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【遠藤イヅルの名車カタログ】第34回 ヤマハ・FZ250フェーザー

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  • 2017.08.21

毎週イラストレーター遠藤イヅル氏による名車・珍車を紹介するコーナーです。今回の名車は、レプリカブーム前の1985年に250㏄4気筒で登場した「FZ250フェーザー」のご紹介です。後に「FZR250」やネイキッドモデルの「ジール250」のエンジンにもなったモデルです。こういう「時代を攻めるバイク」ってイイですね。

■ヤマハ・FZ250フェーザー(1HX) ■エンジン:水冷4ストローク4気筒DOHC4バルブ249㏄

■最高出力:45ps/14500rpm ■最大トルク:2.5kg.m/11500rpm


バイクの歴史は常に厳しいライバル車との戦いだが、

1980年代の250ccバイクもその限りではなく、

ヤマハが2ストのスーパースポーツ「RZ250」を1980年に出せば、

一方のホンダは35psを11000回転以上で稼ぎだす

脅威の4ストVツインモデル「VT250F」を1982年に投入して追随。

しかも「250ccのカブ」とまで言われるほどの乗り易さまで備えていたVTは

このクラスのベストセラーモデルにもなった。


だが、ヤマハとしてもVTの躍進を指をくわえてみている訳にもいかず、

VTに立ち向かうべく1985年に「FZ250フェーザー」を送り出した。


フェーザーのエンジンは4スト直4DOHCを採用していたが、

このエンジンはレッドゾーンが16000回転という超高回転型ユニットで、

RG250Γが達成していた45psという数値を

4ストながら14500回転という高い領域で叩き出していた。

とくに高回転時は「ジェットサウンド」に例えられる独特のサウンドを出し、

ファンを魅了した。


だが、RZのような高出力2ストエンジンほどピーキーではなく

超高回転型の性格なのに(2ストに比べれば)乗り易いパワーユニット、

16インチを採用したことによる軽快さを押し出した操縦性、

レーサーレプリカとは方向性の異なる未来的で洗練された鋭角的なフェアリングを持つ

親しみ易いスーパースポーツとして、フェーザーは人気を博した。


ところがバイク業界全体がレプリカブームへとより一層傾倒していったため、

このように新機軸を打ち出した新しいモデル・フェーザーの後継モデルは、

デュアル丸目ライトとフルフェアリングを持つレーサーレプリカ「FZR250」となった。


たった2年でフェーザーの方向性が大きく姿を変えてしまったことに、

この時代の流れの早さを強く感じさせる。

制作・協力

(イラスト・文)遠藤イヅル

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