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オートカラーアウォード2021 ノミネートバイク レポート!

  • おすすめコラム
  • 2022.02.15

「オートカラーアウォード2021」にノミネートされたバイクを紹介します!

「オートカラーアウォード」は、年に一度、モビリティのカラーデザインの企画力や形との調和を含む、内外装すべてのカラーデザインの美しさを評価する顕彰制度です。

 

2020年は新型コロナウイルス感染予防から通常の審査会は中止になり、特別セミナーのみの開催となりましたが、2021年はオンラインで開催されました。

 

今回は初めての試みであるライブ配信となり、カラーデザイナーによる各ノミネートのプレゼンテーション、グランプリ発表、受賞者インタビュー、審査員総評が行われました。

 

ノミネート車一覧

www.jafca.org/seminarandevent/aca-nominate2021.html

 

毎回、各社デザイナーのカラーデザインに込めた熱い想いが直接聞ける貴重なイベントです。バイクメーカーのノミネート車両を紹介します!(発表順)

 

(以下の「CMFG」は、C=カラー、M=マテリアル、F=フィニッシュ、G=グラフィック。)

 

 

【目次】

1.カワサキ Ninja400 Z250

2.スズキ Hayabusa / ホンダ GB350S

3.ヤマハ TMAX560 / Tricity300 / Tracer9 GT

 

 

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  • カワサキ Ninja400 Z250

カワサキ Ninja400 Z250

パールナイトシェードティール × メタリックスパークブラック

 

テーマ / Vivid MOTO Life with Colors. 色でバイクライフのモチベーションを

 

カワサキは常にチャレンジを大事にモーターサイクルを世に出し、デザイナーもこのチャレンジ精神を大事にしてデザインをしています。

 

今回のカラーは「パールナイトシェードティール」。

 

モーターサイクルは趣味性の高い乗り物で、まるで服を選ぶかのように好きな色を選択し乗ることができることから、従来にない「色域」へのチャレンジとして新たな提案を模索。

 

これからバイクに乗ろうとしている人がよりバイク選びが楽しくなるように、さらにバイク界の新たな定番色としてのチャレンジとして、趣味性が高く、普遍的でありながらも主張が強いカラーに着目し、かつモーターサイクルの世界であまり馴染みのない色である「ティール系」にたどり着きました。

 

カワサキのモーターサイクルに調和し、様々なカテゴリーのバイクに対応する色調を目指して、選択してくれる人々のために考えられた色として、コンセプトは「暗闇でも色味を感じられるミステリアスでスポーティーなティールカラー」として、力強い存在感を目指しています。

 

カワサキのコーポレートカラーのライムグリーンのような「ソリッド」にこだわりつつ、造形が見えやすくするように僅かにパールを配合して、夜のコンビニ駐車場でも立体感が出る仕上がりになるように検討を重ねて決定。

 

全体で見た時の重厚感を際立たせるため、明度を低めて「ソリッド調」とすることでカワサキのバイクらしく仕上げています。

 

Ninja400は、「力強い存在感と軽快さ」

 

フルカウルのモーターサイクルとしてレースシーンからインスピレーションを受けて、面積を大きくとってフロントからリヤにかけて流れるように色を配色、構成をして演出。

 

Ninja400 購入者の平均年齢ではライムグリーン、ブラックに比べ、ティールが若者の指示が高いことが判明。

エントリーライダーたちが「色」によってこれからのバイクライフを笑顔で送ることを考えると、チャレンジした甲斐があったと、とても嬉しく思っていると語りました。

 

高齢のユーザーが評価する声や、他の車種への展開、ホイールへの使用を希望する要望も寄せられました。

 

Z250は「ファッションを楽しむ」。

 

ネイキッドバイクはファッションとして楽しむライダーが最も多いカテゴリーの為、「アクセントカラー」として使用し、ファッショナブルな組み合わせを意識。

 

同様にフルカウルにアクセントカラーとして使用し、個性的な色でありながらもファッション要素を大事にしたグラフィックのモデルが存在し、様々な造形のオートバイに使用される色にしています。

 

この様に色は個性やライフスタイルを彩る重要な役割を担い、色はバイクライフのモチベーションになり得るため、これからも今までにない色への挑戦をつづけ、色の力でモーターサイクルの新たな価値を生み出し、魅力的なバイクライフを提供し続けたい、と締めくくりました。

 

※ 「ティール系」というのは初めて聞いたので調べたら「鴨の羽色」とあり、「青緑色」を指すようです。

 

  • スズキ Hayabusa / ホンダ GB350S

スズキ Hayabusa

グラススパークルブラック / キャンディバーントゴールド

 

テーマ / 内に秘めたパワーを可視化するCMFG

 

隼(ハヤブサ)は、オーバー300km/hの「夢のバイク」であり、「憧れの象徴」となるバイク。 1999年に初代が、2008年に2代目を発売。2021年にフルモデルチェンジして3代目が登場。

 

開発コンセプトを「Ultimate Sport (究極のスポーツバイク)」として「5つのキーワード(パワー、究極、独創的、憧れ、ブランド)」を掲げ、「隼」だからこそのデザインを追求。

 

デザインコンセプトは「The Refined Beast (凶暴さを制す知性)」。

「あふれ出るパワーとエンジンをかけた瞬間のパッション」を「知性を備えた狂気」のワードでスタイリングをデザイン。

 

フロントとタンク下には鳥の「隼」をイメージする「レリーフ」(浮彫細工)を配置。

 

カラーは「3つの要素 (Legend 伝承、Aerodynamics 空気力学、Electonic controls 電子制御)」を強調する「AIR & POWER」で表現。

 

4ヶ所に入る「アクセントオレンジ(キャンディバーントゴールド)」は「燃焼するエンジンの色」からインスピレーションを得て、ブラックとのコンビネーションによりフロントノーズからサイドのエアーアウトレット、そしてリヤのディフューザー、シートカウルに至る加熱した空気の流れを表現。

 

グラフィックは日本の伝統美を用いて「らしさ」を追求するサイドの「隼」と、リヤの「Hayabusa」ロゴにより、「上質さ + 個性」を表現し「内に秘めたパワー」を可視化しています。

 

カラーバリエーションは3色(ブラック、シルバー、ホワイト)に加え、スズキ2輪車では初の外装色の組み合わせとホイールのカラーが選択できる「15色のカラーオーダープラン」を日本仕様に設定しました。

 

ホンダ GB350S

パールディープマッドグレー

 

テーマ / 抜け感CMFG

 

インド向けの「ハイネス CB350」は、GB350Sとベースを同じくしながら、カタログの表紙は「殿下が到着しました」というイメージで作られた、日本では1,000cc並みのステータスを感じるポジションのバイク。

高級感を重視した仕上げのハイネス CB350は日本で発売を望む声がネットに上がり、大好評。しかし日本での350ccは普段乗りやツーリングで使用するのを想定するクラス。

 

日本市場向けはエントリー層やリターンライダー、さらに女性ライダーという、ありとあらゆる人々に「親しみを持ってもらえる一台」にしたいとして開発をスタート。

 

2つのバリエーション展開では、まずはスタンダードのカラーを決定。スポーツタイプのGB350Sのカラーは当初「レースシーン」をイメージする「赤タンク × 赤フレーム」を用いる案があり、これは社内ではポジティブ、ネガティブの様々な反響がありました。

 

そこで「自分が初めて買ったバイクの決め手ってなんだっけ...?」に立ち返り、購入時に「そのバイクがある生活が自然と想像出来たこと」を思い出し、「日常を離れ、非日常な体験を出来る事がバイクの一つの魅力」として「日常に根付き、日々の生活の楽しみを拡大出来る事もバイクの魅力」として、「すべての人々に。」と定めました。

 

「人をメインに、バイクはサブ」として様々なカスタマーに寄り添い、晴れの日も曇りの日も親しみを持てるカラーとなる「パールディープマッドグレー」を設定。

 

ブラックのエンジンはスタンダードと同様ながら、GB350Sにはシートにステッチを入れ、サイドカバーにグラフィック、ライトにワンポイントを追加。

 

「走って楽しいホンモノのモーターサイクルなのに、気負いが無く付き合えて、どんな恰好で乗っても似合ってて、居心地の良いもの」を「抜け感CMFG」というテーマで表現しました。

 

  • ヤマハ TMAX560 / Tricity300 / Tracer9 GT

ヤマハ TMAX560 / Tricity300 / Tracer9 GT

マットダークグレーメタリックA (マットグリーンニッシュグレー)

 

テーマ / 世界を読み、色を詠む。色を通して世界を学び世界を創る

 

「ヤマハ流、トレンドとの向き合い方」

ヤマハからのエントリー色「WORN GRAY (ウォーングレー)」の「WORN 」は「使い古された、擦り切れた」の意。

 

「色はソーシャルトレンドを映す」とし、現在の「不確実の中で、人は現実に向き合っていく。」を表した「シリアスカラー」を、このカラーで「本質の色」として表現。

 

 「創り手側の歴史」から考えて、戦後復興期の「ソリッド」、経済繁栄期の「メタリック」、社会多様化期の「マットなど」から、現代を「VUCA(ブカ)期(先行きが不透明で、将来の予測が困難)」と捉え、「ソリッド回帰の始まり」として認識。

 

「素朴さの中にある実直な美しさ。」は「風雨や雪で磨き上げられた本質の色」を、欧州デザイン支部にあった「石」の風合いから見いだし、「引き算の考え方で創った色。」で「退色を彷彿とさせる表現。」として勝負しています。

 

ヤマハのトレンド解釈は二通り。ひとつは「世界情勢から影響を受けた、人々の心の変化」である「ソーシャルトレンド(原因)」と、「消費者心理が現象化した氷山の一角」である「デザイントレンド(結果)」。

 

「物事の裏側に潜む人々の価値観の移り変わりを読み、表出するデザイントレンドを創り出す。」ことから、「原因を掴み、結果を創る、ソーシャルトレンドとは人の心の集積」と結論し、「共感によるカラーシェアリング。」を提案。

 

ターゲットカスタマーに共通する価値観として「虚構を嫌い、質実を好む。社会風潮に関心が高いが故に、デザイントレンドにも敏感」と設定。

 

各モデルが3色のカラーバリエーションを設定するなか、Tricity300、Tracer9 GTは3割越え、TMAX560に至っては全体の6割がこのカラーを選択しました。

 

ヤマハ発のデザイントレンドを創り出す試みは「原因を掴み、結果を創る」として、CMFGに加え「T」を価値に追加。

「T=Time passing (時の経過)、Transform (変化を喜ぶ)、Tolerance (愛着の出る個体差)」から「モノを大切に使う、ココロのサスティナビリティ」により、「消費者と価値観を共創する。」「デザインを通して 人々や社会を彩る。」「表層に潜む、本質を詠む」「デザインに読み替え、再び世に問う。」を掲げました。

 

それがヤマハが考える「世界を読み、色を詠む」カラーリングデザインの姿。

「新品のように輝いていなくても美しい。」を、このカラーで表現しています。

 

今回のグランプリは、トヨタ自動車(株)のレクサス LS500h / LS500と、日産自動車(株)のアリアが同時受賞。マツダ(株)のMX-30 / MX-30 EV MODELが特別賞に選ばれました。

https://www.jafca.org/seminarandevent/20220126.html

 

制作・協力

(取材協力 写真提供)

一般社団法人日本流行色協会

 

(文)

森井智之

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