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再びバイクに乗る夢をかなえていく活動は止まらない

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  • 2024.01.24

「一般社団法人サイドスタンドプロジェクト(SSP)」の活動レポートです!

事故によって障がいを負ってしまった。それによりバイクに乗るという楽しみを完全に奪われてしまった、そんな元ライダーは多い。そんなライダーたちに「もう一度、バイクに乗る」という夢をかなえてほしいと立ち上がった団体「一般社団法人サイドスタンドプロジェクト(SSP)」の活動は早くも5年目を迎えました。

 

 

  • パラモトライダーもボランティアスタッフも増大中

ロードレース界のレジェンド「青木三兄弟」の三男・治親が2019年に立ち上げたSSPは障がいがある方の「オートバイに乗る」という夢をサポートする支援団体です。もちろん、ご存じだと思いますが、その「青木三兄弟」の次男である青木拓磨は1998年のGPマシンテスト中の事故で下半身不随になってしまい、以後車いす生活を余儀なくされています。その拓磨に「もう一度バイクに乗ってもらおう」という企画を実現させた後、この感動をもっと一般のライダーにも広めたい、ということでSSPが立ち上げられています。そのSSPには、テクニカルアドバイザーとして長男の宣篤、専属パラモトライダーに拓磨も名を連ねています。

 

そのSSPがスタートさせたのが「パラモトライダー体験走行会」という活動です。バイク事故などによってバイクを降りざるを得なくなってしまった障がい者を中心に、再びバイクに乗ってもらう機会を創出しています。初回の開催が2020年6月でしたが、それから毎月のように開催し、すでにのべ140名以上のパラモトライダーがこの場で再びライダーとしてバイクに乗るという機会を得、バイクに乗る楽しみを噛みしめています。

 

SSPでは、シフトペダルを電磁アクチュエーターで動かすことのできるハンドドライブユニットを製作しています。これにより通常左足で操作するシフトチェンジを手元のボタンひとつで操作することができるようになりました。バイクの動き出しと停止直前というふらつきそうなタイミングはボランティアスタッフがバイクを支えます。

 

当初は下半身不随の障がいを持つ方を対象としていましたが、その後はそれぞれの機能障がいについて、どうしたらライディングを補えるのか? どうしたらバイクを楽しむことができるのか? を第一に考え、それぞれの障がいに合わせたカスタムをバイクに加えて体験走行会を開催しています。事故などでの機能障がいを負った元ライダーだけでなく、生まれつき障がいを持っていてバイクに触れたこともないというパラモトライダーも受け入れており、片麻痺や視覚障がいなどの機能障がいを持ったパラモトライダーをこれまでに多数輩出してきています。

 

開催場所は完全にクローズドにすることができる場所ということで、サーキットや休校日の自動車学校、貸し切りのできる駐車場で開催してきました。障がいを機に2輪免許を返納してしまっているパラモトライダーも多く、そんなパラモトライダーたちと公道で一緒にバイク・ツーリングを楽しみたいという団体創設当初からの夢であった一般公道ツーリングも開催しています。2022年に箱根ターンパイクを占有する形で初開催。続く2023年もこのツーリングは実施され、さらに神奈川県相模原市にある宮ケ瀬湖でも公道ツーリングが実現できており、活動は拡大していく一方です。

 

2024年も厳冬期の開催はないものの、3月から再びパラモトライダー体験走行会がスタートする予定です。もちろん、9月には3回目となる箱根ターンパイクでの公道ツーリングも予定しています。体験してみたいというパラモトライダー希望者、そしてこの活動を手伝いたいというボランティアスタッフも募集中です。

 

青木三兄弟の三男であるオートレーサーの治親が立ち上げたのがサイドスタンドプロジェクトだ。行われるすべてのパラモトライダー体験走行会に参加している。

 

長男の宣篤も積極的に参加し、先導ライダーを務める。また次男である拓磨も、折々に顔を見せている。

 

2020年6月の初開催から3年半、2023年12月に32回目の開催となった「パラモトライダー体験走行会」は筑波サーキット内オートレース選手養成所での開催となりました。

 

車両にはパラモトライダーに合わせてカスタムします。パラモトライダーが最初に使用する小型車両では種類の異なる補助輪を用意し、ステップアップに合わせてその場で付け替えを行います。

 

バイクの動き出しと停止直前のバランスが崩れるタイミングで、バイクをボランティアスタッフが支えます。これによりライダーとしてバイクに乗れることになります。

 

小型バイクでの基礎練習がクリアできるとステップアップ。トルクの大きな大排気量のバイクならリカバリーすることが可能であるということで、大型バイクに乗り換えて走行することになります。

 

パラモトライダーのライディングを支えるボランティアスタッフも毎回多く参加しています。バイクに乗れて喜ぶパラモトライダーから、ボランティアスタッフも幸せのおすそ分けをもらえています。

 

パラモトライダー体験走行会は、ライダーはもちろん、スタッフ全員が一日中笑顔でいられる場所でもあります。

 

今後も「隔たりの無い社会」の実現に向けて、一般社団法人SSPの活動は続きます。ボランティアでの参加だけでなくクラウドファンディングなどでもこの活動を支えることができます。

 

制作・協力

■文・写真:青山義明 ■協力:一般社団法人サイドスタンドプロジェクト(SSP) 

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