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みんなで選ぶバイクオブザイヤー

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  • 2023.01.23

【KAZU中西の鋼騎馬ラプソディ】vol.161。2022年12月14日に開催された「第5回日本バイクオブザイヤー2022」のレポートです!

2022年12月14日、第5回日本バイクオブザイヤー2022の表彰式が催されました。対象は2022年モデルのオートバイ。選考基準はノミネートされたオートバイの中から、人気・機能・デザイン等に優れたオートバイを、WEBによる一般投票と審査委員による投票の合計ポイントによって選出するというもの。簡単に言えば、利害関係や忖度無しで、その年に皆さんが一番いい!と思った車両が選考結果として現れます。

 

  • 日本に永続的なオートバイ文化を根付かせるためのアワード

日本は欧米諸国に比べて、オートバイ産業は遅れてスタートしました。しかし、戦後約70年で、世界でも類を見ないほど発展。日本製オートバイは世界最高品質にあると言えます。その一方、社会における認知度や親和度としては、未だ20年30年、欧米諸国に遅れていると言われます。ハード面では世界一なのに、ソフト面ではそうなっていない。

 

とは言え、単に欧米諸国に追いつき並べばよいという事でもないと思います。「日本ならではのオートバイ文化を各人が見つめなおし、安全で楽しい乗り物、万が一の時にも活躍できる機動性、ライダーの社会的地位向上など、国内はもちろん世界に向けて発信することが、日本のオートバイ文化の根付きになると思います。単なる趣味趣向の強い道楽として終わるのではなく、次の世代にも脈々と受け継がれるようなオートバイ文化が身近にあるベースを作りたい」僕はこの考え方に共感し、AMAC日本二輪車文化協会の一員となりました。

 

そのAMACが主催する日本バイクオブザイヤーは、オートバイに乗る・乗らないに関わらず幅広い層に認知、注目されるアワードを目標に発足。2022年で5回目となりました。

 

大鼓の打ち開きで開式される日本バイクオブザイヤー。毎回思うのですが、鼓の調べに心のざわつきがなだめられ、冷静に会を進行できるような気がします。演者である能楽師・文化庁日本遺産大使の大倉正之助氏は、若いころからオートバイに乗り続けているタフネスライダーでもあります。「戦国時代、日々生死をさまよう中で、この鼓を打ち込み人は天・地・人、一体となる。鼓の調べに癒され、また励まされて明日への活力にしていたと思うわけです。そういう戦国時代の武士たちの精神、それを逆に受け継ぐ鼓というもの。…中略…オートバイは現在の馬であり、またライダーたちは「もののふ」の姿にかぶるところもあります。やはり自分自身でしっかりと制御をし、決して過信することなく誤ることなくいうそういう生き方を何かそこに表わせる。精神、これは文化ではないかと思うわけです」(大倉正之助)

 

今回は原付、軽二輪、小型二輪、外国車、電動の各クラスから最優秀金賞1台、金賞2台を選出。さらに総合ポイントの最も高い車両が大賞となります。各賞には表彰状のほか、クリスタル盾も贈呈されます。

  • やっぱり!意外だ…。様々な感想の受賞車たち

過去4回の大賞受賞車は次の通り。2018年(第1回)カワサキZ900RS、2019年(第2回)ホンダスーパーカブC125、2020年(第3回)ホンダCT125(ハンターカブ)、2021年(第4回)カワサキNinjaZX-25R。振り返ってみれば、大排気量&ハイテクノロジー車が必ずしも大賞に選ばれるとは限らない。別の表現をすれば、その年の民意が如実に反映されているともいえます。

 

原付部門はNMAXABSとスーパーカブ110が金賞、ダックス125が最優秀金賞となりました。

「MAXシリーズならではの、走りの素晴らしさ。ブルーコアエンジンという新しいエンジンを採用しておりますし、専用のアプリ用インストールすることによりまして、様々なその情報状況、車両情報情報が共有できる。そんな繋がるシステムも新たに搭載してございます。スポーツバイクのお客様、セカンドバイク、あるいは原付二種125からまずスタートしようといったお客様へ理想の商品。今後ヤマハは、125CCのこのサイズに様々な商品を投入していく予定です。ぜひご期待いただければなと思います」(ヤマハ発動機販売・宮本義信)

 

「スーパーカブ110、キャストホイールとディスクブレーキを装着して、今回の規制に対応してまいりました。スーパーカブは歴史あるホンダのファクトブランドでございまして、今のホンダを築いた二輪のモデルでございます。ビジネスユースだけでなく最近は女性も男性も若者もスーパーカブに乗って、ちょっとそこまでというようなレジャーにも使われております。これはATの二輪車の免許が普通免許を持っていれば、最短2日で取得されてるといったところの影響も大きいと思います」(ホンダモーターサイクルジャパン・赤坂正人)

 

「ダックスホンダという歴史あるプロダクトブランドを、現在の技術で再現したというモデルでございます。まだまだ少しお待ちいただいてる状態ではございますけれども、初めて当社でレジャーカテゴリーではピリオンシートを初めから装着していて、このまま2人乗りできるということで、いろんな遊び方ができるというふうに思います。早く皆様にお届けして楽しんでいただけるよう努力してまいりますので、よろしくお願いいたします」(ホンダモーターサイクルジャパン・赤坂正人)

 

軽二輪部門は、Vストローム250ABSとレブル250Sエディションが金賞、NinjaZX-25RSEが最優秀金賞を受賞しました。

「ゆったりしたボディーとGSX250Rで培った低速から力強い遺伝子を継承しまして、非常に多くのライダーの方にご賛同、支持していただいております。コロナ禍、皆さんで会う機会もちょっと少ないんですが、こういったバイクを利用しまして、1人キャンプまたバイクツーリング等もございますので、そういったお客様にこれからもご利用いただければいいんじゃないかなと思います。オートバイは唯一3密を避けられる乗り物として、今後ともご利用いただけると非常に嬉しく思います。Vストロームにつきましては、まだまだ発展形もございますので、今後ともよろしくお願いいたします」(スズキ2輪・沖津昌彦)

 

「2017年に市場投入致しましてもう5年経つんですけれども、たくさんのお客様にご愛顧いただいて、今では大体4万台以上の販売をしており近年にないヒット商品だと思っています。最近のインスタグラムとか皆さんのSNSでよくやられてますけれども、レブル女子はハッシュタグをつけて多くの女性がインスタグラムに写真を掲載しています。またハッシュタグレブルこれを数えますと18万件ぐらい。18万っていうと、SNSでいきますとホンダのフォロワーと同じぐらいございます。たくさんのそういった人たちがご購入いただいて、ちょっとそこまで次に行ったり、キャンプに行ったりというようなことと、やっぱり足つき性がいいということで女性に非常にご愛顧いただいている商品でございます。今後ともこういった商品を常設していきたいと思いますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします」(ホンダモーターサイクルジャパン・赤坂正人)

 

「NinjaZX-25RSE、クラス唯一の4気筒エンジンを搭載しまして、若い方からベテランライダーまで広く支持をいただいておりますが、現在カワサキでは、NinjaZX-25Rのワンメイクレースを開催いたしております。この企画は、1人でも多くの方にモータースポーツの楽しさを知っていただこうというところがございまして、まずサーキット体験走行のベースに参戦されるまで、一貫してサポートするプログラムで工夫をいたしております。今後もカワサキは、NinjaZX-25Rを通じまして、モータースポーツの普及にますます力を尽くしてまいりたいと思いますので、どうぞ皆様、ご支援ご協力をお願いいたします」(カワサキモータースジャパン・市原英夫)

 

小型二輪部門は、CBR1000RR-RファイアーブレードSP30thアニバーサリーとNinjaH2SXSEが金賞、Z900RS50thアニバーサリーが最優秀金賞を受賞しました。

「1992年に海外で最初に発売したのは、CBR900RRでございます。それから早いもので、あっという間に30年なんですけれども、思い出すのは2004年でしょうか。それまでテレビのCMでオートバイがウイリーをしたりサーキット走ったりということを社内で自粛、自主規制をしておりました。当時私は宣伝の活動をしておりまして、このCBR1000RR-Rの前身モデルであるCBR1000RRで、フィリップアイランドで撮影をいたしまして、30秒と15秒のCMを作りました。その中で、サーキットでスポーツモデルが久々にテレビの画面でウイリーして走っていくという、そういったCMを作ったという思い出があります。30年経ってちょうど30周年、2022年鈴鹿8時間ロードレースですね、30周年で優勝することができました。同時にこういったところで金賞をいただくことができました。31年目からもまたCBR1000RRRをよろしくお願いいたします」(ホンダモーターサイクルジャパン・赤坂正人)

 

「カワサキが誇るスーパーチャージドエンジンを搭載しまして、スポーツツアラーとして必要な機能を追求したモデルでございます。電子制御サスペンションやレーダーですね。常にカワサキの最先端の技術を投入した、そして施したモデルとなっております。これからますます進化するこのモデルへの皆様のご期待の現れないかと感じております」(カワサキモータースジャパン・市原英夫)

 

「この50周年記念モデルは、Z1の発売以来、50周年を終えたそのZシリーズを記念するモデルとなっております。専用の塗装とか専用のエンブレム等、こだわった仕上がりで皆様にご愛顧いただいてるんじゃないかと思います。Z900RSは、第1回のバイクオブザイヤーの大賞に選出していただいておりました。数多くの方にご愛顧いただき、そして本日もまたこの受賞の栄誉にあずかれるのは、この会の受賞が弾みになって、今に繋がったのではないかと考えております」(カワサキモータースジャパン・市原英夫)

 

外国車部門はストリートファイターV2とナイトスターが金賞、スポーツスターSが最優秀金賞を受賞しました。

「ストリートファイターV2は、スーパークワドロエンジン、シャシーとエンジンでワイドハンドルバーがとってもとっても楽しいバイクですから、多くのお客様に合うと思います」(ドゥカティジャパン・マッツ リンドストリーム)

 

「ナイトスターは、ハーレーダビッドソンの次世代を担う水冷のレボリューションMAX。これを積んだモデルでございまして3兄弟ございますが、いわゆる末っ子のようなたくさんの方に乗っていただくいわゆるエントリーモデルという位置づけのモデルでございます。ハンドリング、取り回し性を良くするために、低重心を実現するために、燃料タンクをシート下に配置するなど、大変意欲的なモデルとなってございます。そのため、たくさんのお客様にご愛顧いただいてるということでございます」(ハーレーダビットソンジャパン・野田一夫)

 

「1957年から長きにわたって愛されてまいりましたスポーツスターというモデルなんですけれども、イノベーションにフォーカス。ハーレーダビッドソンならではの進化を遂げまして、初めての水冷エンジン搭載のスポーツスターとして登場したのがこのスポーツスターSというモデル。歴史の部分、それから核心的な部分、その二つを持ち合わせたスポーツスターSというモデルがこういった素晴らしい賞をいただきまして、本当に嬉しい思い誠にありがとうございます」(ハーレーダビットソンジャパン・田中絵里)

 

電動部門は、E-ビーノとCE04が金賞、ジャイロキャノピーe:が最優秀金賞を受賞しました。

「E-ビーノは、東京12チャンネルの全国を旅する充電させてもらえませんかという番組で人気が高く続いてるわけなんですけども、この番組を見てバイク楽しそうだな、私も乗ってみたいな、そのような若い方がとても増えたというお話を聞いてます。さらに、私も原付バイクに乗ってみようかということで、レンタルバイク店に行って原付のスクーターを借りてプチツーリングを楽しむとか、そこから本格的に二輪車の免許を取っていただくお客様が増えてるということで、大変嬉しく思います。Eビーノに関しましては、2021年の12月から2022年の春先ぐらいまで、東京都板橋区の共同事業ということで、共同のバッテリーシェアリング事業をスタートして、新しいステップに今入っているというところでございます、2022年発売の新たなモデルに関しましては、外装はそんなに変わってないんですが、バッテリーの方を新型のバッテリーに付け替えをしてございます。いわゆる航続距離の方なんですけども、これまでより約10%向上したということで、充電させてもらえませんかの出川さんが航続距離、やばいよやばいよって言ったかは定かではございませんが、そういったお客様のニーズにしっかり応えるよう、さらにEVの良さがもっと出るような商品開発を進めていきたいと思ってございます」(ヤマハ発動機販売・宮本義信)

 

「昨今、EV化の流れが二輪車業界で加速してきているというところだと思うんですけれども、エンジンの上にまたがってバイクを操るという、魅力に感じて乗ってるライダーの方々からすると、やはりEVのバイクというのは少しやっぱりネガティブなイメージかどうかあるんじゃないかなと思うんですけれども、新たなカテゴリーとしてのEVならではの走りの楽しさだったり、スタイリングのかっこよさ、こういったものをお客様に提供できるような商品をさらに投入していければなと考えております。BMWとしては2013年の四輪モデル、おおよそ10年、電気自動車市場に投入してきたという実績がございますので、こういった技術等を2輪の方に導入していって、今後また更にEVのバイクの普及にも貢献していきたいなと考えております」(BMW・進雄太)

 

「まさかキャノピーが最優秀金賞を取ると、想定しておりませんでした。というのは、このジャイロキャノピーe:をはじめ、当社のビジネスEVには一般のユーザーには販売をしておりません。法人販売中心に販売をしております。EVシリーズでいきますとベンリィe:Ⅰという原付一種、Ⅱというのが原付二種クラスで、それからジャイロe:というのがありまして、そして4機種目このジャイロキャノピーe:なんですが、いずれもBSSを想定して開発をされてモバイルパワーパックeを搭載してるんですけども、一般販売をしないということで逆に世の中の役に立ってるところが評価されたのかというふうに今ちょっと驚いております。この後、昨年ヨーロッパでちょっとお見せしたパーソナルEVの発売を予定しているというふうに聞いておりますけれども、世の中に役立てられる、役立てていただいていることが評価されたかというふうに感じました。改めて選考していただいた皆様にお礼申し上げます」(ホンダモーターサイクルジャパン・赤坂正人)

 

  • 374ポイント差をつけて大賞受賞

2022年は総エントリー数70機種の中から、一般ユーザーによるWeb投票の合計ポイントで上位5機種のノミネート車両を選出、その中から16名の選考委員の審査投票により各部門賞と日本バイクオブザイヤー2022大賞が決定。なお選考委員に、いわゆるオートバイの専門家、モータージャーナリスト等は入っておらず、様々なジャンルのオートバイに興味のある方、好きな方が名を連ねています。言い換えれば、フラットな目線で選考された受賞車両たちで、バイクに詳しくない人からしても納得の結果だと思われます。

 

総合ポイントでは、NinjaZX-25RSEに374ポイント差をつけて、2022年の大賞に輝いたダックス125。

「ダックスについては、遡ること60年近くなりますでしょうか?1960年代にアメリカの方でモンキーが非常に好評を博しておりまして、それよりもう少し大きいオートバイが欲しいっていうニーズが海外でありまして、日本で当時は本田宗一郎さんですけれども、ただ大きいだけじゃなくて、もっとみんなが手軽にちゃんと走れるようにそういったオートバイを作っていこうじゃないかということ。1969年にダックスホンダ50/70がスタートでございます。その後にダックス50/70のエクスポートというのが出まして、その翌々年の1971年でしょうかダックス50/70SPというのがありました。ダックスは今と違ってダウンマフラー。フェンダーは同じ形なんですけれども、それもアップマフラーになって、今のダウンフェンダーじゃなくてオフロード走るようなフェンダーの形をしておりました。それが長い間途中で1995年に再販したんですけれども、またこの時代に、今の時代に合ったロードバイクとしてATで蘇ったわけでございますけれども、やはりあの60年前も今も弊社の楽しむということに、多分変わりはないのだろうなっていうことを最近感じています。日本バイクオブザイヤーはこれで3度目の受賞をさせていただくんですけれども最初はC125、それからハンターカブ。そしてこのダックス125といずれもATの125。気軽どこにでも遊びに行けるような、そんな雰囲気を持ったレジャーバイクでございます。コロナ禍の中ということもあって、皆様にご支持いただいているところもあるとは思うんですけれども、やはり弊社に対する気持ちっていうか動いているのは、今も変わらないんだろうなということを感じます。60年前にこういったバイクを考えた諸先輩方に、心から敬服するというところでございます。今後もこういったレジャーバイクだけではなくて、いろんな楽しさ、バイクの楽しさであるとかそういうものを伝えていけるような活動、それから商品を導入していきたいと思いますので今後とも、ホンダをよろしくお願いいたします」(ホンダモーターサイクルジャパン・赤坂正人)

 

制作・協力

■ライター:KAZU中西

フリーランスのモータージャーナリスト。通称カズ兄さん。イベントMCやラジオDJ(FMIS・カズ兄さんのモーターレボリューション)などタレント業でも活躍。

観察分析力に定評があり、開発に携わったバイク用品やカスタムパーツも多数。

一方では、二輪車の事故防止&安全利用の最前線に立つ『Mr.事故ゼロ』とも呼ばれている。愛車はスペシャルメイドのZ2他。趣味はプレジャーボートのクルージング

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