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【バイクライフ】人と人をつなぐバイク ~多田憲正さん追悼記事~

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  • 2021.10.01

【KAZU中西の鋼騎馬ラプソディ】vol.146。デザイナーとしてバイク業界に貢献された、多田憲正さんの追悼記事をお送りします。

【Zの父、永眠】


20年以上前に出会い、僕の人生に大きな影響を与えたインダストリアルデザイナー・多田憲正さん。


6年前に大動脈解離を患い、手術するか否かの相談を受けた際、「術後、面会できるようになったらZで来ますよ!」と返事。


同年にZ750FOURベースのスペシャルマシンを制作。多田さんが携わったカワサキ250A1&A1Rのグラフィックデザインを落とし込んだそのマシンは、多田さんによってカズ兄のZ2と命名。


病と闘う多田さんを元気づけるため、僕はカズ兄のZ2を駆り、毎年のようにご自宅を訪問しました。


僕にとってはデザインのみならず、二輪業界人としての分析力について、ご自身の経験をもとに教えてくださった多田さん。俗にいう先生と生徒の関係に似ていますが、どちらかといえば年の離れた親友のようなお付き合いをさせていただきました。


その多田憲正さんが2021年8月19日10時10分に永眠。その知らせを出先で聞いた僕は、何とも言えな空虚感に支配されつつも、多田さんの生きざまから学んだ社会貢献へ責任と喜びを継承する者のバトンを受け取ったように思いました。


物質世界に永遠はないですが、多田さんが多くの人に与えてきた影響やインダストリアルデザイナーとしての功績、人としての生きざまは忘れられない限り語り継がれていくはずです。


カワサキ在籍時代は、A1からゼファーまで関わったという多田さん。中でもZ1は、多田さんのデザインが無ければ生まれなかった伝説の名車となっています。


僕はカズ兄のZ2に乗るたび、多田さんの笑顔を思い出し、走り続けていきたいと思います。ご冥福をお祈りいたします。

  • Zの音を聴けて元気もらったよ

神戸から三重県津市に移住した多田さん。さかのぼること6年前、ちょっと話したいことがあるから遊びに来て!と電話があった時、メールアタッチで多田邸のイラストが添付されていました。


これなら迷わずに行ける!いかにも多田さんらしい気遣いでした。



僕は多田さんに命名頂いたZ2を駆り、年1~2回のペースで多田邸を訪れました。


当時は闘病中につき、面会時間は30分から1時間程度でしたが、手術前よりも濃密なひと時を過ごせたように思います。


多田さんは、「Zの音を聴けて元気もらったよ」と、喜んでおられました。


カワサキ製品以外では、ダンロップのゴルフ用品のデザインにも携わった多田さん。


僕はオンオフ問わずストリートなら万能に楽しめるタイヤとしてダンロップのTT100GPを履かせていますが、そんなところにも縁を感じます。

  • ガンガン走らせることが使命


カズ兄のZ2は、とにかくガンガン走らせることが使命だと思っています。よって、サーキット走行も辞さない。


デザインとしてはノーマルの4本出しマフラーが良いことは承知していますが、サーキット走行やイベント展示ではモリワキワンピースマフラーに換装しています。


多田さんから教わった、性能の可視化を実践。


スパークプラグやドライブチェーン、タイヤ、ブレーキパッド、エアフィルターなど、基本的なメンテナンスで性能を維持しているカズ兄のZ2。


現行車と同様に扱っているので、カスタムパーツの検証にも使っています。高効率フローがエンジンパフォーマンスの向上に貢献するだけでなく、洗浄することで繰り返して使えるオイルフィルターK&Pは、1年以上経過しても全く問題なし。ちょっと固めかな?と思うモトレックスのトップスピード4T・15W-50ですが、過走行の空冷エンジンにマッチしているようで、同オイルの10W-40よりエンジンの吹き上がりがシャープに力強くなりました。


そんなこんなで、トータル走行距離が11万kmを超えてしまったカズ兄のZ2。外装に経年劣化はありますが、機関的には全く問題なし。ただし、マフラーの傷みは増えてきたので、要メンテナンスという感じです。



8月29日に開通した中部横断道の静岡山梨区間を見てきました。走ってみれば、トンネル区間が多くて面白みに欠けますが、時短効果は絶大です。こんな最新の道路を歴史のある名車で走れる幸せ。Zってやはり、凄いバイクなのです。



三重県津市に所在する多田邸。三重県と言えば鈴鹿にモリワキエンジニアリングあり、伊勢に親友の墓があり、伊賀市とも縁があって、よく訪れています。近年は松阪駅前にあるあら竹さんにお邪魔しています。目的はモー太郎弁当をはじめとする美味しい駅弁の数々。付き合って同行してくれる仲間たちに感謝です。
  • 受け継がれていく心


歴史ある伝説の名車Zですが、現代の若者にも人気です。


僕が多田さんから教わってきたことを、彼らに受け継いでいかねばと思います。



数々の伝説や功績を残して、国替えした多田憲正さん。以前のように談笑することはかないませんが、僕の心の中では今でも生き続けています。


多田さんはデザイナーという立場で社会貢献をなさいました。沢山いただいた言葉の中で特に印象的なのは、カズ兄のZ2を披露した時のコメント。


「カワサキ750RSだけがZ2に非ず。丸形タンクデザインの900㏄モデルはZ1、750㏄モデルがZ2。同じ僕のデザインから生み出されたバイク。そんな子供たちを大切に乗ってくれる人々が、皆で仲良くして末永くZを愛し続けてもらいたい」


僕はジャーナリストとして、多田さんから教わった愛車精神、関わる人同士の真心と思いやり、ひいては社会貢献への心を継承していきたいと思います。

制作・協力

■ライター:KAZU中西

フリーランスのモータージャーナリスト。通称カズ兄さん。イベントMCやラジオDJ(FMIS・カズ兄さんのモーターレボリューション)などタレント業でも活躍。観察分析力に定評があり、開発に携わったバイク用品やカスタムパーツも多数。一方では、二輪車の事故防止&安全利用の最前線に立つ『Mr.事故ゼロ』とも呼ばれている。愛車はスペシャルメイドのZ2他。趣味はプレジャーボートのクルージング。

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