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【遠藤イヅルの名車カタログ】第29回 カワサキ・ザンザス
- おすすめコラム
- 2017.06.16
毎週イラストレーター遠藤イヅル氏による名車・珍車を紹介するコーナーです。今回の名車は「現代版・4ストのマッハ3」と称された「ザンザス(XANTHUS)」のご紹介です。特徴的な車名の由来はギリシャ神話に出てくるアキレスの愛馬の名だそうです。
■カワサキ・ザンザス(XANTHUS) ■エンジン:水冷4ストロークDOHC4気筒398㎝³
■最高出力:53ps/11500rpm ■最大トルク:3.7kg-m/9500rpm
カワサキといえば手に余るような大パワー、乗り手を選ぶような性格を持つ
「漢(おとこ)らしいバイク」を数多く輩出して来た。
1980年代末にピークに達した400ccの高性能バイク競争には
カワサキも参加していたが、
1989年、そのカワサキ自らがレーサーレプリカ合戦に
水を差すように投入した「ゼファー(ZERHYR)」は、
カウルも無く派手なカラーリングも持たない「ネイキッドバイク」
という新しいムーブメントを起こすことに成功した。
デザインまでもがかつての「Z」を思い起こさせるものだった。
しかし、1992年になってカワサキは、
また違った角度でネイキッドバイクを送り出してきた。
それが、「ザンザス(XANTHUS)」だった。
誰もが楽しめるモデルとして人気を博したゼファーだが、
その一方で「カワサキらしいキレっぷり」が無かったことも、確かだった。
そして、ザンザスはその鬱憤を晴らすかのような高性能モデルとして登場した。
エンジンはレーサーレプリカZXR400の
直4DOHC4バルブユニットがベースとされ、
カムプロフィールを変更するなどして
中低速域でも乗りやすく設定しなおされていた。
それによってザンザスは400ccとは思えない凄まじい加速力を得ていた。
目を引く独特の形状を持つフレームレイアウトと角目のヘッドライトは
ゼファーのトラディショナルなスタイルとはまったく違っており、
「現代版・4ストのマッハ3」というコンセプトを掲げた
カワサキのザンザスに掛ける意気込みを感じるようだった。
だが、ネイキッドブームを持ってしても、
この過激な性格のバイクは市場で理解されること無く、
1995年でその姿を消すことになった。
生産台数はわずか2600台ほどだと言われている。