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2025年 ボッシュ・グループ年次記者会見および展示会 レポート

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  • 2025.06.27

世界最大級の自動車部品システムサプライヤーBOSCH。普段乗っているバイクや車には、こんなにもすごいパーツが使われているんですね!

2025年6月19日(木)に、ボッシュ・グループ年次記者会見および展示会が行われました。

ボッシュ株式会社は、自働車用パーツの開発、製造、販売などを展開するボッシュの日本法人です。

 

この日は、記者会見、各事業部・子会社の製品展示会&セミナーを実施。

そのなかから、2輪関係を中心に当日の様子をレポートします。

 

  • 横浜新本社1周年

ボッシュ株式会社は、2024年5月に東京都渋谷区から横浜市都筑区の新社屋へ移転。

新本社は、横浜市営地下鉄「センター北駅」から徒歩5分に立地。

東京・横浜エリアの複数拠点に点在した事業部およびグループ企業を集約。

 

新本社1階には一般も利用ができる、カフェ「cafe 1886 at Bosch」が2024年9月にオープン。

 

2024年11月、地域活性化に関する包括連携協定を横浜市と締結。

新社屋を軸とした、横浜国立大学との産学連携の取り組みを紹介。

 

2025年3月、新本社の隣にボッシュ ホール(都筑区民文化センター)が開館。

2つの施設と広場を含むエリア一帯を「ボッシュ・フォーラム・つづき」と命名。

 

■年次記者会見

今回、新本社で初めて行う年次記者会見で、日本のボッシュ・グループ 2024年業績・最新技術を説明。

ボッシュ株式会社の日本における業績は2022年以降、過去最高の売上記録を3年連続で更新。

 

今年は、モーターサイクル&パワースポーツ事業部のグローバル本部を横浜に設置して10周年。

日本から、全世界の二輪車メーカーに包括的なソリューションを提供しています。

新本社の研究開発業務や、VR活用のショールーム、トレーニングを紹介。

AI活用の重要性に触れ、教育プログラムや社内向けツール提供などの取り組みを説明。

ボッシュは、ハードウェアの会社と思われがちながら、ソフトウェア開発などにも柔軟に対応。

 

登壇者が、最後にフォトセッションを実施(右から)。

松村宗夫取締役副社長

クリスチャン・メッカー代表取締役社長

西村直史取締役副社長

 

  • バイクソリューション展示

会場に、ボッシュのソリューションが搭載された国内4メーカーのバイクを展示。

各バイクに搭載のコンポーネントを紹介します。

 

カワサキ Z H2 2024 (左)

ABS9 インテグレーテッド圧力センサー

慣性計測センサーユニット

ホイールスピードセンサー

 

スズキ GSX-S1000GT 2023

慣性計測センサーユニット

インテグレーテッド コネクティビティ クラスター(ICC) 6.5" (6.5インチ TFTディスプレイ)

 

ホンダ Rebel 1100 2023 (左)

インジェクター (2025 向け)

 

ヤマハ TRACER9 GT ABS 2023

ABS 10 エンハンスド

レーダーセンサー(TRACER9 GT+ ABS 2023向け)

 

モーターサイクル&パワースポーツ事業部の展示。

出展テーマは「二輪車向け安全技術の30年にわたるイノベーション」。

ABSは30周年を迎え、二輪車のさらなる操安性向上に向けた開発を、展示とセミナーで紹介。

 

3ステップによる、包括的な安全技術コンセプト

 

(1)ビークル スタビリティ(車両操安性)

アンチロック ブレーキ システム(ABS)

ABSは、車輪軸センサー(WSS)との併用で車輪ロックを防ぐ、安全なブレーキ制動の技術。

急ブレーキ時や滑りやすい路面を走行時、ホイールロックを防止し車両安定性を向上。

1984年に二輪車向けABSの開発を開始し、1995年に市場導入を開始。カワサキ GPZ1100に初搭載。

 

左の第一世代はかなり大きいですが、これは四輪車用をベースにしていたからだそうです。

2009年に、二輪車専用ABS(第一世代)、2016年に第二世代ABSを市場導入。

右列のABSは手前から、1ch/片輪、2ch/両輪、ARAS対応。

 

モーターサイクル スタビリティ コントロール(MSC)

MSCは、ABS + WSSに、IMU(慣性計測センサーユニット)を併用し「バイクの傾き」を計測。

ブレーキ、加速、直進、コーナーリングなど、さまざまな状況下で車両安定性を維持。

2013年に市場導入(世界初)。初搭載車は、KTM 1190 ADVENTURE (2014モデル)。

 

ABSが「受け身」の安全技術に対して、MSCは動的な環境下で車体を制御する「積極的」な技術。

「コーナリングABS(俗称)」として、コーナリング中のブレーキングにおける、車両の安定性を向上。

ドゥカティは新型パニガーレV4に、ボッシュと共同開発したブレーキシステム「レースeCBS」を搭載。

 

MSCを「ファン領域」で使用することで、バイクの付加価値を高める追加機能で、更なる可能性を追求。

 

ブレーキ圧力コントロール機能群

ビークルホールド(傾斜保持)で、停車時に道路が傾斜していてもブレーキ操作が不要。

コーナリング電子コンビブレ―キシステム(前後ブレーキ連動)は、フロントを効かすとリアが連動。

 

ブレーキ&エンジントルクコントロール機能群

ウィリーコントロール、リアホイール リフトアップコントロール、リアホイール スライドコントロール

 

コーナリング機能群

コーナリング ブレーキ コントロール、コーナリング トラクション コントロール

コーナリング ドラッグ トルク コントロール

 

タイヤがスライドした状態でのコーナリングや、角度を保ったウィリー走行やリフトアップ抑制が可能。

高度なテクニックを要する走行状況を可能にして、ライダーを異次元の領域に。

 

(2)予防的安全性と快適性

アドバンスド ライダー アシスタンス システム(ARAS : アーラス)

レーダーを搭載することでサラウンドセンシング技術を実現し、安全性、走行快適性が向上。

レーダーセンサー、ブレーキシステム、エンジン制御、ヒューマンマシン インターフェースの組合せ。

昨年は、レーダーを活用した6つの新しい機能を発表。

 

ACC(アダプティブ クルーズ コントロール)

レーダーセンサー技術を使って、自動的に速度を調整し前走車を追走。

前走車を検知して、衝突予知警報、自動ブレーキ作動。死角検知も可能。

複数のバイクが交互で行う「千鳥走行」を、レーダーを使って隊列の維持が可能とのこと。

 

(3)コネクティビティ

「つながる」技術で、更なる安全機能を提案。

TFTディスプレイとコネクティビティ機能を一体化したクラスター(ICC)で、安全性および利便性を向上。

二輪車向けに特化したアプリや、スマートフォンのコンテンツ表示などが利用可能。

 

  • 出展製品を紹介

屋外に試験車両の展示がありました。

 

ADAS(エーダス : 先進運転支援システム)

車両に搭載の各センサー(レーダー、カメラ)から情報を取得し、運転操作を支援する機能、技術の総称。

この車両を使って、昨年秋から東京・横浜周辺でSAEレベル2の運転支援、自動運転の試験走行を開始。

 

AIを活用して、日本の複雑な道路環境を学習させて走行の精度を向上。

さらに「予測と予知」では、ボールが横切った後は子どもが飛び出すなどの関連を想定した開発を実施。

 

ブレーキバイワイヤ技術のセミナーを聴講。

ブレーキペダルは「パッド式」を開発中。ストロークしないペダルは圧力センサーで動作。

ペダルの出っ張りをなくし、事故時におけるドライバーの足の負傷リスクを軽減。

 

機械式駐車場では、入庫を自動で行う「パレット ガレージ アシスト システム」のデモを実施。

機械式の駐車場は「ギリギリ」を狙っていかないとクルマが収まらないですよね。

これを自動で出来るので、大きな反響があるとのこと。時間が許せばデモを見たかったです。

 

 

展示会の出展製品を一部紹介。

eAxle(左)

電気自動車及びハイブリッド車向けのモジュール式eAxle。軽自動車に初採用。

コンパクトかつ魅力的なコストで、高効率を実現。右は、電動モーター。

 

ボッシュ カー サービス

ほぼ全てのメーカー、モデルに対応した高品質な車両サービス、メンテナンス、修理を提供。

四輪車向けエアコンフィルター、ワイパーブレードを展示。

 

電動工具

プロ向けの高品質コードレス電動工具を展示。

本社内に電動工具事業部のワークショップルームを設置。

 

モーターサイクル関連取材やセミナー参加で時間を使い、残念ながら全部は回れませんでした。

バイクは「傾く乗り物」で「ブレーキをかけすぎれば転倒する乗り物」。

そんな二輪車を「縁の下の力持ち」のシステムが、ライダーがコントロールをできるようサポート。

 

今回のイベントは各分野の担当者の方たちから直接話が聞ける、たいへん興味深い時間でした。

知らない間に「いろいろ助けてくれて」「いろいろ出来るようにしてくれて」いるんだと理解しました。

最新技術の進歩に触れて、バイクライディングの奥深さを再確認した一日でした。

 

制作・協力

(取材協力)
ボッシュ株式会社 

(写真・文)
森井智之

 

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