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旧車にも着けられる新型ドライブレコーダー爆誕

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  • 2023.09.05

【KAZU中西の鋼騎馬ラプソディ】vol.169。デイトナの新型ドライブレコーダーをご紹介いただきました!

乗用車の世界では、普及率が高まっているといえるドライブレコーダー。事故に巻き込まれた際、その状況を客観的な動画として記録できるもので、最近では煽り運転に遭った時の証拠としても活用されているようです。バイクの世界では、装着できる場所の問題やスタイリングに影響するなどの理由から、装着率はまだまだ低いといえる状況です。今回は、それらの問題を一気にクリアできるかもしれない、新型ドライブレコーダーを紹介します。

 

  • 作り手の声が聴けたデイトナ初の新製品発表会

2023年8月27日、バイカーズパラダイス南箱根にて、デイトナの新型ドライブレコーダーMioMiVueM820WDの発表会が催されました。報道陣のみならず、一般客の観覧もOKとのことで、多くの人が集まりました。MCはデイトナ茶ミーティングやジャパンライダーズのアンバサダーなど、多方面に活躍している梅本まどかさん。前半は、Mioブランドの製造元であるMiTAC=マイタックデジタルテクノロジー社の方々から挨拶と製品紹介。後半は、ジムカーナライダーとしても知られるタレントの平嶋夏海さん&モータージャーナリストのカズ中西、梅本まどかさんによるトークショーでした。デイトナとしては、新製品をこのような形で発表するのは初めて。マイタックデジタルテクノロジー社の協力により実現したとのことでした。

 

発表会の冒頭、デイトナの織田哲司社長(手前)スティーブ社長(奥)が登壇。織田社長より、次のようなご挨拶がありました。

「毎年台湾で開催されているオートモーティブとか、モーターサイクルのサプライヤーショーがありまして。そこで2017年にMiTACさんと出会うことができました。当時、私達はオリジナルのドライブレコーダーを販売していたのですけれど、常に懸念される材料として、技術進化を年々していかないといけないわけです。我々のオリジナル商品にこだわってしまうと、その進化についていけなくなる可能性があるのではないかと。そこで、私達のオリジナル商品を少しずつ調整しながら、MiTACさんとの取引を開始して現在に至るというような状況です。MiTACさんは、とても大きな会社です。そして素晴らしい技術や生産工場を持つ専門メーカーでもあります。年々商品を進化させることができる。ワールドワイドに商品を販売してますし、その数量も相当数作られております。私達の商品も、それらの技術をフィードバックできるということで、さらなる取引に至ったという経緯でございます」

 

台湾から駆けつけてくださったMioブランドの上席担当者、責任者の皆様。会話は英語になりますが、気さくに対応いただきました。

 

マイタックデジタルテクノロジー社のスティーブ・チャン社長。「集まってくださった皆様がラフな格好なので、スーツ姿は微妙な感じがします」等のジョークからご挨拶。マイタックデジタルテクノロジー社は、昨年のグループ総売り上げ約13兆円を誇るMiTACシーネックスグループの一員で、​​​​世界各国に拠点を持ち、専門的な認証資格を取得。カーエレクトロ二クス&AIoTリーディングカンパニーだとご説明いただきました。

「MiTACホールディングスとして創立したのが1982年なので、昨年は40周年を迎えました。ドライブレコーダーを作っているMioというブランドは、2002年に設立さされましたので、昨年で20周年を迎えましたスマートフォンが普及しだす前までは、MiTACが作っていたPDA等の小型端末を、世界で一番多く販売しました。2010年からドライブレコーダーの部門に力を入れ始めて、まず車の方から始めてるんですけれども、今持ってる全てのテクノロジーをそこに注ぎ込んで、ドライブレコーダーをどんどん開発して、当然品質の面でも世界でナンバーワンであるという風に自負しております。私たちにとって、高い品質や技術、性能を追求していくことは当然ですが、それ以前に皆様が何を求めているのか、それにどれだけ応えていけるのかを大切に製品開発しています。日本でメジャーなデイトナさんとパートナーシップを組むことで、もっともっとドライブレコーダーを普及させることができるのではないか。そんな風に思っています」

 

M820WDの製品紹介と技術説明に登壇したのは、デイトナの永田さんとMioプロダクトマネジャーのCJ(シージェー)さん。前モデルM760Dとの比較も交えながら、M820WDの性能や機能を紹介くださいました。堅牢なで防水性能の高い小型の本体、SONY製STARVIS™の採用はM760Dと同様ですが、新たな機能の搭載とシステムのアップグレード化がポイント。主な新機能を箇条書きにします。

・見たいシーンを探しやすいトリップラプス(タイムラプス)機能を搭載。

・ファイル形式はSuperMP4(毎秒保存するので、データが取れていないという問題が少ない)、コーデックはH.265(1ファイルあたりの容量が1/2)、Wi-Fiの転送速度が倍になったという内容から、ファイルサイズが小さくなったこととWi-Fiスピードが向上した相乗効果で、転送速度が速くなっている。

・明暗転へのリニアな追従や白飛び対策としてHDRを採用。

・5つのGPS信号を受信、位置情報の正確さを高める。

・動画のフレームレートを29.5fps/58fpsとし、日本国内のLED信号機に対応。

・Full HD1080/58fpsの高速撮影を可能としつつ、スーパーキャパシタの採用により、動画の保存性を高める。

・バッテリーにやさしい駐車監視機能。

この他にも、細かなアップグレードが随所に採り入れられ、その性能機能に驚くばかりでした。

 

平嶋夏海さん、梅本まどかさん、カズ中西による、ドライブレコーダーの活用術を語るトークショー。「万が一に役立つのはモチロンですが、マップデータと連動している動画をツーリングの記録として残せるのが良い」「後日、YouTube動画の素材としても活用できそう」「小型で取り付け場所に困らなそう」等々、三者三様のコメントが飛び出しました。僕は、かつてドライブレコーダーの開発に携わっていた経験も交え、次のように語らせていただきました。

「僕は2006年頃より数年前まで、他社製で申し訳ないですがバイク用のドライブレコーダーの開発ライダー、開発顧問として携わってきました。バイク用のドライブレコーダーは、振動や電気的な衝撃の対策、光信号を画像として生成するまでの時間に難しい面があります。M820WDは事前に試させていただきましたが、MioやMiTAC社のずば抜けたテクノロジーによって、それらの難題を見事にクリアしています。いわゆる記録動画のコマ落ちが無いですから、正確な位置情報やルート情報を伴う旅の記録として、十分に活用できる共います。友達同士で装着していれば、お互いのライディングフォームや走行ラインも確認しあえる。この先、インカムでの通話が安心感を与えるように、ドライブレコーダーも装着されているのが当たり前の世界になれば良いなと思います」

 

今回はデイトナ初の新製品発表会ということで、普段は撮影する側の取材陣とデイトナ&マイタックデジタルテクノロジー社の皆様を記念撮影。これもなかなか無い試みだったと思います。

 

  • 旧車でも装着に困らないサイズとアイデア

比較的に年式の新しいバイクでは、シート下スペースが無く本体の装着に知恵を絞ることになるドライブレコーダー。電源の取り方も装着のハードルを上げているようです。僕は発表会に先立ちM820WDを装着、性能や機能もチェックさせていただきましたが、他のドライブレコーダーより装着しやすく、使い勝手も良いと思っています。また、バッテリーが弱るなどの理由から装着を避けている旧車ユーザーは少なくないですが、カズ兄のZ2では何ら問題が起こっていないので、その点についても紹介したいと思います。

 

商品の化粧箱は大きめですが、入っているパーツはこれだけ。STARVIS™CMOSセンサーと比較すれば、本体がいかにコンパクトであるかが分かると思います。

 

先ずはメインパーツとなる本体。カズ兄のZ2では、バッテリーを押さえるブラケットの上に、いわゆるマジックテープで装着しました。配線はコネクター部分の位置が並ばないよう長さが調整されているので、スマートに取り廻すことができました。プラスワンの工夫として、他のドライブレコーダーでは配線にフェライトコアを巻き付けたりしますが、M820WDでは電磁波シールド済みの配線を標準装備しているので、その工夫すら必要なかったです。

 

フロントカメラ=STARVIS™CMOSセンサーは、オプション設定されているミラーブラケットを介して装着。ブレーキマスターのリザーバータンクに黒いバンドを巻いているので、真横から見ればカメラの存在に気づかないほど、スタイリングに溶け込んでいます。

 

リアカメラは、オプション設定のナンバープレートブラケットを介して装着。一般的な装着方法とは逆向きの左側カメラマウントとすることで、右サイドから見た時、カメラの存在に気づかないよう工夫しました。

 

M820WDのコントロールスイッチは、ハンドル左側スイッチボックス付近に装着。結束バンドと両面テープを使いました。ミラーホルダーが分割式の場合は、オプション設定のブラケットが使えます。Z2の場合はボルト1本締めの非分割式なので、可能な限り目立たず装着するためにはこの方法しか思いつかなかったです。

 

カズ兄のZ2は、以前にドライブレコーダーを装着していたので、電源の確保はさほど難しくなかったのですが、初めて装着するバイクや配線がごちゃごちゃするのは嫌だという人は、デイトナのDユニットを活用すると良いと思います。

 

装着は至って簡単だったM820WDですが、性能の方はいかに?ということで、シチュエーション関係なく走り回ってチェックしました。カズ兄のZ2は1970年代のいわゆる旧車ですが、M820WDを装着したことによるトラブルは一つも起こらず、動画の撮れ高もバッチリ。むしろ、カメラを装着していることに気づかれないことが面白かったです。

 

  • とにかくキレイで早いスマートフォンとの連携性

カメラはM760Dと同様にSTARVIS™CMOSセンサーを使っているM820WDですが、HDRの効果なのか光源や光量の変化があってもキレイに撮れています。また、MioプロダクトマネージャーCJさんの説明通り、センサー自体が少しアップグレードされているのかもしれません。記録動画は、YouTube動画の素材としても、十分に耐えうるキレイさだと思います。またドラレコ本体からスマートフォンへの転送ですが、同じく説明にあった通り、M760Dとの比較で約2倍のスピードを実現しています。なので、ツーリングの途中でちょっと見たいとなった場合、動画転送速度にイライラすることが減るかもしれません。この時に「使える!」と思ったのがトリップラプス(タイムラプス)機能。狙った動画を探すためのインデックスとして使えるわけですが、その動画単体でもツーリングしている感が伝わってきて面白いです。この手のアイテムは日進月歩で進化しますが、数年はM820WDで存分に楽しめそうです。何より、Z2に着けても問題ない!というのが好印象でした。

 

フロントカメラとリアカメラの動画から切り出した写真です。同じ時刻、同じ場所に揃えてみました。路面のひび割れまでしっかり撮れていますね。僕が車体の一部が映り込むよう画角設定しているのは、被写体との距離感をつかみやすくするためです。

 

本体からスマートフォンへ転送した動画からスクショ。マップデータと連携しているのが分かると思います。

 

伊豆スカイラインの玄岳展望台で撮影。ここは伊豆スカイラインが、まさに伊豆の山々を縦走する道路であると分かりやすい写真が撮れますね。Z2のスタイリングを崩さずM820WDが装着できていることも分かります。

 

関連リンク

デイトナ(ドライブレコーダースペシャルサイト)

 

制作・協力

■ライター:KAZU中西

フリーランスのモータージャーナリスト。通称カズ兄さん。イベントMCやラジオDJ(FMIS・カズ兄さんのモーターレボリューション)などタレント業でも活躍。

観察分析力に定評があり、開発に携わったバイク用品やカスタムパーツも多数。

一方では、二輪車の事故防止&安全利用の最前線に立つ『Mr.事故ゼロ』とも呼ばれている。愛車はスペシャルメイドのZ2他。趣味はプレジャーボートのクルージング

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