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人とくるまのテクノロジー展 2025 YOKOHAMA イベントレポート Part 3

  • おすすめコラム
  • 2025.06.11

これからのバイクは、一体どうなっていくのでしょうか―――バイクの未来を感じるイベントレポート、part3.です!

2025年5月21日(水)~23日(金)に開催された「人とくるまのテクノロジー展 2025 YOKOHAMA」。
このイベントは、公益社団法人 自動車技術会が主催。会場は、神奈川県のパシフィコ横浜。
二輪車関係製品の展示と、注目の展示をレポートします。

人とくるまのテクノロジー展 2025 YOKOHAMA イベントレポート Part 1 ホンダ
https://www.moto-auc.com/report/column/2025-yokohama-part-1

人とくるまのテクノロジー展 2025 YOKOHAMA イベントレポート Part 2 ヤマハ
https://www.moto-auc.com/report/column/2025-yokohama-part-2
 

出展社数550社以上・小間数1,460小間以上の大規模イベント。
今年のテーマは「新技術との融合で、モビリティの未来へ」。
イベントは横浜会場での展示に加え、オンライン展示会も開催。

横浜会場は最先端技術と車両が一堂に会し、特別展示や出展ブースなど多彩なコンテンツを用意。
来場者は自動車関連メーカー勤務者や学生などに加え、自動車技術に興味がある一般の人も入場が可能。
3日間合計で、約8万人が来場しました。(入場無料。事前登録制)

 

  • スズキ ブース!

スズキ ブース
興味深い2台のバイクを展示しました。

eアクセス
インド生産の新型EVスクーター。スズキ二輪車における、バッテリEV世界戦略第一弾。
十分な航続可能距離と洗練された外観を持つ実用性に優れたスクーター。
従来のスズキ二輪車と同様に、ライダーの意思に忠実な走行フィーリングを提供。
 

セールスポイントは、長年の二輪車開発で培った「走る、曲がる、止まる」の基本性能の高さ。
高負荷な開発テストによる信頼性の高さと便利で実用性の高い装備。タイムレスなスタイリングデザイン。
生産国であるインドを中心に世界各国での販売を予定。インドでは、6月から販売を開始。
 

電動部品は全て新作を開発。モータ はスイングアーム前方に配置。Vベルトによる無段変速式。
回生ブレーキを搭載し電費向上に貢献。加速力、回生力、最高速が異なる3つのドライブモードを選択可能。
 


前後に長いシートの前方下に駆動バッテリを固定して配置。WMTCモード航続距離87km(社内測定)。
充電器はオフボード仕様とし、車両重量軽減及び荷室確保に貢献。シート下に、17Lトランクスペース。
インドでは、屋外でのコンセント増設が比較的容易なので固定式バッテリが好まれるそうです。
 

ジクサー SF250FFV (海外仕様モデル)

インドで発売した、バイオエタノール燃料に対応したフレックス燃料の二輪車(FFV)。
カーボンニュートラル社会の実現に向け、マルチパスウェイでの取り組みのひとつとして紹介。
カラーリングは、インドのショーで展示した特別版。

植物を原料とするバイオエタノールは、ブラジル等の一部の国では古くは1930年代から燃料として活用。
近年は欧州等の主要国でも、ガソリンへのエタノール混合率が増加し利用が拡大。
インドでは混合率が20%まで高められただけでなく、燃料用エタノールも販売を開始。
 

高濃度エタノール燃料では、金属部品の腐食や燃焼室周辺部品の摩耗が問題に。
これらに対処するため、従来のガソリン車からエンジン・燃料系部品の材質・表面処理を変更。
バイオ燃料85%までの混合燃料を使用できるようにインジェクター、燃料ポンプ、エンジン制御を改良。
ヘッドライト上のプレートは、ナンバープレート用ブラケット。
 

FFVではタンク内燃料のエタノール濃度を認識し、使用している燃料に合わせた燃料噴射制御が必要。
本機種では高価な装置を使わず、O2センサーの出力からエタノール濃度を推定するシステムを採用し対応。
始動性に問題が生じる可能性がある環境温度、燃料状態を認識するためのインジケーターを追加。
スピードメーター内にガソリン濃度警告灯、低温環境警告灯を配置。
ユーザー自身が、タンク内燃料のエタノール濃度を管理して始動性を確保。
後輪左サイドには、インド人女性の民族衣装「サリー」巻き込み防止用の「サリーガード」を装備。

いずれも日本未発売モデルの展示なので、多くの来場者が説明員に質問をしていました。

 

  • 電動バイク!

Astemo(アステモ) 二輪車向けEVソリューション(EMS、BMS、eアクスル)を紹介。

自動車向け開発で培ったEV技術を活かし、二輪車向け製品に展開。

 

eアクスル

エレクトリックパワートレイン。エンジンから置換可能なサイズを実現。

アクセル操作、ブレーキ操作の情報や、モータ、バッテリ監視などで、安全で楽しい電動二輪車を提供。

 

モーターサイクル技術開発の方向性をパネルで紹介。

短期ではパワートレイン、サスペンション、ブレーキ技術のコラボレーションでの進化。

中期ではEVバイクの普及や安全ニーズの高まりに対して、小型・廉価なシステム製品を提供。

長期では環境にやさしく安全で、人々のQOLを向上させる二輪モビリティの実現をソリューションで貢献。

ジヤトコ 電動バイク用ドライブユニット

年間7,000万台超の中国市場を皮切りに東南アジア圏、インドへのビジネス展開を狙った製品。

モーター×2段変速機構で、力強い駆動力と最高速を提供。中国現地開発。

最大トルク250Nm、最高速度100km/h、登坂性能30°(57%勾配)と驚きの性能です。

 

トップ 次世代多様型電動パワートレインの提案。

世の中の多様なニーズへ対応する、新たなパワートレインの開発をスタート。

3社が得意分野で共同し、超小型モビリティやゴルフカートなど、各種用途に最適なパワートレインを提供。

モータ(トップ)、インバーター(カヤバ)、減速機(大同工業)をモジュール化した、柔軟な搭載性能。

 

日本航空電子工業 高信頼型 電動二輪車用充電プラグ KW41を参考出品。

内部の活電部は防水・防塵仕様。嵌合部やケーブルの保持強度は750N。インターロック機構。

アイシン

電動車の電費や乗り心地を向上させる「将来ブレーキシステム(株式会社アドヴィックス)」を展示。

電動ディスクブレーキによる、車両の電動化、安心・快適な乗り心地に貢献。

ユニット分離や配管レスにより搭載の自由度を向上。ブレーキフルードレスによる環境負荷低減。

回生協調ブレーキの制御拡大により、エネルギー回収最大化。

ABS、スムーズストップなどの性能向上。高い応答性により制動距離を短縮。

 

  • 水素エンジン!

HySE (ハイス) : 水素小型モビリティエンジン研究組合
小型モビリティ向け水素エンジンシステムの研究を行う技術研究組合。
水素エンジンにおける技術の確立・信頼性確保と、水素供給システムの構築・安全性対応を研究実証。
二輪4社(カワサキモータース、スズキ、本田技研工業、ヤマハ発動機)を中心に活動。
過給直噴水素エンジン 水冷4ストローク並列4気筒 998ccエンジン
 

小型モビリティ向け内燃機関と、小型モビリティ用タンクおよび燃料供給系構成要素の基礎研究を実施。
自然吸気筒内直接噴射 吸気ポート噴射水素エンジン 単気筒124ccエンジン
 

モーターサイクル用水素エンジンにおける熱琉束計測
水素燃料使用の課題解決に向けて、燃焼室内における状態を測定・評価。
水素エンジンのシリンダーヘッド、シリンダーを展示。
水素燃焼状態を、センサとハイスピードカメラで可視化。
 

日本特殊陶業(Niterra) 水素エンジン向けスパークプラグ(開発中)
水素エンジンの課題を解決し、カーボンニュートラル社会へ貢献。
 

豊田合成 ポータブル水素カートリッジ
水素エネルギーを暮らしの幅広い場面で活用できる「ポータブルタンク」。
安全かつ手軽に水素を持ち運び、各種機器の燃料源として使用可能。
 

カーボンニュートラル燃料技術センター(JPEC) 高圧水素容器(Type 3)カットモデル
水素ステーションにおける蓄圧器用途の複合圧力容器。
アルミ合金のライナーに樹脂含浸炭素繊維を巻きつけ加熱硬化(CFRP)して、強度を増した容器。

脱炭素社会の実現に向けた展示では、水素活用の課題解決に向けた知見や技術を見ることできました。
今回も注目製品がたくさんあり、会場は終日すごい熱気でした。

 

制作・協力

(取材協力)
公益社団法人 自動車技術会 
 
(写真・文)
森井智之

 

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