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クラス変更が戦略を変えた?2024FSWミニろくレーシングコース戦

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  • 2024.10.01

【KAZU中西の鋼騎馬ラプソディ】vol.181。筑波サーキットを転戦する6時間耐久レース『2024FSWミニろくレーシングコース戦』のレポートです!

筑波ラウンドを加え、シリーズ全6戦となった2024年のFSWミニろく。今シーズンは、グローバルクラスの車両規定が変更され、新たにGSX-R125やYZF-R125が加わりました。マシンのポテンシャルで勝負するならグローバルクラス、チューニングノウハウを生かすなら125-I(アイ)クラスという選択が可能となり、コース上はGSX-R125の乱戦模様です。

 

  • 6時間の長丁場で同一周回!

富士スピードウェイのレーシング・ショート・カートコース戦に筑波サーキット戦を加え、全6戦の6時間耐久シリーズとなったFSWミニろく。聞くところによれば、前身はモトチャンプ杯で、その起源からすれば40年近い歴史のあるミニバイクレースだそう。FSWミニろくの中でも人気があるのは、約1.5kmのロングストレートバトルが楽しめるレーシングコース戦。走り応えがあり、シリーズポイントを大きく稼げるのも魅力です。今季の特徴的だった暑さとゲリラ雷雨に翻弄された感のあるレーシングコース戦でしたが、クラスによってはゴール寸前まで同一周回という僅差のバトルが繰り広げられており、参戦チームのみならず観戦でも熱くなれたと思います。

 

ファイナルラップまで同一周回の戦いを繰り広げた#12やまっちファクトリーと#67DENSO AUTOMOBILE CLUB with MotoLab EJ。ベストラップでは#67が上回っていたものの、クラス優勝は#12がもぎ取りました。

 

ルール変更の変遷から、最もストイックなカテゴリーとなった100クラス。#84ケンパチレーシングと#96ブリバリーズ+MTZのバトルは、1周差をつけて#84に軍配。なお、#84はグローバルクラス1位の#503より、ベストラップでも上回っていました。

 

今シーズンのレーシングコース戦で、最も激アツの戦いを繰り広げていた125iクラス。#48モトブレイク、#44FamilyMNRK、#1ストライカーワークスのトップ3は、同一周回でフィニッシュ。このクラスは、トップ10以内が全てGSX-R125でした。

 

ベースエンジンは4スト111cc以下のキャブレター車に限定されますが、125㏄以下に収まるなら改造自由な125-Cクラス。2位に2周差をつけてクラス優勝を果たしたのは、#3farm factory、ジュベット羽鳥レーシングでした。

 

今シーズンより、実質4スト単気筒150㏄マシン同士の戦いとなったスーパーグローバルクラス。#66のCBR150Rに1周差を着けた#6teamARKSのGSX-R150がクラス優勝。レーシングモディファイのノウハウとしてはCBR勢に一日の長ですが、GSX-R勢はここ数年で大幅に戦闘力UPしたように思います。

 

  • 戦闘力が大きく変わる125㏄マシン

2024年シーズンのクラス車両規定で、大きな影響を受けたのがGSX-R125です。トップスピードこそスーパーグローバルクラスのGSX-R150に一歩譲るものの、乗り手によってはグローバルクラス仕様のGSX-R125でも、ラップタイムで上回っていた実績があります。マシンのセッティング&チューニングノウハウが蓄積されてきた2024年シーズンでは、ラップタイム比較でスーパーグローバルクラスのGSX-R150、125-iクラスのGSX-R125、グローバルクラスのGSX-R125の順で、その差は各4秒ほどになっていました。GSX-R125同士の比較では、ハイカム投入、燃焼室形状変更やECU書き換えの可能な125-iクラスが優位。スロットルボディサイズはSTDに制限されているため、レース結果に表れる数値上ではラップタイムが僅かに良くなった程度ですが、高低差のあるコースや全長の短いコースでは、チューニングによって爆発的な加速力を発揮できるため、GSX-R125はベースマシンとして使い勝手が良いと思われます。腕前だけで勝負するならグローバルクラスになりますが、今シーズンはベース車の戦闘力がずば抜けているGSX-R125が大量エントリー。これまで参戦していた空冷単気筒125㏄マシンにとって、分の悪い相手です。現在の車両規定ではNGですが、125-Cクラスの「ベースエンジンは111㏄以下」規定が無くなれば、空冷単気筒125㏄マシンでもグローバルクラスのGSX-R125に勝てるかもしれません。最高速を含めたレースの醍醐味では、やはり150㏄マシンなのかな?と思いますが、マシンの車両規定や改造範囲変更によっては125㏄がさらに面白くなる予感。

 

2024年シーズンより、グローバルクラスの主役となったGSX-R125。#25ゼフィール&ヒューイズガレージ+カタクラに1周差を着けて#503モトハウス248調子にのりをがクラス優勝。グローバルクラスはスーパーグローバルクラスと同様に、足まわりと外装はカスタムできますがエンジンは改造不可のプロダクションレース仕様。腕前だけで勝負できるピュアスポーツクラスでもあります。

 

#85零式は125-iクラス、#831teamPEKETOMOはグローバルクラス、どちらもGSX-R125で初参戦。FSWミニろく特有のルールに翻弄されている感はあったが、両チームとも完走でフィニッシュ。

 

T.O.Tライダーとして知られる上田隆仁選手が助っ人に加わった#512モーサイWEB白糸フレンズBIKE HIKEのGSX-R125がグローバルクラス6位でフィニッシュ。なお、GSX-R125では、#57刀水社feat.ソネットフィットネスに青木宣篤さんが助っ人参戦。125-iクラスで7位フィニッシュしている。

 

  • こうなってくると俄然応援したくなります

2024年のレーシングコース戦は、さながら鈴鹿8耐並みのレースコンディションでした。とにかく暑い!そして短時間の雷雨もあって、赤旗中断は2回。これが各チームの作戦やレース運びに影響したことでしょう。僕は放送席で解説、ピットレポートもしましたが、皆さんのレースシーンを見ていると参戦したくなっちゃいますね。放送席のマルチモニターで観察している限り、YZF-R15勢も善戦しているように思えましたが、結果=リザルトを見て驚愕。これまでの主役だったホンダ勢を上書きする勢いでGSX-R125&150が猛威を振るっています。個人的には、もっとバラエティーに富んだエントリー車両で激戦を繰り広げる「ザ・ローカルレース」が好きだけれど、現代的に速さを追求するならGSX-R勢になるのかなぁと思ったり…。かつてのTTフォーミュラやスーパープロダクションのような、ライダーの技量+チューニングの技術力で勝負するようなレースシーンを求めてしまうのは、昭和時代のオジサンだからでしょうか? FSWミニろくは、参戦コストを抑えてレース愛好家を増やしていこうという気概があるので、スーパーグローバルやグローバルクラスでヤマハ勢が活躍するところも見たい。ならば「お前がYZFでやってみろ!」と叱咤されそうですが、とっくに現役引退している身なので、もし可能ならばチームスタッフとしてヤマハ勢を応援していきたいと思っています。あ、ウエットコンディションなら30分くらい乗ってもいいですよ(笑)

 

85クラス優勝で総合順位でも1位となった#16ts-factory+yueのNSR80。実は1周減算のペナルティを課されながらもぶっちぎりの優勝です。コースサイドで観ていても、走りのキレっぷりが格上でした。

 

FSWミニろくでは、プロレーサーがしれーっと参戦しているのが常態化してきました。今回は少し前に鈴鹿サーキットでも会いましたよね?の、大久保光選手が放送席を訪ねてくださいました。感謝!

 

とにかく暑かった2024年のレーシングコース戦。パドックでは鈴鹿8耐さながらのプール冷却シーンを目の当たりにしました。どんなに科学が進歩しても、体を冷やすのはこれが一番効果的かつコストパフォーマンスが良いと思われます。

 

取材班として同行している女性カメラマンが、どうしても載せて欲しいというTECH21カラーのマシン。スーパーグローバルクラスに参戦している#211レクセルのYZF-R15です。僕と同世代の80年代リアルタイマーなら、その気持ちもわかると思います。

 

参戦するクラスが違えども、FSWミニろくで楽しむ気持ちは同じ。レース仲間は多い方が面白くなります。なお、2024年シーズンの最終戦は12月15日のショートサーキット戦の予定です。今からチーム編成すれば間に合うかも。

 

参考リンク

FSWミニろく

 

制作・協力

■ライター:KAZU中西

フリーランスのモータージャーナリスト。通称カズ兄さん。イベントMCやラジオDJ(FMIS・カズ兄さんのモーターレボリューション)などタレント業でも活躍。

観察分析力に定評があり、開発に携わったバイク用品やカスタムパーツも多数。

一方では、二輪車の事故防止&安全利用の最前線に立つ『Mr.事故ゼロ』とも呼ばれている。愛車はスペシャルメイドのZ2他。趣味はプレジャーボートのクルージング

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