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【遠藤イヅルの名車カタログ】第27回 スズキ・T500

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  • 2017.05.13

毎週イラストレーター遠藤イヅル氏による名車・珍車を紹介するコーナーです。今回の名車は、1968年発売、スズキ大型2スト車の元祖となる『スズキ・T500』です。

■スズキ・T500  ■エンジン:空冷2サイクル2気筒492cc

■最高出力:47PS/6.500rpm ■最大トルク:5.5kg-m/6,000rpm


1960年代に入りバイクの種類も増え、排気量の大きなモデルも

国産バイクメーカー各社が用意するようになった。

ホンダは1965年に量産型の大排気量車では初のDOHCを採用したCB450を、

カワサキは戦前から500ccや600ccエンジンを製造していた

メグロの影響を大きく受けたW1(650cc)を発売していたが、

これらはいずれも4ストエンジンだった。


スズキは2ストを得意とするメーカーとして、

当時では大排気量2ストエンジンの開発は難しいという常識を打ち破るべく

1967年に「ファイブ」という名の500cc試作バイクを

東京モーターショーに出品した。


2ストで500ccというエンジンは当時画期的だった。

過去にチャレンジしたメーカーが無かった訳ではないが、

振動、冷却などに多くの問題を残していた。


だがスズキは特に難題だった冷却の問題をクリアし、

翌1968年に、その量産モデルとして「T500」を発表。

ついに発売にこぎつけたのだった。

これには1965年に登場したスポーツモデル「T20」から受け継がれた、

「CCI(Cylinder Crankshaft Injection)」

と称するスズキ独自の分離給油方式の採用が大きくアシストした。

CCIはGPレーサーから受け継がれた画期的な技術で、

当初は「セルミックス」とも呼ばれた。


性能的には最高出力47psと抑え気味ではあったものの、

それでも2スト500ccのインパクトは絶大で、

ゴールドのカラーリングや高い仕上がりと相まって

北米でも人気を得るモデルとなった。


T500は1968年にマイナーチェンジを受けて「GT500」と呼ばれるようになり、

1960年代風だったメッキタンクを廃止してモダナイズされた。

1972年には3気筒エンジンを採用した後継車「GT550」が登場したことにより、

そのモデルライフを終えている。


なお、T500は北米では当初「コブラ」というサブネームが与えられていたが、

1969年からは「タイタン」となった。

その名は、今なお親しまれ続けている。

制作・協力

(イラスト・文)遠藤イヅル

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