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人とくるまのテクノロジー展 2024 YOKOHAMA イベントレポート!
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- 2024.05.31
2024年5月22日(水)~24日(金)に開催された「人とくるまのテクノロジー展 2024 YOHOHAMA」のレポートです!
2024年5月22日(水)~24日(金)に開催された「人とくるまのテクノロジー展 2024 YOHOHAMA」。
このイベントは公益社団法人自動車技術会が主催し、パシフィコ横浜で開催。
会場で展示された、二輪車関係の製品をレポートします!
「Co-Create! 未来をともに創りだそう」をテーマにした、自働車技術の大規模イベントです。
590社1390小間が出展。今年はフロアを拡大し、従来の展示ホールにノース会場を追加。
来場者は「自動車・部品・車体メーカーの設計/研究/実験/開発」担当者、教職員、学生など。
自動車技術に興味がある、一般の人でも入場が可能です(入場無料。事前登録制)。
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ホンダ ヤマハ スズキが出展!
ホンダ SC e: コンセプト
交換式バッテリー2個を動力用電源とする、原付二種相当の電動二輪パーソナルコミューター。
バッテリー交換ステーション ホンダ パワーパック エクスチェンジャー e: とともに展示。
ホンダ 「バイオ由来プラスチックを用いた」二輪車用ウインドスクリーン
バイオ由来で環境に優しい、バイオエンジニアリングプラスチック「DURABIO(デュラビオ)」。
新型 CRF1100L アフリカツインで、二輪車用透明フロントスクリーンに世界で初めて採用。
ハードコート付ポリカーボネート(PC)樹脂板の「ホットプレス成形」から「インジェクション成形」に。
金型を用いた形状自由度の向上で、複雑なデザインが可能になり、防風性などライダーの快適性が向上。
「インジェクション」成形の課題である「ゆがみ」「にじみ」を、金型形状の精度向上で表面凸凹を除去。
高い耐候性と耐傷つき性により、黄ばみにくい&ハードコートが不要に。PC樹脂に匹敵する耐衝撃特性。
三菱ケミカルでも、同じスクリーンを展示。バイオ素材は50%を使用とのこと。
元々は透明の素材(ボトル内)で、顔料による着色のみで自動車のグリルなどに使用。
ホンダ 「リサイクルアルミ素材を用いた」二輪車用HPDCアルミホイール
ホイールの材料となるアルミ合金を製造する際に市中スクラップを活用し、発生する二酸化炭素を抑制。
伸び特性が重要なホイールにはバージン材を使用してきたが、リサイクル材でも同等の特性を達成。
これにより、材料製造時の二酸化炭素排出量97%削減(従来バージン材比)と、新規原料採掘が不要に。
製造工程に「ハイプレッシャーダイカスト(HPDC)製法」を採用。
従来の重力鋳造製法に比べ、品質の安定と製造時間を短縮でコスト軽減。
ベトナム、タイ、ブラジル、中国で小型モデルに展開中。2024年度より大型モデルにも運用開始予定。
HPDCは製造設備が大きくなるものの、約10年前からこの製法を用いているとのこと。
今回の出展は「地道な取り組み」のひとつとして紹介。このイベントならでは、の展示と感じました。
ヤマハは、技術ビジョンの概要を発表。
3つの「楽しさ」の追求と社会課題の解決で、新しい価値を創る
「短縮化で解放」 知能化技術で時間と能力を開放し「人」の新たな価値創造を実現する
「環境と安全」 環境技術と安全技術で「人」と自然・社会の持続的な調和を実現する
「自由な移動体験」 「人」とモビリティの協調で悦び・興奮と自由をもたらす移動体験を実現する
ヤマハ モトロイド2(参考出展車)
移動の道具を超えた新しい感動体験の創出を目的に開発。
「人間の伴侶のような存在のパーソナルモビリティ」を目指す、概念検証実験モデル。
自立制御システム「AMCES」、オーナーの意思をくみ取りながら判断する「画像認識AI」を搭載。
ヤマハ イーラブ (コンセプトモデル)
イーラブは、二輪車安定化支援システム「AMSAS」を搭載した電動スクーター。
特に極低速運転時における転倒不安や疲労からライダーを解放し、安心・快適なライディングを提供。
展示車両は、スクリーンなど「バイクをもっと好きになるためのアイデア」をオプション装備で実現。
ヤマハ 感覚拡張HMI (初出展)
ミラーやカメラなどの視覚デバイスに加え、聴覚を利用して後方認知を直感的に支援する技術。
「聴く」ことによる後方認知により、視線移動を最小限に抑えてライダーの負荷を軽減。
ヘルメット内蔵スピーカーから、後方から来る車両の音を体感。
終日、体験を希望する来場者の長い列が出来ていました。
私も並んで参加させていただいて、音の通知の有り無しによって有用性を実感しました。
デモ体験時にまたがるのは、ヤマハが車両開発時に使用する「モトレーター VER.2.00」。
バイクのジャンルに合わせてハンドル、シート、ステップ位置が変更可能なライディングシュミレーター。
さらにハンドル、スロットル、ブレーキ、ギアは実車に近い操作感を再現可能。
ハンドルスイッチ操作性、メーター視認性などを確認。これで開発したハンドルスイッチは市販済。
ヤマハ 環境対応型 リサイクルポリプロピレン材
石油化学メーカーや成形メーカーの工程内で発生するパージ材や端材を原材料として使用。
環境負荷物質混入の懸念がなく、従来のリサイクル材に対して強度や外観品質が向上。
この材料を採用したヤマハ NMAX155の外装パーツを展示。
素材担当の方たちから、直接お話しが聴けた貴重な時間でした。
スズキ 水素エンジン バーグマン (研究車両)
水素タンクをガソリンタンク搭載位置と同様に車両下部に配置。
水素タンクの前後長が長いため、エンジンを車両後方にオフセットして搭載。
エンジンは、水素に対応するための装備に変更。
異常燃焼(バックファイヤ)の発生が、今後の研究課題の一つ。
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注目の次世代クラッチシステム!
エフ・シー・シー イージーライド (モーターサイクル用クラッチシステム)
発進時のクラッチ操作が不要な自動発進とマニュアル操作の楽しさを併せ持った次世代クラッチシステム。
遠心力を利用した自動発進機構、カムを利用したアシスト&スリッパー機構、エンブレ機構を搭載。
仕様変更なく、既存スペースに取付が可能。
近い将来に、これを採用したバイクが発表されるのを期待します!
エフ・シ・ーシー 小型モビリティ向けモータ
小型・高トルク化を実現した小型モビリティ向け空冷モータの3機種を展示。
2025年に、インドでモータ量産ラインを稼働予定。
日立アステモ 2輪ADAS(先進運転支援システム)
前方検知に採用する自社ステレオカメラとADAS用ECUを分散配置。
2つのカメラを切り離すことで車両搭載性を大幅に向上。
実車のカウルにふたつのカメラを取り付けて、デザインを崩さない配置可能をアピール。
カメラ機能の拡充により、2輪車の安全と乗り心地向上。
日本製鉄 純チタン製燃料タンク(左)
高い成形性と軽量化を実現。チタンは「板厚0.7mm」。
ユニチカ Uポリマー
無塗装ピアノブラック成型品。漆黒感、耐熱性、耐薬品性、耐衝撃性、耐候性が特徴。
展示品は、カワサキ H2の外装部品。
カーボンフライ 2輪車用フロントカウル
カーボンナノチューブ素材のカウルを展示。軽量化、耐衝撃性、強度、剛性などが特徴。
展示品を持たせてもらいましたが、驚くほど軽量でした。
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中空技術で軽量化!
九州柳河精機 一体型中空スイングアーム 中空ホイール
中空技術とハイプレッシャーダイカスト(HPDC)技術が融合した量産品を展示。
スイングアームは、軽量化、溶接無しの一体化、特殊金型機構が特徴。中空化で26%の軽量化。
ホイールは、軽量化、HPDC成形、強度確保が特徴。センター部の中空化で13%の軽量化。
エクセディ モーターサイクル用ライディングサポートクラッチ(右)。
ライダーの負荷軽減が可能な独自機構を搭載したMT用多板クラッチ。
高トルク容量化&軽量化の両立。操作荷重低減。減速時のショック緩和。
JSBレース車用 湿式多板クラッチディスク。
クラッチが繋がる際のトルクのピーク(ルースターテール)を抑制して、スタートダッシュが容易な特性。
エクセディ 2輪BEV用CVT駆動ユニット(開発中)
登坂力と高車速化を両立する変速機搭載ユニット。
エクセディ 2輪BEV用 2段変速駆動ユニット(開発中)&2輪車(125ccクラス)用EV駆動用モータ
登坂力と高速化を両立する変速機搭載ユニット。
イワタボルト 高性能盗難防止ねじ HTS / ITR
一般の工具で締め付けられるけど戻せない、ワンウェイの盗難防止ねじ。
キーシリンダー取付等の盗難防止を必要とする部位に使用。HTSは六角穴タイプ、ITRは十字穴タイプ。
日本航空電子工業 車載向けUSBチャージャー
車両型モデル前方に2輪車向けUSB Type-Cソケットの充電製品を展示。
車体側面に、高信頼型 電動二輪車用充電プラグ(参考出品)を装着。
TOP 車載用モータ
チェーンの大同工業(D.I.D)が製作した電動バイク(125cc相当)に、DCブラシレスモータを提供。
TPR 移動型給電システム(給電バイク専用システムを開発中)
クルマより機動性が高いバイクに給電システムを搭載して、電欠時のレスキューや外出先での充電に活用。
ハルターマン・カーレス・ジャパン ETS Renewablaze Nihon R100
全日本ロードレース選手権 JSB1000で使われているカーボンニュートラルのレース燃料。
植物ごみや木材チップなどのバイオマスを原料とし、化石由来の原料を一切使用しない特殊な燃料。
ドイツの会社が英国で生産して日本に輸入。
現状は、1500円/1L程度と高価のうえ、缶での輸送では長いトンネルを通行出来ないそうです。
(レースではメーカーなどが費用を分担して400円/1L程度で提供。)
今回も新技術が多数展示されて、技術者の方たちから興味深いお話がたくさん聞けました!
(取材協力)
公益社団法人 自動車技術会
(写真・文)
森井智之