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【遠藤イヅルの名車カタログ】第19回 スズキ・ウルフ T125(1969)
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- 2017.01.09
イラストレーター遠藤イヅル氏による名車・珍車を紹介するコーナーです。今週の名車は、「スズキ・ウルフT125」のご紹介です。
■スズキ・ウルフ T125(1969)
1960年代のスポーツモデル、ヤマハYDS3、ホンダCB72に対抗すべく、
スズキが1965年に発表したT20は、スズキの名を世界に知らしめるに
充分な性能を持っていた。
その発展版にあたるT200には、T125という小排気量仕様があった。
その後継車として1969年に発売されたのが、「ウルフT90/T125」である。
1970年代を予感される新しいデザインと設計だったウルフT90/T125は、
当時としては画期的なモデルだった。
ウルフT90/T125はトリフォームと呼ばれた
斬新な設計のパイプフレームを持っていた。
それに吊られるように配置されたエンジンは
シリンダーを水平近くまで寝かせており、
T125では124cc単気筒2ストに
ダウンドラフトのツインキャブレターを組み合わせて15psを発生。
オンロード車でありながら2本のエキゾーストパイプは
左右の高い位置に取り回され、
しかも後部には黒いテールパイプが伸びていた。
また、それまでメーターを組み込んでいたヘッドライトからはメーターが分離され、
明るいカラーリングが施された細長くて薄いタンクは、
まるでシートと一体になっているようだった。
車名の由来にもなった「ウルフ」は「ハングリー・ウルフ」をイメージしていたが、
T90/T125のスタイルは、まさにそれを体現していたのだった。
乗り手を選ぶ特性を持っていたウルフT90/T125は、
名車にふさわしいモデルになりうるだけの強烈な個性が光る。
生産期間は3年程度と短かったのも、
逆に伝説を形作る要素になっているのかもしれない。
なお、車名である「ウルフ」は、
その後スズキの2ストバイクに伝統的に使用されることになり、
1982年にはT90/T125とまったく違う方向性の
レジャーバイク、「RT50」がウルフの名を継ぎ、
さらに1988年、RG250Γ(ガンマ)のネイキッド版として登場したモデルが
ウルフ(TV250)を名乗った。
(このほかにもウルフ50、ウルフ125、ウルフ200などが存在している)