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【遠藤イヅルの名車カタログ】第37回 ドゥカティ・916
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- 2017.10.14
毎週イラストレーター遠藤イヅル氏による名車・珍車を紹介するコーナーです。今回の名車は、L型2気筒「デスモドロミックエンジン」でスーパーバイク世界選手権3連覇を成し遂げた「ドゥカティ・916」のご紹介です。
■ドゥカティ・916 ■エンジン:水冷4サイクルDOHC L型二気筒916㎠
■最高出力:109ps/9000rpm ■最大トルク:9.0kg-m/7000rpm
1994年に登場した「ドゥカティ・916」。
大胆でありながらも美しいスタイリングと
左右で別体になっている薄いヘッドライト、
片持ちのスイングアーム、シート下に集約したマフラーなど
見慣れない各部のディティールは
それまでのドゥカティのバイクの印象を大きく変えるほどで、
衝撃を持って世界に受け止められた。
916が登場した背景には、ドゥカティのレース活動があった。
1988年開始のスーパーバイク世界選手権にドゥカティは「851」で参戦。
1988年、1989年はホンダ・RC30にチャンピオンを獲得されるも、
1990年から1992年までは3連覇を達成した。
しかし1993年、再び国産車(カワサキ・ZXR750)に
チャンピオンを奪われてしまったことから、
当時参戦していたマシン「888」と異なる新しいモデルを開発することになった。
それが916だった。
916はビモータを設立したメンバーだったマッシモ・タンブリーニによって
ドゥカティのアイデンティティであるL型エンジン以外を守りつつ
ほとんどを刷新したといっても良いほどの革新的な設計を得ていた。
その結果、916の改良型996、998が参戦した2002年までに、
916系モデルは6回のマニュファクチャラーズタイトルを獲得することに成功。
916の設計の優秀さを証明した。
このように916はレーシングバイクとして最高の性能を持っていたのだが
一方で厳しい前傾姿勢のライディングポジションなど
市販車としてはあまりにも先鋭化されていたモデルだった。
そのため2003年に登場した後継の「999」は、
大幅に乗り易いモデルに進化していった。
だが916は、その「世界で一番美しいバイク」とも称される美しさと、
一部のライダーしか受け付けないスパルタンさから
いまだに伝説的な存在としてバイク史を彩っている。