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【遠藤イヅルの名車カタログ】第30回 ホンダ・CR93
- おすすめコラム
- 2017.07.02
毎週イラストレーター遠藤イヅル氏による名車・珍車を紹介するコーナーです。今回の名車はドリーム50への流れを汲むCRシリーズの中から「CR93ストリート」のご紹介です。ホンダお得意の”カムギアトレーン”がこの頃からあったことに驚きです。
■ホンダ・CR93 ■エンジン:空冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ124.9cc
■最高出力:16.5ps/11500rpm ■最大トルク:1.05kgm/10700rpm
ホンダのバイクは1950年代からすでに世界を席巻する技術力を持ち、
1961年には英国マン島TTレースの125ccクラスでの勝利、
ロードレース世界選手権125/250ccで数多くの勝利を重ねて
コンストラクターズチャンピオンに輝くなど、
目覚ましい活躍を見せていた。
その技術を余すこと無くフィードバックしたのが、
1962年に発売された市販レーサー、CR110、CR93、CR72だった。
排気量はそれぞれ50/125/250ccである。
なかでもCR110とCR93は
市販レーサーゆえ公道仕様が存在しなかったCRシリーズでも例外的な
「ロードバージョン」が用意されていたことで知られる。
これは、1962年のみMCFAJ(全日本モーターサイクルクラブ連盟)が
ノービスクラスの車両規定に運輸省の型式認定を必要としたために、
50台以上の市販車生産が行われた結果による。
CR93の124.9cc直2DOHC4バルブエンジンは
カムシャフトをカムギアトレーンで駆動していた。
ワークスマシンRC145のノウハウが投入され、
125ccながら最高出力16.5psを発生、
チューニングによってRC145の24psに近い数値まで
パワーアップが可能だった。
細長く美しい10ℓの容量を持つガソリンタンクは
公道用とレース用で素材が異なり、
前者はスチール、後者はアルミ製だったほか、
ホイールのリムの素材や、フロントのドラムブレーキなど、
公道用とレース用では細かな違いが数多く見られたが、
いちばんの差異は公道用にはヘッドライトなどの保安部品が
装着されていたことだった。
レーサーがそのまま公道用として市販されたこと、
またその台数の少なさから、今もって公道用CR93の人気は高い。