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【遠藤イヅルの珍車カタログ】第18回 ヤマハ・SC1(1960)
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- 2016.12.30
イラストレーター遠藤イヅル氏による名車・珍車を紹介するコーナーです。 今週の珍車は1960年発売の大型スクーター「ヤマハ・SC1」のご紹介です。
■ヤマハ・SC1(1960) 空冷2サイクル単気筒175cc
■最高出力:10.3ps/5500rpm ■最大トルク:1.53kg・m/3600rpm
1950年代はまだ、クルマは手が届くものではない時代でした。
そのため、2輪車、とりわけ機動力が高い大型スクーターは、
手軽な輸送手段・移動手段として定着し、
2輪車市場の一角を担うほどのスクーターブームを形成していました。
富士重工のラビット、新三菱重工のシルバーピジョンが
その市場を席巻していましたが、
ホンダやヤマハも指をくわえて見ている訳もいかず、
ホンダは1954年に「ジュノオ」を、
そしてヤマハは1960年に「SC1」を発売しました。
ヤマハSC1は美しいデザインを持つモノコックボディを持ち、
当時ではまだ装着が少なかったセルスターターを採用して始動を容易とし、
175cc空冷単気筒2ストエンジンに組み合わせられたトランスミッションは
トルクコンバーターとしてイージードライブを実現。
シャフトドライブ、片持ちサスなどの斬新な機構も備えていました。
スクーターブームでは後発であったことを差し引いても、
独創的で画期的なアイデアに満ちたモデルだったのです。
ですが時既に遅し。
スクーターブーム自体が1960年代に急速に普及した軽自動車によって
下火になっていったこともあって、SC1の販売は苦戦。
SC1と同年に発売した意欲作だった50ccモペット「MF1」ともども
市場からひっそりと消えて行ってしまったのは残念でなりません。