1000F Firestorm」としていよいよ発売が開始された。

ちなみにアメリカでは「SUPERHAWK996」という名前だった。


新開発の水冷90度Vツイン998ccエンジンのサイドには、

「NR500」のようなサイドラジエターが設けられ、

スイングアームのピボットをフレームではなくエンジンに置いた

「ピボットレスフレーム」を採用するなど、意欲的な設計を採用。

カウルもエンジンやフレームを「魅せる」デザインとしたことも特徴だった。


2001年のマイナーチェンジでは、

16ℓしかなかったガソリンタンク容量を18ℓに増強、

ハンドル角度・メーターデザインの変更、盗難防止システムの搭載など

細やかな改良が行われた。


しかし日本車のVツインリッターバイクは、

同ジャンルの「スズキ・TL1000S」と並んでメジャーにはなり得ず、

VTR1000Fも2007年に生産を終えることとった。


なお、同じ「VTR」でも、スーパーバイク世界選手権用の

ホモロゲーションマシンとして開発された「VTR1000SP」

とはエンジン以外まったく別のモデルなので、注意が必要だ。



制作・協力

(イラスト・文)遠藤イヅル

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