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「二輪車の安全運転を考える」シンポジウム2025 レポート

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  • 2025.10.27

「二輪車の安全運転を考える」シンポジウム2025の講義内容をレポート。電動モビリティや高校での安全教育、先進ブレーキ技術など最新動向を紹介。

2025年9月11日(木)に開催された、「二輪車の安全運転を考える」シンポジウム。
2021年から行われていて、今回で4回目となります。
主催は、一般社団法人 日本二輪車普及安全協会。
二輪と社会との調和を求め「より安全で快適なバイクライフを過ごせる社会」の実現をめざす団体です。
当日行われた講義の様子を伝えます。
 

今回の講義は、4名の講師が行いました。(左から)
石山孝明氏 千葉県警察本部交通部理事官 兼 交通部交通総務部付 千葉県 警視
坂本篤氏 山梨県立北杜高等学校 教頭
谷一彦氏 本田技研工業株式会社 二輪・パワープロダクツ電動事業統括部 エキスパートエンジニア
菅原一樹氏 一般社団法人 日本自動車連盟(JAF) ロードサービス部技術課

 

(以下の写真は、他の機会で撮影したものを使用しています)

 

  • 電動モビリティとは?

千葉県警 石山氏の講義は「電動モビリティに係る交通安全対策」
石山氏は、電動モビリティの安全対策および交通事故防止対策全般を担当。

 

電動モビリティとは原動機に「電動機」を用いる車両で、車体の大きさや「定格出力」等で車両を区分。
20kw超      大型自動二輪車
1.0kw超~20kw  普通自動二輪車
0.6kw超~1.0kw  普通自動二輪車(原付二種)
0.6kw以下     原動機付自転車(原付一種)

電動キックボードは「特定小型原動機付自転車」に区分(自転車タイプもあり)。
令和5年7月1日に道路交通法が施行。通行方法等に関する既定を整備。免許不要(16歳未満は運転禁止)。
車体の大きさ : 長さ190cm、幅60cm。原動機 定格出力 0.6kw以下。
AT、その他のクラッチ操作を要しない機構。走行中は最高速度の設定変更は不可。

 

それ以外の原動機付自転車は「一般原動機付自転車」に定義。
一般原動機付自転車(原付一種) : 免許必要。法定速度30km/h。ヘルメットの着用は必須。
ペダル付き電動バイクはペダルのみでの走行の場合でも、交通ルールは原動機を使用した場合と同じ。

 

さらに電動キックボードは、最高速度の違いにより2つの区分に分かれます。
特定小型原動機付自転車 : 最高速度 20km/h(歩道走行不可)「最高速度表示灯 : 点灯」
特例特定小型原動機付自転車 : 最高速度 6km/h(標識設置の歩道は走行可)「最高速度表示灯 : 点滅」
いずれも、灯火器類、方向指示器、ナンバープレートなど保安基準に適合が必要。自賠責保険に加入。
ヘルメット装着は努力義務。交通事故は必ず通報(110番)。
車道の左側を通行。右折は二段階右折。信号や標識を守る。飲酒運転は禁止。
横断歩道は歩行者優先。ながら運転は禁止。二人乗りも禁止。

電動モビリティに係る交通安全対策
特例、特定、原付の区別が付きにくい、それぞれのルールなどに対しては各種チラシを作成。
1.交通ルールの周知に向けた広報啓発活動の推進。
2.販売事業者の把握と指導(適切な車両区分の認定。販売車両に応じた指導)。
3.シェアリング事業者等との協議・連携、意見交換。

原付2025年問題
2025年11月から施行される、二輪車排出ガス規制への対応。
現行ガソリン車の原付一種では、基準を満たすのが難しい(すでに購入している原付は対象外)。
新基準原付は、総排出量50cc超125cc以下、最高出力の上限は4kw(5.4ps)。交通ルールは現行と同じ。

 

最後に「交通環境の変化に、敏感に対応してもらいたい」とおっしゃっていました。
 

  • 高校生による原付通学

山梨県立北杜高等学校 坂本篤氏の講義は「高等学校における二輪車安全運転教育指導」
長年、高等学校の「安全教育」にあたるベテラン教員。ハーレー ロードキング所有。
山梨県北杜市は「清里」などがある豊かな水資源の冷涼な気候の地域。アニメ「スーパーカブ」舞台の地。
原付免許取得者は、67人(3年)、58人(2年)の計125人。通学者は58人(3年)、50人(2年)の計108人。
 

交通安全指導は、4月の登校指導から原付通学許可式、原付免許取得許可式など年間計画を作成。
原付免許取得率(令和4年)は、全国2.3%、山梨県11.1%に対し、北杜高校は40.8%。
免許取得は、交通機関が発達していない地域からでも通学が可能となるなどメリット大。
通学に利用しなくても原付免許の取得が可能で、気軽にコンビニなどに自分で行けるように。

交通事故、交通違反、危険運転等に対して「反省会」を四半期に一度実施。
生徒個々に書面で自身の事故・違反の内容を振り返り、原因と対処、今後の意識などを書面で提出。
原付免許保持生徒への意識調査のアンケートを実施。免許取得の目的や家族の協力などを解答。

 

車両購入の際に重要視した項目では「車両価格」がトップ。2番目は「燃費」。
令和4年は学校推奨のスクータータイプのみでしたが、現在は8台のカブを駐輪場で確認。
高校卒業後の自動二輪免許取得、運転に関心があるのは35%。
電動モビリティの対応は、今後の課題とおっしゃっていました。
学校が、生徒の安全運転教育に積極的に関わるところが興味深かったです。

 

  • 先進ブレーキ技術とは?

本田技研工業株式会社 谷一彦氏の講義は「 ホンダ二輪車安全技術への取り組み 先進ブレーキ編」
1983年 本田技術研究所に入社。
世界初の機械式ALB(アンチロックブレーキ)や、ブレーキバイワイヤシステムを開発。
現在はEV車開発担当ながら、足まわりの技術は同じとのことです。

ホンダの安全関連技術への取り組み
1970年にホンダ安全運転普及本部を設立。技術だけでなく教育・安全にも力を入れる。

 

安全目標
2010年 : 250cc以上の二輪車にABS付き連動ブレーキ装着車の目標を設定(2004年8月発表)
2030年 : ホンダ車が関与する交通事故死者半減(2020年比)。
2050年 : 交通事故死者ゼロを目指す。

 

2016年に欧州、2018年に日本で先進ブレーキの義務化を制定。

予防安全技術の紹介
教育機器 : ライディングシュミレーター、ライディングトレーナー
被視認性向上 : 幅広ポジションランプ、昼間点灯
回避支援技術 : ブレーキシステム(アンチロックブレーキ、コンビブレーキ)
被害軽減技術 : 乗員保護(エアバッグ、ボディプロテクター)

ホンダの二輪ブレーキ開発のねらい = コントロール性が良く、より高い効力を得やすくすること。
操作性 : 従来ブレーキの改良
利便性 : コンビブレーキシステム(CBS)装備(小型車メイン)
安心感 : アンチロックブレーキシステム(ABS)装備(中~大型車メイン)

 

ホンダはCB750 FOUR(1969)に、世界初の二輪量産車用ディスクブレーキを装備(前輪)。
ディスクブレーキによって二輪車の大型化、高速化に対応するブレーキ性能を達成。

CBS
一方のブレーキ操作のみで、前輪・後輪のブレーキ作動を連動。
ブレーキ過大入力時は常に前輪より先に後輪がロックするため、前・後輪に制動力を配分し短く止める。
後輪ブレーキを主体に使うライダーに、CBSでより短く止まる技術を提供。
1976年に長時間レースでのライダー披露軽減を目的にCBSを初トライ。
ゴールドウイング(1982)に、ホンダ2輪初のCBS搭載。

ABS
1959年5月に本田宗一郎氏が特許出願。1961年11月公告。
車体を「最短距離」で停止(減速)するには、前後輪がロックする寸前の状態でコントロールすること。
車輪ロックを感知するには、経験と相当の技量が必要。ABSが車輪ロックを回避し車両を安定化。
ABSにより車輪ロックによる車体不安定を回避し、ライダーは安心して強いブレーキ操作が可能に。

IMU(慣性計測装置)
走行中のバイクの体勢や動きを検出する装置。
ABSはIMUの活用により、より正確なバイクの挙動を認識できるようになり、車体状態を推定。
リアリフト軽減、旋回ABSなど、ABSの追加機能が可能に。

 

ITS(通信技術)
今後は、ITSを衝突安全・負傷軽減などに活用。緊急時にはハードが使えないライダーを手助けも。
これまでの技術の適用拡大に加え、安全・安心ネットワークに関する様々な技術の開発を継続。
ライダーをサポートする技術の数々が、現代のバイクの乗りやすさに繋がっているのが理解できました。


■二輪車ロードサービスの取り組み 

一般社団法人 日本自動車連盟(JAF) 菅原一樹氏の講義は
「二輪車のロードサービスと二輪アタッチメントの開発について」
2006年入職。2023年に本部ロードサービス技術課に移動。

 

JAFは、さまざまなバイクのトラブルに対応。
バッテリー上がり、燃料切れ、鍵の閉じ込み、タイヤのエア抜け、倒れたバイクの引き起こしなど。
お世話になった人も多いかと思います。
 

2005年 二輪車へのロードサービスを全国一斉に開始。
2024年度の二輪救援件数は、2020年度比で約31%増加。

 

出動理由 TOP 5
(一般道)過放電バッテリー、タイヤのパンクなど、破損/劣化バッテリー、事故、キー閉じ込み
(高速道路)燃料切れ、タイヤのパンクなど、事故、過放電バッテリー、発電機/充電回路

 

二輪アタッチメント(2022年 導入)
従来のバイクトラブルは、車載車や多目的サービスカーを用いて荷台に載せて搬送。
二輪車の搬送対応が可能な車両は、全体台数の約17%のみでした。
ロードサービスカーの主要であるレッカー車を使ってけん引搬送に対応出来る二輪アタッチメントを開発。
導入後は二輪車のけん引搬送に対応できる車両は、約2.5倍(約44%)に増加。
アタッチメントは、レッカー車に分割して搭載し現場で組み立て。
原付~大型バイク(~1300cc程度)に対応。約20分で搬送準備が完了。

 

今後も二輪車ユーザーが安心して移動を楽しんでいけるよう、体制強化や優待サービスを充実。
今回も興味深い話しが聞けて、充実した時間となりました。下記サイトの情報も要チェックです。

 

日本二輪車普及安全協会
https://www.jmpsa.or.jp/

 

制作・協力

(取材協力)
一般社団法人 日本二輪車普及安全協会

(写真・文)
森井智之

 

 

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