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もうひとつのテイストofツクバ ~バリー・シーン転倒!ウェイン・レイニーが独走優勝…?!
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- 2023.11.27
テイストofツクバの中で行われた「グレートヒーローズ」のレポートです!
旧車たちのガチンコレースとして人気の年に2度、行なわれるテイスト・オブ・ツクバ。年式や仕様、排気量によってさまざまなクラスがあるが決してレースではない、本気の遊びも大人気だ。
それがグレート・ヒーローズ。80年代のワールドグランプリが、筑波によみがえる!
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「グレートヒーローズ」とは?
「絶版車の運動会」のキャッチフレーズでおなじみのテイストofツクバ。年に二度、春と秋に行なわれるこのビッグイベントは、やはりサーキットが得意ではない、70~80年代の空冷エンジン+鉄フレーム+2本ショックの「モンスター」クラスの全開走行が注目の的。
さらに近年は、鉄フレームならばどんなエンジンを積んでもOKという「ハーキュリーズ」クラスのアンリミテッドバトルも人気だ。
ケニーが先頭、ガードナー、ハスラム、スペンサーがこれを追うのは、そんなシーズンはなく、あくまでもファンタジーです。
そしてレースとは別に、あるエキジビションも人気だというのは、あまり知られていない。それが、2年に一度行われる「グレートヒーローズ」。
70~890年代の、2サイクルマシンがワールドグランプリを戦っていた頃のマシン、そしてライダーが、筑波サーキットを走り回るのだ。もちろん、マシンもライダーもレプリカ! エントリーリストには、出場ライダーの本名ではなく、レジェンドライダーの名前が、さらにマシンもレーサーレプリカではなく、当時のグランプリマシンのネーミングが記されている。
3がフレディ・スペンサー、8は片山敬済。実際に83年はこのゼッケンで両者ともGPを走っていました。この競り合いもあった?
例えば2023年秋の大会「神楽月の陣」のエントリーリストでは、「栃木県・佐藤一郎+TZR250」ではなく、「エディ・ローソン+YZR500」と載る。ちゃんとエントリーリストの一番下の列には「このレースはフィクションです。歴代レジェンドライダーたちの夢の競演をお楽しみください」と注釈がある。
もともとこの「グレードヒーローズ」は、日光サーキットをホームコースとする有志たちがスタートした「本気の遊び」。ヘルメット、ツナギ、マシンをレジェンドライダーのレプリカとして、押し掛けスタートで戦う! マシンたちは、今はもう見る機会すら少なくなってしまった2サイクルのレーサーレプリカたちで、2ストエンジンのサウンド、白煙とともに漂う2ストオイルの香りがノスタルジック! ベースマシンを探すのも、当時の資料を当たってマシンをペイントするのも、大変な労力だけれど面白い!
スタートは押し掛けをしての、白煙を吐き出しながらの2ストロークスタート。62北野晶夫を21平忠彦が追うファンタジー。
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フィクション?ファンタジーの世界?
今回のテイストofツクバでは、古くはバリー・シーンやフランコ・ウンチーニから、ノリック阿部や原田哲也(のレプリカさん)たちが出場。マシンもRGB500(ホントはRG250Γ)からKR500(ホントはKR-1)など、4メーカーの2ストロークグランプリマシンが参加した。
ロン・ハスラムがロケットスタートを決めて、ケニー・ロバーツのYZR500と片山敬済のNS500がバトル、そこにエディ・ローソンのYZR500とケビン・シュワンツのRGV-Γが絡んでいって……とすべてフィクション、ファンタジーの世界なんだけれど、
もう、文句ナシに楽しい! そんなレースなのです。
ケニー・ロバーツ+YZR500。カラーリングやチャンバー取り回しが、おそらく78年モデルのOW35Kと呼ばれるYZRではないだろうか。
ゼッケン4はフレディのNV0B……と思いきや、ヘルメットを見るとミック・ドゥーハン。ミックも94年にゼッケン4で走っています。
レプリカカラーで一番仕上がりの良かった、バリー・シーン+RGB500。真新しいツナギ、走りも上々でしたが、予選で転倒!
ゼッケン9は82年のコーク・バリントンのランキングだが、83年にカワサキはGP不出場のため、幻のKR500だろうか。
クリスチャン・サロンのゼッケンと言えば4や6が思い浮かぶが。なぜか13をつけています。ベースマシンは後方排気のTZR250。
この日のために髪を伸ばしてきた、というゼッケン17は阿部典史。ちょっとアゴを上げたフォーム、なびく黒髪がノリックすぎます!
テック21カラー、ゼッケン21も鮮やかな平忠彦レプリカ。87年の日本GPに、このカラーリング、このゼッケンで参戦している。
82年チャンピオンはフランコ・ウンチーニ。ということは83年モデルがゼッケン1のHBカラー。登録はRGBだが、実際はRG-Γ。
ネスカフェカラー31のTZ250は原田哲也車。原田さんご本人も、この後方排気のTZR250を入手し、レストアしているそうです。
ペプシカラーのRGV-Γは、ケビン・シュワンツ車。シュワンツの日本GPでの優勝を記念して、実際にこのカラーで市販もされました。
ウォルターウルフカラーのマシン、ツナギ、ヘルメットは、もちろん水谷勝レプリカ。このゼッケンは86年のWGPスポット参戦時?!
86~88年には、このelfカラーのNSR500で走っていたロン・ハスラム。さすがにハブステア機構まではレプリカしなくても大丈夫!
■写真・文:中村浩史