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オートカラーアウォード 2024 ノミネートバイク レポート!
- おすすめコラム
- 2025.01.15
オートカラーアウォード2024のレポートが届きました!
オートカラーアウォード 2024が、2024年12月13日(金)~14日(土)に開催されました。
このイベントは、一般社団法人日本流行色協会(JAFCA・ジャフカ)が主催。
1998年から年に1回、優れたモビリティのカラーデザインを顕彰する制度として実施されています。
クルマ、バイクの企画や発想、全体との調和など内外装すべてのカラーデザインを評価します。
13日、プレゼンテーションを実施。
14日に、グランプリ発表&受賞者インタビューが行われました。
両日ともに会場に実車を展示し、学生×カラーデザイナーQ&Aタイムが設けられました。
オートカラーアウォード
会場は、東京都江東区 東京国際交流館プラザ平成。
「オートカラーはやっぱり生で見なくちゃ」ということで、今回はオンラインを廃止。
車両を前にしてカラーデザイナーと話ができる、貴重なイベントです。
今年は、バイクではホンダとカワサキが参加しました。
ノミネート車両を紹介します!。
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ホンダ X-ADV イエロー!
ホンダ X-ADV マットゴールドフィンチイエロー
プレゼンテーションテーマは「Adventure with the new me」。
「日常の移動にプラスアルファの楽しみを」をコンセプトにした、大型クロスオーバー。
オンロード / オフロードのどちらも快適に走破できる性能で多用途性を両立。
都市部から週末のアドベンチャーまでも楽しめる、オールラウンダーなモデル。
プレゼンテーション前日の2024年12月12日(木)に、一部の外観変更&装備充実で発売。
2017年の発売開始から、今回の改良で第3世代へと進化。
カラーバリエーションは、定番人気のグレーとホワイトをスタンダードとしてラインアップ。
さらにプラスアルファの価値と特別感のある、イエロー(+グロスブラック)を設定。
ビビッドでインパクトのあるスペシャルエディションとして、差別化を図ったカラーリング。
イエローにのみ「サイバーパンク」をイメージしたグラフィックを配置。
イエローを「マット」としたのは、エッジが効いたボディを「面」で見せるため。
乗車時に目に入るフロントポケットのリッド上部に「SPECIAL EDITION」のロゴ。
下方のグラフィックは、排気量を示す「750」。
スクリーンに、環境に優しいバイオエンジニアリングプラスチック「DURABIO(デュラビオ)」を採用。
高い耐候性で黄ばみにくく、耐傷つき性でハードコートが不要に。PC樹脂に匹敵する耐衝撃特性。
ボディサイド下部に、着色済デュラビオ(ブラック)を二輪車として初めて外装に採用。
塗装の工程がなくなることにより、CO₂削減に寄与。
この部分に採用したのは、傷つきにくい特性を活かして飛び石などによるダメージに対応するため。
パンデミックを経た現在の ”夢を持つ1人ひとりに「自由な移動の喜び」を” カラーで提案。
新たなイエロー+グラフィックのカラーリングは、見ているだけで元気になると感じました。
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カワサキ Z900RS レッド!
カワサキ Z900RS キャンディトーンレッド
プレゼンテーションテーマは「色の力でSDGs 伝統と革新のRED」
オーセンティックなレトロスタイリングの大型スポーツバイク。
シンプルで時代を超越したデザインエレメントを採用。
1972年登場のカワサキ 900 SUPER4(Z1)から受け継ぐ「伝統」を、現代の「技術」で継承。
ティアドロップ型タンクのクラシカルなビジュアルと、モダンな走りを高次元でバランスしたモデル。
2018年の発売開始以来、高い人気を獲得するモデルですが、プレゼンでは驚きの話が出ました。
2020年ころから販売が下降ぎみになった際に、次期モデル開発の話が出ていたそうです。
社内で検討を重ねた結果、モデルチェンジを行わず販売継続を決定。
カラーとグラフィックのチェンジによって現行型を維持し、環境負荷を低減してサスティナブルを実現。
会場に歴代のZ900RSフューエルタンクを展示(奥から)。
1973年をオマージュした2018年モデル
1974年をオマージュした2020年モデル
1975年をオマージュした2022年モデル
ヘリテージカラーの選定は、過去の人気を考慮して決定。
今回のキャンディトーンレッドは、1975年をオマージュした2024年発表のカラー。
1975年当時の塗膜は、レッドの下地としてブラックの上にグリーン(!)を塗装。
当時のレッドが退色すると、グリーンが出てくるのはそのせいなのだそうです。
2024年の塗膜は、レッド・ブラックの顔料のみ使用。その上に光輝材の着色レッドを塗装。
顔料と光輝材でグリーンの隠し味を表現し、塗装行程を減らして環境負荷物質を削減。
ブラウンは顔料には含まれていないとのこと。
1970年代の色を現代に蘇らせることは簡単ではなかったものの、革新の塗装技術で魅力を継承。
一連のカラーバリエーションによって、販売は好調に推移。
結果、商品寿命を延ばし開発投資を抑えてSDGsに貢献。
会場では太陽光の下や日陰で色の変化が楽しめました。ぜひ実車で確認してみて下さい。
ところで、よく見るとレッドのタンクは「ヘリテージKAWASAKIエンブレム」に変更しています。
これはユーザーが車両購入後に、社外品の「旧字ロゴ」にしていることが多いのが発端。
これをメーカーとして把握し「ケアしなくては」と、社長にかけあって実現(大変だったそうです)。
ロゴの形態もカラーリングの一部とすることで、ユーザーの期待に応えているのが分かります。
カワサキはVI(ブイアイ=ビジュアル・アイデンティティ)の管理に厳しい会社とのこと。
他社で見られるカウルなどへロゴが「欠けた」状態の表現は出来ないんだそうです。
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ヤマハはパーツを展示
ヤマハは、今回ノミネートはなかったものの、学生向けにパーツの展示を実施。
SR400 ファイナルエディションのフューエルタンクは、ギターでおなじみの「サンバースト塗装」。
工芸品のような塗装は、職人の手作業による繊細なグラデーションで表現。
真鍮製の音叉エンブレムにはクリア塗装を施していないので、経年で色が変化。
展示のエンブレムはすでにくすんだ色味ですが、軽くヤスリをかければ本来の輝きに戻ります。
これは、デザイナーと部品管理部門との調整がたいへんそうな処理です。
レーシングブルーに塗装されたABS樹脂のリアカウルは、話題のニューモデル YZF-R9のもの。
オートカラーアウォード2017でグランプリを獲得したMTシリーズのホイール。
タンクではなく「コンポーネント(ホイール)に色をつけた」意欲的な試み。
現行のMTシリーズにも、その精神が引き継がれています。
XSR700のタンクカバーは、アルミ素材に職人の手作業による「ヘアライン仕上げ」が施されています。
ひと手間かけた処理によって、同じものがふたつとないものになっています。
マツダ CX-80 メルティングカッパーメタリック
オートカラーアウォード2024のグランプリは、マツダ CX-80!。
カッパーの新しい表現を追求し、車内外をしっかりコーディネートした仕上がりが評価されました。
カラーリングは、バイク選びの重要な要素のひとつです。
イベントではデザイナーの想いを聞くことによって、カラーに対しての興味がより深まりました。
会場ではさまざまな話が聞けて、たいへん有意義な時間になりました。
(取材協力)
一般社団法人日本流行色協会
(写真・文)
森井智之