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旧車だからって壊れません!
- おすすめコラム
- 2024.11.11
【KAZU中西の鋼騎馬ラプソディ】vol.183。今回は旧車でロングツーリングへ!旧車でも長く走れることを実証してくれました!
未だに「旧車だから遠出は無理」「旧車は壊れるからお金が掛かる」等々、都市伝説的に語られているようですが、本当にそうなのか?検証する人が少ないのも現実。僕はこれまでに何度も「壊れないこと」を証明してきましたが、今回は修善寺-淡路島の往還にてロングツーリングで壊れるか否かを明らかにしたいと思います。
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ライダーズミートだからバイクで行きたいよね!
6年ぶりの淡路島開催となったNANKAIライダーズMEET。南海部品の担当者からMCのオファーが来た時、二つ返事でOK!それから約8か月の間、ずーっとワクワクしていました。会場の淡路ワールドパークONOKOROは、NANKAIライダーズMEETの記念すべき第1回の開催地であり、しかも平日で雨予報にも関わらず、多くのライダーが集まってくれた思い出の地です。これまでVMAX(1700)やGSX1300RHAYABUSA、JAGUAR、RX-8で行きましたが、久々のONOKOROだしライダーズMEETだからやっぱりバイクで行きたい!そんな風に考えていたところ、「旧車は壊れるからロングツーリングはNG」「旧車は直すのにお金が掛かりすぎる」のコメントをSNSや雑誌記事で目にしました。実生活でもよく言われるし、耳にする言葉。しかし、そうでないことは僕自身がトライ、証明してきたわけですが、まだまだ「旧車だから壊れる」と迷信を信じている人が多いなと感じたので、ならば誰でもわかりやすいロングツーリングで証明しちゃおう!と考えました。ONOKOROへ乗っていくバイクは、もちろんカズ兄のZ2。45年以上前のバイクですが、土砂降りを物ともせずノントラブルで走り切れました。
乗っていくバイクが新車であろうが、旧車であろうとも、僕はこだわって整備しているポイントがあります。その代表的なものが、スピードメーターケーブルやアクセル・クラッチ等のワイヤー類。ロングツーリングの場合、その時の状態を問わず新品交換します。これは若かりし頃(10代)の失敗経験から。出先でスピードメーターケーブルが切れ、直そうにもパーツの入手が困難、さらにバイクショップを探している途中で白バイ隊員に止められ、整備不良切符を貰ったことがあるからです。これを運が悪かったと談ずることもできますが、逆に言えば切れそうになっていたことに気づかず乗り続けた僕のミス。同じミスは二度と起こさないってのがカズ兄流ですから、絶版車の専門店ウエマツさんに作業依頼します。ウエマツさんは、そもそもカズ兄のZ2をカスタムBuildしてくれた店であり、同社で取り扱っている旧車についての整備レベルや知識、パーツの確保に絶大な信頼を置いているからです。レースシーンにも言えることですが、ライダーがメカニック(チーム)を信頼できないと安心して速く走れないし、メカニックがライダーの技量や知識、乗り方の癖を熟知しているから、それに見合った整備にこだわれる。この相互信頼関係が、バイクに乗る上で重要だと思っています。また、ウエマツさんの場合は、行先の道中に中部と関西店がありますので、仮に重大なトラブルが発生しても対応してくれるという安心感があるからこそ、旧車でも遠出がしやすいと言えますね。
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行きは前日入りの予定で、到着時刻も決まっていたので、高速道路をつなぐルートで出発。特にドラマチックな展開もなく、15時頃には神戸淡路鳴門自動車道の淡路SA着。明石海峡大橋の通過時は、強風と土砂降り模様でしたが僕にとっては大して苦にならず。淡路SAから40分ぐらいで淡路ワールドパークONOKOROに到着しました。今回改めてオノコロの由来を知ることもできて、前日入り作戦は大成功!
翌日は雨予報60%を跳ね除け、晴れ模様となったNANKAIライダーズMEET inオノコロ。僕はモンちゃん=多聞恵美さん、酒井大作さんと共にトリオMCを務めました。ステージコンテンツでは、ヤングさんこと福山竜一さんのライブをサポートMC。駆け付けてくれたモーレボ(カズ兄さんのモーターレボリューション/エフエムイズ)リスナーからは、「モーレボの公開収録みたいだ!」と、激励いただきました。
NANKAIライダーズMEETではすっかりお馴染みとなっている白バイ隊員のデモ走行。今回は1週間前に開催された第54回全国白バイ安全運転競技大会にて、男性の部で優勝、女性の部は個人総合2位4位入賞した兵庫県警察本部交通機動隊の精鋭白バイ隊員が正確かつ華麗なライディングを披露。全国一の走りは圧巻の一言です。
カズ兄のZ2は、デイトナブースに展示させてもらいました。そのせいもあり、「ホンマにZ2で来たんやね!」「めっちゃキレイにしてる」「ウエマツチャンネルで観てるけど、実車を見るのは初めて」等々、皆さまの目を楽しませていたようで、やはりZ2で行って良かったなぁと思いました。フィナーレはNANKAサポートライダー&演者が登壇しての福山竜一ライブ。南海部品のCMソングの大合唱で締めました。ちなみにヤングさんは、昨年リターンしたNinja250乗りで、「ギターが無ければバイクで来たかった~」とのこと。
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2024NANKAIライダーズMEET in ONOKORO
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帰路で達成!13万3333,3km
淡路ワールドパークONOKOROまでの往路を難なく走破したカズ兄のZ2。復路は時間的な制約がないため、下道も使ってのんびり帰ることにしました。これにはメーター数字のキリ番を記録したいという意味合いもあります。NANKAIライダーズMEET in ONOKOROを終えて出発したということもありますが、新名神の鈴鹿PA辺りではすっかり夜。桑名で一泊して身体を休め、翌日の朝から下道多めで修善寺を目指しました。途中の袋井で3万3333,3kmを達成。Z2のオドメーターは6桁表示なので実質の走行距離は13万3333,3kmになります。さらに、修善寺に帰宅するまでノントラブルでしたので、「旧車は壊れるからロングツーリングはNG」については完全払拭。都市伝説を撃破したと言えるでしょう。
1995年、袋井市にて創業した天然酵母パンの製造販売の店、カフェ&ベーカリーげんらくに立ち寄りました。バイクのふるさと浜松やデイトナ茶ミーティング、ヤマハコミュニケーションプラザ等の帰りに寄ることが多いバイク乗りが営むお店で、伊豆スカ事故ゼロ小隊の活動も支援くださっています。今回は時間に余裕があるので、ゆっくりと語らいつつ軽食。アメリカンスタイルのアップルシナモンワッフルとアイスオレ+珈琲ゼリーのクラッシュゼリーをいただきました。
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げんらくを後にして4kmほど走ったところでオドメーターが3万3333,3kmに!直ぐに停まれる下道ルートで良かった。以降は国道150号線を東進、焼津から富士までを東名高速、富士から修善寺まで下道ルートとしました。帰宅してオドメーターを見ると、3万3481km。つまり13万3481kmを走ったことになります。これでもまだ、旧車は壊れると言われるのでしょうか?僕にとっては、我が家で最もタフネス&信頼性の高いバイクです。
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壊れにくくするための技もある
旧車だからって壊れない!これを実証できたことは、多くの旧車好きに朗報だと思っています。しかし、談笑の中で「旧車だから壊れるんだよね~」とネタにしたい気持ちも分かります。また、自分でメンテナンスできないのなら旧車は難しいから新車が良いよ、という考えも正しいと思います。今回の実証で僕が言いたいのは、旧車だから壊れる→×、新車だから壊れない→×で、年式や走行距離を問わず、キチンと点検整備=メンテナンスできていれば壊れない。つまり、乗りっぱなし→壊れると言いたい訳です。では、愛車を壊れにくくするにはどうすれば?その方法については色々な技やノウハウがあります。僕の場合は、バイクの特性や運転方法に合ったエンジンオイル選び、駆動系の低フリクション化、消耗品の定期的な交換、この3つを挙げます。旧車の場合は、メンテナンスに時間をお金が掛かると言われます。時間については個人でやる場合、一般的なバイクショップでやる場合、専門店でやる場合で違ってくると思いますので、ここでは言及しません。お金については、旧車の場合はメジャー車種なら現行車と同等、もしくは低コストだと言えます。その理由は、メジャー車種の場合、リプレイスメントパーツが多く販売されていて、販売数が多いから比較的に低価格。現行車に比べて整備性が良いので、工賃を抑えることが出来るからです。以前から紹介している通り、カズ兄のZ2のメンテナンス費用については、VMAX(1700)の約1/3~1/4。XJR1300と比較しても60%~70%ぐらいに抑えられます。なので、「旧車はお金がかかる」は、メンテナンスのやり方によるという感じで正解とは言い難い。ただし!これは購入時の納車整備(ウエマツST-4整備で約40万円)をしっかりやってもらったからで、個人売買等で入手した旧車の場合は、想像を絶する高コストになることが予想されます。また、混同されやすい話としては、旧車ベースのレーシングマシン製作と公道用の一般整備では、メンテナンスコストが全く異なります。このあたりもキチンと整理して、SNSに書くとか談笑のネタにしてもらいたいと思います。まとめると、「キチンと納車整備された旧車は、壊れないしメンテナンスにお金が掛からず、ロングツーリングも難なくこなせる」になります。旧車好きの方、旧車にあこがれを抱く皆様の参考になれば幸いです。
ロングツーリングで言えば、5月25日にZUOC(絶版ウエマツオーナーズクラブ)の10周年記念ツーリングで昼神温泉まで往還しました。季節柄、エンジンの調子もよく、復路では富士錦酒造さんに寄り道もしたけれど、至ってノントラブル。また、絶版車愛好家の皆様と同行&おしゃべり出来て楽しいひと時でした。
実は本年度=令和6年度より、伊豆スカ事故ゼロ小隊の活動でもカズ兄のZ2を運用しています。静岡県警察本部交通機動隊白バイ隊および三島警察署や伊豆中央警察署との合同活動になりますので、トラブルが起こりそうな車両は使えないのですが、カズ兄のZ2は何ら問題なくCB1300Pと同じペースで走行しています。
良好なコンディションを維持しているカズ兄のZ2とはいえ、乗りっぱなしでは間違いなく壊れます。とはいえ、特別なメンテナンスをしているわけではありません。エンジンオイルの交換に始まり、ワイヤー類の点検整備(注油)、タイヤの空気圧や亀裂損傷についての点検整備、ドライブチェーンやスプロケットの点検整備、バッテリーのコンディションチェックを定期的に実施しているだけです。素性の分からないバイクを個人売買で入手した場合、運が悪ければいわゆる金食い虫との付き合いになりますが、カズ兄のZ2のようにキッチリと納車整備済みで、定期的な点検整備を繰り返していれば現行車より低コストで維持できます。また、駆動系については当時モノの見た目にこだわりがないのなら、駆動系のダウンサイジングもエンジンの負荷を減らして長持ちさせることに有効です。カズ兄のZ2はSTDの630→520へとコンバートしており、軽量化した分だけ低フリクション化を図れていますから、負荷を減らすカスタム系メンテナンス術といえますね。なお、ドライブチェーンの520サイズ化は、排気量について適応範囲内なのかを確認した上でコンバートしてもらいたいと思います。
■ライター:KAZU中西
フリーランスのモータージャーナリスト。通称カズ兄さん。イベントMCやラジオDJ(FMIS・カズ兄さんのモーターレボリューション)などタレント業でも活躍。
観察分析力に定評があり、開発に携わったバイク用品やカスタムパーツも多数。
一方では、二輪車の事故防止&安全利用の最前線に立つ『Mr.事故ゼロ』とも呼ばれている。愛車はスペシャルメイドのZ2他。趣味はプレジャーボートのクルージング