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1万キロ乗ってみた20年前のXJR
- おすすめコラム
- 2024.02.05
【KAZU中西の鋼騎馬ラプソディ】vol.174。愛車XJR1300でのツーリングやメンテナンスの様子をレポートいただきました!
昨年5月に受領した03年式XJR1300。年式は古くとも走行距離は1万7000kmだったので、走りの元気っぷりは20年の時を感じさせないほどです。とは言え、メンテナンスを怠れば、デカい代償を払うことになるタイミングでもあります。愛車を長持ちさせるか否かは、やはりオイル交換に尽きる。そんな風に思うバイク歴41年目の新春です。
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元日から走り出したけれど、まさかあんなことになるなんて
2023年12月31日、大晦日まで伊伝バイクコーティング事業部の仕事がありました。ラストのCeramicPro9H施工を完了させ、完全に燃え尽きました。でも、翌日から新年が始まるのだなぁと思うと、心機一転頑張ろう!という気分にもなります。明けて2024年元日。清々しい晴れの朝を迎えました。これは富士山がさぞかしキレイに見えるだろうと、身支度を済ませてXJR1300に火を入れました。暖機運転もそこそこに発進、達磨山レストハウから西浦を回って修善寺に戻ってくるルートです。凍結防止剤の散布はありましたが、ゆっくりペースなので問題なし。XJR1300はご機嫌よく軽やかに走ります。真城峠を越えて海沿いへ出ると、海の向こうに威風堂々とした富士山。これこそ新春にふさわしいワンシーンだなと思います。西浦へ少し進んだところで、バイクを止めて何かをしている外国人を発見。トラブっているのかな?と心配になり声をかけてみると、元伊豆在住で現在は静岡県西部に住むバイク乗りでした。少しおしゃべりしてコーヒーを淹れてもらう。何ともhappyなひと時です。それからもXJR1300はいたって軽やかに走り、15時少し前に修善寺着。SNSに写真をUPしてホッと一息ついた瞬間、長い周期で大きく横揺れする地震が!すぐさまテレビをつけて絶句、ライハを営む知人、金沢に住む友人、そして富山や新潟のバイク仲間…。今は皆の無事を祈るしかない。とんでもない年明けとなってしまいました。
令和6年能登半島地震により亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。被災された皆様へお見舞い申し上げます。
リアボックス付きのアフリカツインで佇んでいた外国人。僕はアメリカ1周武者修行の経験から、このような場面では積極的に声を掛けます。初めはモチロン英語、しかし直ぐに日本語がペラペラだと判りました。彼の名はダリルさんで、かつては戸田に住んでいたこともある英語教師。今はBMWのGSからアフリカツインに乗り換えて、ワインディングツーリングが趣味とのこと。そこからお喋りが盛り上がって、ドリップコーヒーまでご馳走になりました。ダリルさんいわく、「アフリカツインはワインディングが楽しい。日本車は丈夫でメンテナンス費用も安く済み、とても気に入っている」とのことでした。また会った時には、僕がコーヒーをご馳走しなきゃね!
ダリルさんより「20年前のバイクなのに静かでキレイ」とお褒めいただいた03年式XJR1300。年式のわりに走行距離は少な目なので、比較的に調子は良いと思いますが、何もかもが「20年前仕様」で良いかと言えばそうでもない。最近はLEDバルブが高性能化&安価になってきているので、Z2やVMAXと同じくXJR1300にもスフィアライトのLEDヘッドライトバルブを投入することにしました。購入&交換作業は、沼津のワイズモーターサイクルさんにて。作業時間は僅か数分でこの違い。トンネル内での見通しが明るくなったのは当然ですが、被視認性が高まったことで安全性も向上です。
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ヤングさん急襲!なるも、ともに平和を願う
某日、写真データの整理をしていたら、「天気が良いので伊豆へ行きます」と、ヤングさんより入電。ヤングさんとは、シンガーソングライターの福山竜一さん。僕のラジオ番組=カズ兄さんのモーターレボリューションの月イチレギュラー出演者でもあります。昭和42年式のカズ兄としては、先輩に逆らえない時代(?)を生き抜いた経験から、仕事そっちのけで迎撃…いやいや、オモテナシせねばなりません。土肥の中浜交差点近くにある八百康ティールームで合流、本日の目的を聞いてみると「土肥金山へ行ってお参り、土肥桜の開花具合も確認したい」とのこと。土肥桜は1月に満開となる日本一早咲きの桜で、見ごろとなる1月下旬には土肥桜祭りも開催されます。自称桜爺のヤングさんとしては、外せないイベントですね。土肥金山では、坑道内の山神社にて、能登半島地震で被災された皆様ができるだけ早く復興できますように!世界各地で起こっている紛争が無くなりますようにと、心の底からお願いしてきました。
ヤングさんが小田原から連絡をくれた時刻から、八百康ティールーム到着時刻を推測。一般的なルートではパイセンをお待たせしてしまうかも~と考え、久々に西伊豆スカイラインルートで土肥へ向かいます。凍結防止剤の散布により、路面状況はあまり良くなかったけれど、凛とした富士山のお姿を拝めましたのでオールOK!
普段はいたずら小僧のごとく、ふざけてばっかりのヤングさんですが、今回はいたって真面目。山神社は、特に金運と仕事運が良くなる神社ですが、どちらも復興には欠かせない運気だと思いますので、僕もしっかりお参りしてきました。
冬の伊豆半島西海岸は、午後から強風になりがちですが、当日もやっぱりヘビーウインド。気温も低下して、峠越えは危険かもよ?という提案をさせてもらい、井田経由の帰路についていただきました。
西浦へ差し掛かる手前で「景色がキレイ!」ってことで小休止。そこは偶然にも、元日にダリルさんとお喋りした富士山ビューポイントでした。何となく運命感じるなぁと浸っている僕をよそに、富士山がキレイ!と大はしゃぎのヤングさん。撮ってもらった1カットでは、予想通り富士山が見切れてました。そんな陽気で元気なヤングさんのパワーが、富士山を越えて能登へ届くと良いな。
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諸説ありますが、やはり古い空冷エンジンには鉱物油かな
昨年5月の購入時で1万7000km、土肥金山の山神社参りを終えて2万7000km。自前のメンテナンスチェックシートで確認すると、前回のオイル交換から7000kmも走っちゃってました。これはヤバイ!けっしてケチっていたわけではなく、Z2とVMAX、4輪ではインプレッサに乗っているので、ここまで走っているとは思ってもみなかったというのが正直なところです。これまでの経験上、特にXJR1300については、この03年式が5台目になりますから、早急なオイル交換が必要なタイミングだと分かります。
交換に使用するエンジンオイルは高品位の鉱物油。よくフルシンセティックが良い!とか、いやいや鉱物油でしょ!と、明確な答えの出ないエンジンオイル話ですが、僕は年式や用途、エンジンタイプと冷却方式によって使い分けています。例えば、レースで使うとなれば、入手できる範囲でもっとも高品位とされている100%化学合成油を選びます。その理由は、短時間(短距離)でパワーを引き出したいから。500km程度しか走らせないのが分っている時もフルシンセティックを使います。
その一方で、比較的に年式の新しい複数気筒エンジン、冷却方式を問わず年式の古いバイク、特に古い空冷4気筒では、高品位な鉱物油を使います。これは瞬間的なパワーよりも、長時間に及ぶエンジン内部パーツの保護性を重視しているからです。これまで様々なバイクで試し、リアルタイムで油圧も計測してきましたが、性能低下までの時間が長く、低下率も少ないのは高品位な鉱物油でした。また、シビアコンディション&過走行でも、ガスケット類にダメージが少なく、オイル滲みも起こりにくいのが高品位な鉱物油。逆に言えば、過走行による性能低下が少なく油圧の落ち込みも緩やかで、オイル滲みも発生させないフルシンセティックに40年来出会ったことが無い。“イイ線”いってたのは、7台乗り継いだGPZ900R、水冷のGPZ1100、3台のZZR1100に投入していたイゴール・シンボリックRRくらい。
数値の計測だけでなく、実際にエンジンを開けて中身を確認しての話ですから、今のところ古い空冷エンジンには高品位な鉱物油が良いと僕は確信しています。では、いわゆる半合成、部分合成オイルは?となりますが、考え方としては鉱物油寄りなのか、フルシンセティック寄りなのかで使い分けます。部分合成油は、通年または複数年で性能が安定していると思います。言い換えれば、同一製品なら、いつどこで買っても性能に大きな変化なし。なので、自宅でメンテナンスする暇もない時代は、出先でも入手しやすい部分合成油を使っていました。
とは言え、人によって乗り方も違えば使い方も違うわけで、これがベストチョイス!といえるエンジンオイルは、自分自身で見つけ出すしかないです。そのためには、何台も乗り継ぐ必要があり、現実的には難しい話です。また、レースでもツーリングでも、街乗りでも、全域で高性能を長時間引き出し、超ロングライフなエンジンオイルは無いと言えます。これはオイル構成に用いられる添加剤に拠るところが大きく、こちらを立てればあちらが立たず…というあんばいで、全方位に対してバランスよく高性能だと言えるのは、車両メーカー純正オイルになるのかな?と思います。MB規格の話になりますが、ヤマルーブは実に高性能で、レースで使っていたXJR400では、その性能をいかんなく発揮してくれました。いずれにしても、エンジンオイルは性能に大きく影響するので、僕のようにうっかり交換を忘れてた!なぁ~んて事が無いようにしていただきたいと思います。
僕が実践しているオイル交換作業のポイントを紹介します。先ずは交換前のオイルレベル=油量を確認。点検窓のレベル、取扱説明書に記載されている量、抜き取ったオイルの量を見比べます。もし、それらの量があまりにも大きく違う時は、バイクショップに相談するのが良いでしょう。
僕は複数台持ちなので、使うオイルはペール缶で購入します。オメガG-1はフルミネラル=鉱物油で、RX-8のロータリーエンジンにも使っていました。結果、好調を維持していたので、鉱物油ならバイクにもクルマにも使えるオメガG-1を選ぶという流れです。必要オイル量を入れると、点検窓はすっかり埋まってしまいますが、その量が適正か否かはエンジンをかけてから確認します。
アイドリングから、高くても1500回転くらいを維持するようにエンジンを稼働させます。時間にして1~2分ほど。エンジンを止めて1~2分くらい待つと、循環しているオイルが戻ってきて、点検窓でレベルを確認できるようになります。
僕は前後タイヤが接地した状態で、直立を保ちつつオイルレベルを確認します。ハッキリ言って、何度やっても不安感満点の作業ですが、車体の直立は膝で支えて維持し、前後に動かないようフロントブレーキをかけるようにしてからは、不安感が減ったように思います。オイルレベルは、アッパーとロアーレベルの間におさまっていればOK!入れ過ぎはオーバーヒートの元になるし、少な過ぎはクラッチにダメージを与えてしまうので、僕は真ん中より少し高めを狙います。廃油は最寄りのガソリンスダンドへ持ち込み、処理してもらいます。結果、リサイクルにも貢献できますからね。
■ライター:KAZU中西
フリーランスのモータージャーナリスト。通称カズ兄さん。イベントMCやラジオDJ(FMIS・カズ兄さんのモーターレボリューション)などタレント業でも活躍。
観察分析力に定評があり、開発に携わったバイク用品やカスタムパーツも多数。
一方では、二輪車の事故防止&安全利用の最前線に立つ『Mr.事故ゼロ』とも呼ばれている。愛車はスペシャルメイドのZ2他。趣味はプレジャーボートのクルージング