他カテゴリ記事を絞り込んで探す
2023ワールド・ベテランズ・モトクロス
- おすすめコラム
- 2024.01.30
カリフォルニア州で大人気、世界の中高年モトクロスライダーが集まる『ワールドVET』のレポートです!
毎年11月第1週末、アメリカ・カリフォルニア州にあるオフロードサーキット、グレン・ヘレン・レースウェイには、30歳代から80歳代までのライダーが世界中から集まって、年齢別と技量別でのモトクロスレースを繰り広げます。エントリー数は2日間で1200台越え!日本からの参加もあり、何歳になっても楽しいモトクロスは年齢も国境も越えて盛り上がります。
-
雄大過ぎるコースで全開を満喫
イベント名にベテランズという言葉が入るように、このレースはモトクロスを生涯の趣味にする中高年ライダーが対象で、VETERANの文字を取って通称『ワールドVET』と呼ばれます。1986年の第1回当初はカリフォルニア州のライダー数十名で始めたこのイベントが、年を追うごとに人気を得て倍々に増え、海外からの参加も増えて、39年目の2023年はおよそ1200台越え、24か国からライダーを迎えて大盛況です。人気の要因は、5歳刻みの年齢別と初級・中級・上級の技量別を合わせたクラス分けで、同年代・同レベルのライダーと一緒に走って遊ぶこと、そしてモトクロスを愛する大人の祭典らしいインターナショナルな華やかさにあります。
広大なコースを誇るグレン・ヘレン名物はこの素晴らしい高低差。ここを思いきり駆け上がり、そして下るのがワールドVETライダーの醍醐味ですが、80歳代でも安全に周回できるよう、コース全体はマイルドなレイアウトに整えられています。
スタートが2列や3列になり、30秒間隔で60台も70台も一度に走ってしまう、さらに前のクラスが全員ゴールしていないのに次のクラスがスタートしてしまうのが、日本のモトクロスでは絶対に見られないダイナミックな光景。
この写真、ライダーが全員60歳代って信じられますか? 元気があればモトクロスもできる!
大会ロゴマーク。国旗デザイン6カ国の中に日本が入っているのが嬉しいですね。歴代タイトルホルダー鈴木秀明さん(1999年・2000年に50歳クラスチャンピオン獲得)をリスペクトしてのことでしょうか。
海外や遠方州からのライダーは、レンタルバイク&レースサポートを利用します。ギアだけ持ってくればすぐに乗れる、充実のサービスで参加しやすいのもモトクロス大国アメリカならでは。
-
かつてのスターレジェンドもあちこちに
数十年前にFIMモトクロス世界選手権やAMAスーパークロス、AMAナショナルレースで活躍した、日本のファンにもお馴染みの顔ぶれに会える事もまたワールドVETの魅力です。50歳、60歳を迎えてもモトクロスが大好きな彼ら、「今はすっかり趣味だけれど、FUNレースで走るのは楽しいよね!」と言いながら、現役時代に比べちょっぴり貫禄のついた体型ながら往年の走りを見せてくれます。そして時を経てもやっぱり上手い、美しいライディングは健在。かつてのライバル同士がトップバトルを再現してくれたりして、観戦も最高です。
+50歳クラスの表彰台は優勝マイク・ブラウン、2位ジェレミー・マクグラス、3位カート・ニコルの楽しそうな笑顔。ファンは懐かしさで涙せずにいられない超豪華な顔ぶれです。
ヘルメットペイントやウェアデザインで日本でも有名な世界的カスタムペインター、トロイ・リー社長もご来場、この日は長年モトクロス界に貢献した功労賞を受賞していました。
80歳クラスチャンピオンを決めたラース・ラルッソン、御年82歳、カリフォルニア在住のスウェーデン出身ライダー。懸命に走る姿は『生涯モトクロス』を体現していました。
大レジェンドのゲイリー・ジョーンズが70歳クラスタイトルをきっちり決めて君臨。70年代に活躍したアメリカンチャンピオンです。「もう50年以上走っているんだなぁ、でも今も気持ちだけはハタチだよ!」と意気軒昂。
50歳を過ぎてもマクグラスとブラウンが見せてくれたゴージャスなバトル。
60歳を過ぎてもモトクロスはやっぱりジャンプでしょう! 気合いが違いますね。
-
モトクロスで国際親善、国別対抗レースも開催
再会のライダー同士で「楽しもうね」「頑張ろうね」「負けないぞー」といった挨拶やハイタッチ、会場はモトクロスでつながる国際交流の場となります。たとえ言葉は違っても
モトクロス大好き同士、一緒に走ればすぐに友達になりカタコトの英語や身振り手振りでコミュニケーション。近年は海外からの参加台数が増えたことで、国別対抗での『VETネイションズ』レースも開催されています。自国の大きな国旗を掲げたパドックや、チームで揃えた国旗入りウェアが誇らしげ。
「本当に、世界中からこんなに沢山のベテランライダーが集まって、一緒にモトクロスを楽しむってすごいよね、素晴らしいよねワールドVETは!」というのはレジェンド ジェレミー・マクグラスの言葉です。
日本からも今回は40代から60代のライダー4名がそれぞれのクラスで健闘、ワールドVETにすっかり魅せられた皆さんゆえ、レースを終えるとすぐ1年後の作戦を考えていました。ワールドVETでは自分よりもずっと先輩のライダーが大勢いるので「もうトシだから」などと年齢を言い訳にはできないそうです。生涯現役、まだまだやめられませんね!
遠目にも目立ったブラジルチームのパドック。
カナダチームは移動式スペシャル観覧席で観戦。
ほぼ参加最年少カップルはエクアドルから。
メキシコチームの国旗デザインがクール。
30・40・50代でチーム構成の国別対抗レースはイタリア優勝、2位・3位はカナダが独占。
和peace・愛love・喜joyと入れた某アメリカンライダー。
エントラント全員がおみやげに購入する大会記念Tシャツブース。
コロナ渦明けで4年ぶりに遠征したチームニッポンのライダーと応援隊、「楽し過ぎる!
また来年絶対来たい!」ライダー2人はメダル獲得おめでとうございました。
■文・写真:高橋絵里