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みなさんと見るポイントが違うかもしれないモーターサイクルショー

  • おすすめコラム
  • 2023.04.24

【KAZU中西の鋼騎馬ラプソディ】vol.165。2023年3月に開催されたモーターサイクルショーについて、KAZUさんならではの視点でレポートいただきました!

新型コロナウィルスに関連する様々な規制が緩和された2023年春のモーターサイクルショー。どのブースもやる気満々、活気を帯びていたように思います。モーターサイクルショーは、新製品や新アイデアを発表するだけでなく、久々に会うバイク仲間との場としても活用されています。僕は大阪、東京と、南海部品ブースにてMCを務めさせていただきました。その合間に、色々と見てきたモノ、出会った人を紹介したいと思います。

 

  • とどまることのない技術の進化

本音を言えば、もうこれ以上の進化を遂げられるのか?とさえ思っているバイク関連の技術。特に日本の技術やアイデアは、ずば抜けていると思います。最近は諸外国のバイクメーカーやパーツメーカーが追い付いてきた感ですが、追い付かれれば突き放すのが日本人の心意気? 特に売れに売れまくっているZ900RS関連や、ネオクラシックまたはネオレトロ系バイクの展示に多くの人が集まっていて、時代のストライクゾーンはそこなのか!と思いました。

 

ヤマモトレーシングのGB350とCB400SF。スポーティなバイクに乗りたいのなら単座仕様でしょ!?と言わんばかりのカスタムパーツが奢られています。エキゾーストシステムは、一人乗りと割り切ったデザイン。ハンドルバーは実質的にもスポーティライディングに向いているローポジションのセパレートタイプ。CB400SFにいたっては、グラブバーも外されていました。

 

カフェレーサースタイルは、アメリカンドリームのカスタム仕様。ギラっとしたストリートカスタムスタイルはPMCのデモ車。いずれもベースはZ900RSです。どちらのメーカーにも言えることですが、求めるコンセプトがあって、それを実現するための入念な作り込みがバックボーンにあると思います。いわゆる、見た目だけのカスタム仕様ではない!というか。Z900RSのカスタムは、まだまだ進化していくと思います。

 

元々はS1000RRをベースとしたネイキッドモデルのM1000R。新型のウィングは、レーシングテクノロジーに由来しているものだと思われますが、そのアイデアとスタイリングに度肝を抜かれました。ネイキッドにダウンフォースを得るためのウィング…これが時流というものですね。

 

2018年のEICMAにてデビューした新進気鋭のブリクストン。オーストリアKSRグループのブランドで、イギリスのサブカルチャーに由来しています。今回のモーターサイクルショーでお披露目となったのは、水冷500㏄&1200㏄モデル。跨れば安堵し、愉快な走りを予感させるバイクづくりに、日本のメーカーはもっと頑張らないと追い越されてしまうと思いました。数値だけにとらわれない感性に訴えかけるキャラクター。BMWのM1000Rとは全く別方向ですが、時流のストライクゾーンを感じます。

 

中野真矢氏が主宰する56デザインが日本総輸入代理店を務めるリゾマ。そのリゾマパーツで武装されたXSR900のデモ車です。リゾマ=イタリアのパーツは、アイデアとデザインがエモーショナル。

 

満を持して国内販売が決定したヤマハの125㏄スポーツバイク3兄弟。僕はMT-125とXSR125に注目しました。多くのヤマハファンにしてみれば、ようやっと国内投入かよぉ~と思うところでしょうが、日本独自の法規制や日本人が求める製品スペックの高さが、結果的にそうさせてしまっているとも言えます。今後、いわゆる原付2種クラスの取り扱いが、どのように変化していくのかはまだ判明していませんが、同クラスのバイクは使い勝手の良いシティコミュータ、セカンドバイクとして維持しやすいことから、発展性に期待大です。個人的にはFSWミニろくに是非とも参戦してもらいたい。バーハンドルのバイクがフルカウルマシンたちをねじ伏せて勝つシーン、カッコ良いと思うのでね。

 

  • カズ兄が思わずうなったツボ展示

車両としてはモチロン、パーツに関しても、人それぞれに良い!と思えるポイントは異なると思います。逆に言えば、万人を納得させるようなモノなんてあり得ない。よって、日本では最大公約数的なものづくりをしがちですが、その中でも様々な法規制をクリアしつつ、斬新なギミックやデザインを融合させるのが得意なのも日本人らしさかな?と思います。これまで様々なバイク用品の開発に携わってきた僕としては、優れた性能やデザインだけでなく、手に入れた人が思わずニンマリするポイントがあるのか否か、モーターサイクルショーで展示される車両やパーツ、用品については、そんな観点でチェックします。いわゆるツボってやつですね。

 

今季、アライヘルメットの推し展示は、ツアークロスVでした。前モデルは3でしたので、なぜ4ではないのか?との声を会場で耳にしましたが、4は海外モデルとして存在しているので、新型のツアークロスはV(ブイ)としたそうです。特徴は、工具要らずで簡単にバイザーの脱着が可能なメカニズム。近年のアライヘルメットに搭載されてるシールドのVASと同様に、がばっと開けてボタンをプッシュ、シールドやバイザーを外せる仕組みで、その作業性はすこぶるイージー&クイックです。僕はアドベンチャーカテゴリーのバイクを保有していませんが、その素晴らしいギミックから、ツアークロスVも欲しいなと思いました。

 

ユーザーレベルで簡単にカスタムを楽しめる高品位ボルトオンパーツで人気急上昇中のSPEEDRA(スピードラ)。NinjaH2用のチョップドカーボン外装は、SPEEDRAの真骨頂パーツだと言えます。僕が特に注目したのは、キャリパークーリングダクト。ハイパワーモデルにこそ、あれば嬉しいパーツです。VMAX1700にも着けられないかな?

 

脱ぎ履きしやすく歩きやすい、バイクのある日常生活にマッチするライディングシューズ。エルフフットウェアのモーターサイクル用シューズには、そんなイメージを持っています。僕はフィッティング機能としてBOA®を採用しているシンテーゼ16と透湿防水モデルのELS17を愛用していますが、バックルを採用するELO15に興味津々。

 

ゴールド・EDブラック・シルバーと、ラインナップ表記を分かりやすくしたRKジャパンのモーターサイクル用ドライブチェーン。モノづくりとしては至極真面目な企業であることは、250㏄ストリートバイク用ドライブチェーンの開発に参画させていただいた際に、身に染みるほど味わいました。ちなみに、最近人気のシリーズはEDブラックだそう。そんなRKジャパンのモーターサイクルショー展示は遊び心にあふれており、刀に続いて実際に被ることも可能な兜を製作。となれば、次回は甲冑か?とワクワクしちゃいます。

 

車両展示では、Vストローム250SXに注目したスズキブース。おそらく二輪専門誌の取材班も、そのような視点で撮影していたことでしょう。しかし、忘れちゃあならないのが、スズキ独自の技術系展示。今回はクロスバランサーと冷却システムについて、ボード掲示にて紹介となっていましたが、技術の探求に毎度感心させられます。

 

走行シチュエーションやライディングスタイルに合わせて、好みの制動力が得られるベスラのブレーキパッド。このほど、レースシーンにおいて究極の戦闘力につながると思われる「止まらないパッド」を展示。ブレーキパッドなのに止まらない???と、頭が混乱してしまいそうですが、実戦におけるリアブレーキ操作がナーバスでなくなると言えば、レーシングユーザーに伝わると思います。さらに驚いたのは、ベトナム産100%ブレンドコーヒーのラインナップ。走行中はモチロン、下りて休憩する際もベスラで楽しめるということです。

 

バイク用品としては、ETC車載器や盗難抑止ロック機材、ドライブレコーダーで知られるミツバサンコーワ。今回のモーターサイクルショー展示では、オリジナルのコラボキャップ(帽子)を披露。近日発売だそうですが、ミツバサンコーワ製品のユーザーなら、手に入れておきたいアイテムかもしれません。

 

現在ラインナップしているサイレンサーシリーズを展示していたモリワキエンジニアリングブース。僕が注目したのは、ダックス125用のモンスターサイレンサーです。いわゆる最中サイレンサー=モンスターサイレンサーですが、過去にラインナップされてきた車種や性能について探求していけば、ダックス125に装着した際の性能向上をイメージしやすいです。もう一つの注目は、モリワキZ900RS鉄馬レース仕様からインスパイアされたストリートカスタム仕様。戦闘力の向上だけでなく、ドレスアップ要素にも注力していることが分かりました。

 

DIDブースで注目したのは、Z650RS用のチューブレススポークホイール。キャストホイールと比較して乗り心地が良く、スポーク式のメリットである路面からの突き上げをいなす性能を併せ持っています。しかも、チューブレス仕様のリム&スポークデザインとなっていますから、タイヤの選択肢が多いのもメリットとなるでしょう。前後セットで30万円になりそうとのことでしたが、好評ならZ900RS用もラインナップしたい!との意気込みを見せていました。

 

激動の昭和を生き抜いてきたヤマハフリークにとって、思わず歓喜の声が上がること間違いなし!のXSR900カスタム仕様。黒/金モデルは、ミッドナイトスペシャルとして発売して欲しいくらい。白/赤のオーセンティックカラーは、もはやド定番といえますね。

 

パッと見では気づきくいけれど、実はかなり多数のカスタムパーツが奢られていた青のカスタムXSR900。2泊3日程度のツーリングに出かけたくなる仕様です。

 

大阪モーターサイクルショーの自衛隊ブース。今年は徽章を分かりやすく展示していました。これでも全てではないとのこと。毎回、自衛隊活動を理解いただく目的で出展しているそうですが、災害時の救助活動ひとつとっても十分にありがたく感じている人がほとんどだと思います。

 

1秒もかからず出し入れが可能なトライジャの電動補助輪システム。これならタチゴケの心配も無し。もちろん合法のカスタムです。300kg超のオートバイでは重宝すると予想されますが、装着できる車種は限られており、仕組みや使い方を正しく理解してくださるユーザーにのみ、紹介できるカスタムパーツだそうです。

 

  • 突き詰めればやっぱり人なのです

大阪&東京、そして名古屋も、モーターサイクルショーはバイク関連の展示が当たり前で、最新情報を目にする場でもあります。主役はもちろんバイクや関連用品…つまり物体ですが、バイクは人が乗ってこそ完成形になる乗り物だと僕は思っていて、モーターサイクルショーはその人々が出会い、闊達な意見を交わし、意気投合すれば仲間が増える場でもあると思います。また、バイクや関連品も作り手がいてこそのモノだから、やはり突き詰めていけば人、バイクが好きだという気持ちの人々が出会える場だから、モーターサイクルショーは賑わうのだと思いました。

 

いつもお世話になっています!の方から、まさかここで出会えるなんて感激!とか、十数年ぶりですか?ご無沙汰しております等々、今回のモーターサイクルショーは再会が多かったように思います。共通しているのは、みんなバイクが好き!逆に言えば、それだけで十分なのです。

 

新御堂筋の危険なすり抜け問題について、取材をしたり意見交換もさせていただいた大阪府警察。ご挨拶がてらにブースを訪れると、当時のことを覚えていらっしゃる方がいて、何とも嬉しい限り。

 

今回の大阪&東京モーターサイクルショー、南海部品は70周年記念ブースとして出展しました。中でも注目を集めていたのが、大阪の南海部品から世界のナンカイレザーへ名声を高めるきっかけとなった往年のWGPライダーレーシングスーツ展示。僕と同年代(50代)くらいの方々から、懐かしいよね~良いよね~と、数多くお声がけいただきました。そんな歴史を振り返っていただきながら、新たな時代へ提案する新アパレルシリーズ「STAR」の紹介もさせていただきました。訪れてくださったファンの皆様にも感謝です。

 

2023年シーズン、KRP三陽工業&RS-ITOH with VISSEL KOBEより参戦するナンカイサポートライダー・佐野優人選手。練習走行の合間をぬって大阪&東京モーターサイクルショーにも参加。トークショーではその意気込みをしっかり伝えていました。普段は人懐っこい感じで、礼節もわきまえている若者ですが、ひと度マシンを駆れば突っ込みブレーキングを得意とする強気のライダーでもあります。そんな佐野優人選手とも、理解を深められる場となったモーターサイクルショーに感謝!

 

制作・協力

■ライター:KAZU中西

フリーランスのモータージャーナリスト。通称カズ兄さん。イベントMCやラジオDJ(FMIS・カズ兄さんのモーターレボリューション)などタレント業でも活躍。

観察分析力に定評があり、開発に携わったバイク用品やカスタムパーツも多数。

一方では、二輪車の事故防止&安全利用の最前線に立つ『Mr.事故ゼロ』とも呼ばれている。愛車はスペシャルメイドのZ2他。趣味はプレジャーボートのクルージング

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